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神による、仕事という名の異世界旅行  作者: 馬鳥件
第二章【楽しい楽しい異世界旅行】
8/10

第四話【異世界らしいこと】

「やっと布団に入れた…」


蓄積された疲労に耐えられず膝からガクンと顔から崩れ落ちベットにダイブする。


「宿取れたはいいけど…食事つけられなかったな」


なるべくファロメスにもらった金を節約して使いたいため、あまり贅沢なことはできない。

だが貰った金にも限界はあるので早急にどうにかしないといけない。 


「あ…ギルド冒険者登録場があるんだったな」


先ほど下の宿屋の主人にここの町の働ける場所と食事が取れるところを教えて欲しいと話しかけた時に働き先の一つとしてこのギルド冒険者登録所が挙げられた。

この異世界らしい名前に思わず枕を抱えて足をバタバタと動かしてしまう。

だがそれも数回で収まり瞼が睡眠欲に負けて段々と下がってきてしまう。


「冒険者登録所なんて夢がありすぎる…」


そのつぶやきと共に体の重さはベットに吸収されていった。





ピコンっ


どこから聞こえたのかわからない怪奇な音で目が覚める。  

なんだ…?とまだ寝ぼけている頭を働かせると頭上から「あのう、上神様」と声が聞こえる。 


「あぁ、アリシアスか、」


どうやら先ほどの奇妙な音はアリシアスが連絡を取ってきた音らしい。

ふと窓の外を見るとまだまだ空は青白く完全に青色になっていないことから早朝だということがわかった。

こんな朝早くからなんだ…とも思ったが、連絡を取れるようにしておけと言ったのは間違いないのでとりあえず、体を起こして話を聞こうとベットに手をつき体を上げると頭にゴツンと固い何かがぶつかった。


「ゔっ」


上には何もないはずだが何にぶつかったのかと顔だける向けることにする。


「………あ''ぁ、」


絶句。それ以外の表現が見つからない。

通信機とぶつかったことはなんとなく察していた。声は上から聞こえていたし、こいつがどんな形の物を使っているまでとかは知らないからだ。だがどうだろうか?

いくらなんでも改造の限度があると思う。


それはピンクを基調としたタッチパネルのような形をしており、

その周りの装飾品はハートとリボンで埋め尽くされている。

流石にここまで酷いのは見たことが無かった。


「お前…なんだその通信機は」

「へ!?あっこれですか?!」


軽く鳥肌が立った腕をさすりながらそう言うとアリシアスは焦ったような声色に何故という疑問が止まらない。

なんでちょっと嬉しそうなんだ


「ゆ………転生者が持つ私への愛が擬物化した物らしく…」

「ゔっわ…」


引いてしまったのは許してほしいところだ。

そもそも転生後連絡を取ることは御法度なのに何故そんなものが出来上がるんだ。絶対裏で連絡を取ってただろう

いまだ止まららない鳥肌を収めるべく腕を高速でさすった。




「…それで?連絡してきた理由は」

「はい。通信が取れるのかの確認と…それと、」

「ん?」


モゴモゴと口籠るアリシアスに眉を顰めて聞き返す。

どうやら相当言いにくいことらしいと悟った俺は声色を少し変えて「別に怒らない」と諭すとパネル越しでもわかるおどおど具合にどんだけだよと思う


「転生者に、あなたがこちらにきたことがばれたかもしれませ」

「何?」

「ひぃッ」


まだこちらにきて2日目なのだが、目立った行動はしてないとも言い切れないがどこにバレる要素があったと言うのか。

ガクガクと震えるパネルを両手でガシッと捕まえて優しく


「報告」


と言ってやると、アリシアスは早口言葉を言っているのかと間違うほど噛みながら教えてくれた。


「じ、実はわた、わたひの気配が途切れたことが問題らひくっ…」

「気配って何のことだ?」

「私たちは常に情報を共有しているので何かあればすぐにわかるようになっています。

なので通信…つまり気配がたどれない私を不審がっておられます。」

「いや…言いたいことは山ほどあるんだが…付き合ってるのかお前ら?」


飛び込んでくる情報たちに頭を抱えながら一番気になる部分を聞くとパネルの中から若い乙女のような言葉がバンバンと出てくる。どれも否定的な言葉ではあったが声色がデレデレである。

まさか本当に付き合ってないよ…な?

一抹の不安を覚えるが、流石に神が転生者と付き合うのはアウトすぎるので万が一に備えて釘を刺す。


「いや絶対無理だぞ。規定忘れたわけじゃないよな?そこまで行くなら酌量なんてないぞ」

「……はい」



まぁこれでしばらく大丈夫だろうと窓の外を見るとさっきより濃い青色の空になってきたのが確認できたので

そろそろかとベットから衣服を整えながら立ち上がった。

これからやりたいこ…やることが山積みなのでそれを処理することにする。

あ…そういえば…アリシアスに向かって伝えることを忘れていた。


「アリシアス」

「ひゃい!?」

「俺のことは今後ネーロ・シュルテンと呼ぶように」

「え?ネーロ・シュルテンですか?」

「左様。こっちで名前ないと不便だし、今後から外で上神と呼ぶことはしないように。話は以上だ」


椅子にかかっていたマントを羽織ると後ろから「で、では失礼しましゅ」と言う声と共にシュンという音が鳴る。

器用だなと思ったが別に気に留める必要もないので、まずは翻訳スキルを取得ことにする。不便だしな


いつもの手順で紙を上に投げて『翻訳スキル世界と(フレンドウィズ)友達(ザワールド)』を取得。

このスキルは解読したい言語の文字と言葉を一定以上会得することで完全に理解できるようになるという代物だ。


早速この宿に置いてあった紙と、窓から見える町の看板と、下から聞こえる会話を聞く


『取得に成功しました』

よし!これで文字が読めるし書けるはず!いざギルドへ行かん!

るんるんで扉を開けて出ようとするが、

ひと時の安らぎを与えてくれたこの部屋から名残惜しさを少し残して「お世話になりました」と言ってドアを閉じた。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






さて、俺が今いるのはギルド冒険者登録所。

勇者とか冒険者が一番最初に来るアレである。その他、話に出てくるギルドは木でできていることが多いけど、ここは石で出来ているみたいだ。



結構たくさん人がいるな、ギルド内って狭いのかと思いきや結構広くて休憩所なんかもあったりして、結構快適そうだ。えーと、受付…受付は

うーむ、それっぽいところが見当たらないな。後は2階と…地下?思ってた構造とだいぶ違うな。

しょうがない適当にいる人間に聞いてみるか。


「あのすみません。お聞きしたいことが」

「あ''ぁ''?」


あれ、聞く相手間違えたかな正直人であればいいと思ってたけどなるほどチンピラパターンがあったのか。正直人間どれも一緒だとしか思えないからそういう判断が難しいな

てかよく見ればこいつらの周り人が少なかったな。人相良さそうな少年にでも声を掛ければよかった。

てかなんか相手震えてる気がする…え?なぜ?


「あのつかぬことをお聞きしたいのですが」

「ひ、ひぃな、なんだ!?」


もしかしてまた黒英断と間違えられてる?勘弁してくれよそんなに悪さしてるのか。よしまたやることリストにやることが決まった。その黒英断とやらをねじ伏せてやる


「受付に行きたいのですが場所がわからなくて、どこに行けばいいですか?」

「あっそれなら…2階…だ」

「ありがとうございます」


なんとか場所聞けたな。視線がグサグサ刺さって気になるがまぁ教えてくれたし気にしないでおこう。

しかし受付が2階って少々特殊ではなかろうか。地下もあるみたいだし、やっぱり話で聞くのと体験するのは違うな。面白くなってきた。

っとここか?

見えてきたのは木の枠でできた受付のような場所。きっとここが受付だろう。

早速受付の前に行ってみると受付のお姉さんにギョッとした顔をされるが、もう慣れたので無視しておく


「仕事をもらいたいんですが、冒険者としての登録はできますか?」

「えぇ、問題ないですよではこちらの紙にご記入してください」


お姉さんが差別的な人ではなくてとても助か…おぉ!

ぶるぶると体が震えだすのが止まらない…お姉さんが心配して何か声をかけてくれているが今はそれも聞こえない。何故なら


読める!読める!今まで看板を見ても何書いてあるのか分からなかったのに今は読める!


「あの…?」

「あぁすみませんいま記入します」


もちろん読めるということは書けるということで。

スラスラと自分の新しい名前【ネーロ・シュルテン】と記入

うん我ながらに語呂がいい。

次は、希望の職業、


【アーチャー】

【回復術師】

【騎士】

【魔法師】

【その他】


なるほどこんな職業があるんだな。これが書いてあるってことはこの四つの職業が多いんだな…どうしようか

アーチャーは遠距離の職業だ。別に狙うのは得意じゃないしな。これではない

回復術士もこれはサポートだな、サポートこそ苦手だちこれではないな

騎士も剣振り回すのは性に合わな…くはないが西洋の武器は苦手だ。魔法師も別に得意というわけではないし…どうしたものか


「あの、別に今決められなくても結構ですよ」

「え?」

「その希望職業はパーティを組むときに手順を進みやすくするものなので」

「あぁなるほど」


なんだ今決めなくてもよかったのか。だったら時間の無駄だったな。

ここら辺はサラサラっと書いちゃってと


「できました」

「ではご確認させていただきます。……ありがとうございます登録が完了いたしました。

でしたらこちらの宝石を体のどこか、見えるところにおつけください」


そう言って渡されたのは青色の宝石だ。天井にかざしてよく見てみる。

特別綺麗ではないが、中に光る何かを感じるいい石だ。


「冒険者はランクによってできる仕事が変わりますので、その石の色がランクの印となります。

色は順に


青→緑→紫→赤→白→金→プラチナ


の順となっております。経験値を吸って色が変化しますので頑張ってくださいね。

経験値は任務や魔物を討伐すると得ることができます。任務はそこにある任務板に貼り付けてあるものが一般任務となっています。他に知りたいことはございますか?」


なんとも丁寧な説明だ。ぜひ死んだ後うちの天国で働いてほし…ん''っ


「報酬を受け取るにはここの受付であっていますか?」

「はい。任務内容の紙と照らし合わせて達成していると確認できた場合、報酬が支払われます。魔物討伐の場合はそのモンスターだとわかる体の一部分を切り取っていただき、それを確認の材料とさせていただきます」

「もう聞きたいことはありません。ご丁寧にありがとうございました」

「それではお気をつけて行ってらっしゃいませ」


なるほど、パーティで組んだ場合折半だろうからソロがいいよな。

早速任務を確認するべく任務板へと足を運んだ。


能力説明

・翻訳スキル、フレンド・ウィッズ・ザ・ワールド(世界と友達)

取得したい言語の情報を一定量取り込むことで完全理解することができる。

随時発動させてないといけないが、脳がだんだん学習してくるため、

いずれ翻訳スキルを発動させなくても良くなる。

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