表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/41

6話 ショッピングモール偵察



 




 まずは立体駐車場を見ないといけない。


 俺は立体駐車場へと続く入口へと来た。当然入れないようにと、ゲートにはシャッターが降りている。

 しかしここの突破は簡単だ。

 スロープの横、幅にして20センチほどの足場を登って行くと、連続するスリットが現れる。そのスリットは人間が通り抜けられる。

 太っていたら無理だがな。俺は大丈夫!

 俺はスリットを通り抜けて、自動車が通れる登り通路に出た。このスロープから屋上まで行けるのだ。

 さらに偵察を続ける。


 しばらく登って行くと、以前働いていた時と同じ所に、監視カメラがあるのが見える。あの時のまんまだ。

 ならばカメラをかわせる。


 俺はスロープの左端を歩いて通り抜ける。

 ここのカメラは左端が死角になっていて、そこだけモニターに映らないのだ。

 俺は最初の難関を、いとも簡単に通り抜けた。


 さらに進んで、別の監視カメラ位置を確認。

 ここの監視カメラを避けるのは、ちょっとだけ難易度が高い。この監視カメラに死角はないのだ。

 だが避ける手はある。


 俺はスロープのガードの上に立ち、隣りのスロープへと飛び移る。通常なら下り専用のスロープだが、今は関係ない。車なんか走ってないからな。

 これでその監視カメラのあるスロープはパス出来る。こうなると、屋上までは問題なく行ける。


 次の問題は、強化ガラスを気付かれないように割る方法だ。

 割る事は出来ても、音で気付かれたら意味がない。

 

 俺は屋上の展望室の窓ガラスに接近する。

 誰もいない、大丈夫だ。


 軽くコンコンと叩いてみると、やはり分厚そうだ。こんなのを静かに割れるんだろうか。

 後で来た時に大きな音が出て作戦失敗とか目も当てられない。

 一応確認は必要だよな。

 試しに家から持って来たナタをガラスに当て、上からメイスで軽く叩いてみた。

 簡単に割れてしまった。

 結構な音もでたが、これなら警備室までは聞こえないだろう。


 何だ、意外と簡単に入り込めるもんだな。


 俺は静かに展望室へと入り込む。

 エレベーターとエスカレーターは動いていないから、階段で降りる。

 館内は照明が点いていないからかなり暗い。足もとに気を付けながら進む。

 エスカレーターにも監視カメラが向けられているから、ここは通らずやはり階段で進む。所々に監視カメラが見えるが、あれは全てフェイクの監視カメラだと俺は知っている。


 警戒しながらスタスタと階段を降りて行く。

 警備室は1階にある。

 そこには緊急用のバッテリーあったり、非常扉の電気開閉が出来る制御盤がある。全てではないが、一部のシャッターの開閉も出来る。3階に休憩室があるから、ヤンキー達がいる可能性がある。そこの近くは避けた方が良いだろう。


 俺は休憩室近辺を避けるため、別の通りの階段に出る。ここは窓がないからかなり暗い。真っ暗闇に近い。俺は暗闇の中、ゆっくりと階段を降りていく。

 作戦実行の時は、懐中電灯を持って来る様に伝えるとしよう。


 一階に到着。

 誰も出会わなかった。

 ヤンキーどもは、館内を巡回とかしないか。このルートならここまで問題なく、作戦メンバーは来れそうだ。


 さて、次の難関はここから警備室までの監視カメラだ。通り道は二カ所。

 だがその二カ所ともに監視カメラがある。ここのふたつは、どうしても避けられない。

 たが、警備室裏へのルート上にある監視カメラは、暗視機能が無く電気が消えていると殆んど見えない。気付かれずにスルーの可能性が高い。

 そもそも警備員経験者は一人だけ、外ならまだしも館内の監視カメラなんかいちいち見てないと思う。


 俺は試しに、警備室裏のルートへと回ってみた。

 やはり監視カメラの場所は暗い。これなら目を凝らさないと見えないな。ここまで来て見つかったら、元も子もない。俺は確認のため、先を進む。

 すると、とうとう警備室裏の扉の前まで来てしまった。

 中からは笑い声が聞こえる。

 最後にこの扉にカギか掛かってたら、突入出来ずに作戦は失敗になる。確認が必要だ。


 カギが掛かってないか、ドアノブをひねって確認する。


 大丈夫、開いている。


 ならばついでに、中の人数を調べておくか。情報が多い方が作戦成功の可能性が上がるだろう。

 俺は扉に少しだけ隙間を開けて、中をのぞこうと試みる。


 それとほぼ同時だった。

 中から扉が勢い良く開けられた。


 目の前にはヤンキーっぽい若者が、驚いた様子で俺を見ていた。


「だ、誰だてめえ……」


 先に口を開いたのはヤンキー兄ちゃんだ。

 

 俺は返答に困り、口から出任せを言った。


「は、配送で〜す……」


 数秒の沈黙。


 そしてヤンキー兄ちゃんが叫んだ。


「侵入者がいるぞっ!」


 くそっ、偵察がバレちまったか!


 俺は元来た通路を戻ろうと振り返る。

 しかし、そこにはまた別のヤンキー野郎がいた。


「てめぇ、どこから入りやがった!」


 マズい、完全に挟まれた。

 逃げ道が無いぞ。

 戦うしか無いのか?


 騒ぎに気が付いて、警備室から数人が顔を出す。

 その中には警備員の制服を着ている奴がいた。あいつの手引きか!


 その時、後ろから来たヤンキーが叫ぶ。


「ブッ殺せ!」


 その言葉が合図となり、警備室のヤンキーどもが、雪崩のように俺に殴り掛かって来た。


 俺は咄嗟とっさに左腕の盾で奴らを押し返す様に防ぐ。

 すると驚いた事に、ヤンキーどもが一斉に吹っ飛んだ。


「もしかしてシールドバッシュ?」


 ゲームに出てくる技で、盾で相手を押し退けるスキルだ。

 警備室から攻めて来た奴らは、まとめて吹っ飛んだ。この隙に、後ろのヤンキーを何とかしないと。

 俺が振り向くと、ちょっとビビった様子のヤンキーが、持っていた野球のバットで殴り掛かって来る。


「ざっけんじゃねえぞっ」


 俺は盾でそれを防ぐ。


 驚いた事に盾がデカくなり、ヤンキーの振るったバットを容易く受け止めた。


 盾に殴りつけたヤンキーは手がしびれたらしく、「いってぇ」とか言いながら一歩下がる。


 かなり心臓がドキドキしている。

 ヤンキーがビビってるが、俺もビビっているぞ。


 ヤンキーを近付けさせまいと、右手のメイスを振るう。


 それは勢い余って壁に当たった。


 物凄い轟音が響く。


 メイスが壁にめり込んだのだ。


 何つう威力だよ……


 驚いた様子で目を見開き固まるヤンキー。

 

 直撃してたら俺、人殺しだったよな……


 それならと、再びシールドバッシュ。盾でバットごと奴を吹っ飛ばす。


「うっわ!」


 吹っ飛ばされたヤンキーは、壁に体ごと激しくぶつかり、痛そうに床に縮こまってうめき声を上げる。

 骨折くらいしてそうだ。


 シールドバッシュも意外と威力がある。これでさえ、下手したら殺してしまう。力加減には要注意だな。


 俺は警戒しながら警備室をのぞく。


 最初に吹っ飛ばしたヤンキーども3人は、床にいつくばって苦しんでいた。大丈夫、死んでない。

 他には誰もいないようだ。


 床で転がる内の1人、警備服を着ている若者が、俺を恨めしそうに見ている。

 元はと言えば、こいつがヤンキーを中に入れたのが全ての始まりだ。


「おい、警備員のクセにやってくれたな。モールの集った人達がお前達をどうするか、見ものだな。まあ、覚悟しておけよ」


 警察が機能しない今、こいつらの生末いくすえは俺には分からん。


 観念したのか、ただ負傷箇所が痛いだけなのかは分からないが、ヤンキーどもは床を見つめたまま何も言わない。

 まずはこいつらを縛り上げる。

 仕切り柵用のヒモがあるのを俺は知っている。それを使って4人を縛った。


 これで捕まえたのは合計4人。

 たが全部で10人はいると聞いた。

 監視モニターで館内を確認すると、6人のヤンキーが通路を歩いているのが監視カメラに映った。いくつも高級服を手に持っている。

 売り場から盗んで来たんだろう。だが居場所が分かれば簡単だ。

 その通路の扉を全て閉めてやれば良い。


 俺は制御盤を操作。

 そいつらが通路に入ったところで、その前後の扉を閉めてやった。慌てるヤンキーどもが監視カメラに映る。

 何かわめいているな。

 中々楽しい。 

 どこへも行けないことが分かると、監視カメラに向かって何かを叫び出すヤンキー達。

  

 そこで俺は館内放送を使って、メッセージを伝えた。








前回の後書きでまだ理解できていなかった方がいらっしゃるようで、改めて説明したします。この画面の上の方と下の方に黄色の文字で「ブックマークに追加」と書かれた部分があります。まずはそこをクリックしてみてください。するとどうでしょう、あたかも世界が開けたようなスッキリした気分になりませんか?

え? ならない?

お、おかしいですね……ちょっと調べておきますのでブックマークの状態は変えずにお待ちください。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ