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4話 グレイトモール

ゾンビものの定番でありますショッピングモールの登場ですw

さてさて、まだ始まったばかりでストーリーも進んではおりませんが、ここらでブックマークなどいかがでしょうか。いえいえ評価ポイントはまだ良いですよ?

この先が気になる、という方は下の方に「ブックマーク」」というボタンがありますので、それをポチっとやってみるとポチっとした方だけが味わえる“満足感”を味わえます。そうぞお試しあれ!






 扉から飛び出した途端、現実に引き戻された気がした。


 目の前に広がるのは、荒れ果てた町。火の手が上がる建物の数々。ここは俺が住んでいる町。襲われた国、日本であった。

 

 戻って来たのは良いが、相変わらず酷い有り様だ。

 自衛隊は何をしているんだろうか。


 時計を見ると、もう昼過ぎになる。スマホがあれば情報を得られるのだが、無いものは仕方ない。

 俺はメイスを握りしめ、破壊された町を歩く。


 そこで空に何かが飛んでいるのが見えた。ヘリコプターだ。恐らく自衛隊か警察のだと思う。不思議だったのは、そのヘリコプターと同じくらいの大きさの“鳥”が飛んでいる。

 遠くで分かりづらいが、よく見ると鳥じゃなさそうだ。下半身が猛獣に見える。ファンタジー世界のグリフォンとか言う魔物じゃなかろうか。

 そのグリフォンがヘリに襲い掛かっている。しかし最後はヘリのローターに巻き込まれて、ヘリともども落下していった。


「マジか……」


 それよりまずは安全な場所を見つけないと。災害時の避難場所があったはずだ。そこへ行けば少なくとも人が集まっているし、人数が多ければそれだけゴブリンに抵抗出来る。

 良し、まずは避難所へ行こう。

 この辺りの避難所と言えば、小学校とショッピングモールだったか。ショッピングモールの方が近いな。そちらに向かうとするか。

 あそこのショッピングモールだったら、前に警備員として働いた事あるから使い勝手は分かるし、何より生活品や食料が豊富にある。


 俺はショッピングモールを目指して歩き出した。


 ショッピングモールに向かおうと大通りに出たのだが、破壊された車が至る所に放置されていて、道路の機能など果たしていない。

 裏通りも車が放置されてあったが、それ程酷くはなかった。これでは道路を車では走れない。となると、もはや車は使えない状態だ。

 走っているのはバイクとチャリンコ。

 特にバイクは凄いな。

 オフロードバイクだろうか。障害物を乗り越えて進んで行く。


 歩いていると、自販機からお金や飲み物を盗もうとしている奴らがいた。

 バールみたいなのでこじ開けようというのだろう。かなり苦労しているようだな。

 関わらない様に避けて行く。


 武器を手にした時の、俺の英雄気取り?

 何のことかな。


 ショッピングモールが近付いてきたところ、駐車場には人が大勢いるのが見えた。

 ここは“グレイトモール”という、商業施設が集まったショッピングモールだ。


 かなりの人達が避難して来た様だ。溢れんばかりの人の数。道路が使えないから車は少ない。それと負傷者がかなりいるみたいだ。駐車場にシートを広げて、多くの人が横たわっている。負傷者くらい、館内に入れてあげれば良いのにと思う。


 敷地内に入ろうとすると、止められた。


「待て、何しに来た!」


 金属バットやシャベルを持ったおっさん達だ。

 警察が機能してないから自衛団を作ったのだろう。

 俺も腰にぶら下げたメイスを握り、いつでも反撃出来る様にと身構える。


「避難しに来たんだけど」


 すると俺の言葉に即答だった。


「ここは一杯だ、他へ行け」


 は?


 俺はショッピングモールを見回す。

 立体駐車場は誰も居ない。

 確か立体駐車場の3階と4階も、避難所として開放するはずだったんだがな。伊達に2年間無駄に働いてないぞ。


「えっと、俺は前にここで働いていたんだけどさ、立体駐車場の一部は避難所として開放する取り決めのはずなんだけど、今見ると誰も居ないよね。あそこを開放すれば、まだ避難出来るんじゃないの」


 そう言うと、驚いた顔をするおっさん達。

 そしておっさんの一人が、興奮した様子で言ってきた。


「もしかして、君は元従業員なのかい?」


「はい、元ここの警備員です」


「え、元警備員なのか。君、ちょっとここで待っててくれるかい」


 俺の返事を待たずに、そのおっさんは居なくなる。


 何なんだろうか。


 しばらくすると、おっさんは一人の男を連れて来た。白髪の紳士といった風貌の老人だ。


「君が元警備員という者かね」


 その老人は、俺をジッと見つめながら質問してきた。

 その瞳を見ていると、心の中を探られている様な気さえしてしまう。


「はい、そうですが、あなたは?」


「これは失礼した。私はこのグレイトモールの支配人をしている者で、阿藤あとうと言います」


 げっ、支配人の阿藤さんかよ。まだ居たんだな。

 俺が働いている時も、支配人の名前くらいは知っている。面と向かって合ったのは、これが初めてだけどな。


「支配人の阿藤さんでしたか、以前はお世話になりました。前に警備室で働いていた間藤です」


「そうか、そうか。警備員だったんだね。それは良い」


 何が良いのだろうか。


「ここで何かあったんですか?」


 俺の質問に阿藤さん「まあまあ、詳しい話はこちらで」と言って、俺を敷地内にある仮設テントへと案内する。

 言われるがままに、俺はテントへと入って行く。


 仲は折りたたみ椅子があるだけの大きめのテントだ。

 その椅子に対面で座る、俺と阿藤さん。


 お互いに椅子に座ると、阿藤さんが話を切り出した。


「実はグレイトモールが、何人かの若者に占拠されてしまったのだよ」


 それは驚きだ。

 しかしその前に疑問が湧く。


「ちょっと待って下さい。おかしいですよね。確か館内には警備システムがありますよね。防火扉なんか電気制御出来るはずですから、それを知らない者が――」

 

 そこまで言いかけて気がついてしまった。


「――もしかして、その若者の中に警備関係者がいるんですか?」


 俺がそこまで言うと、阿藤さんは大きくうなずいた。


「そうなんだ。20代前半の若者なんだけど、入って半年でこの大事件だったんだ。そしたら仲間をここに呼んできて、あっという間に占拠されたって訳だよ。それで我々は外に追い出されたんだ」


 それは別に俺にとっては、どうでも良い話なんだよな。ここが駄目なら小学校へ行けば良いし。


「それで何故俺にそんな話を打ち明けてきたんですか?」


 そこで阿藤さん、俺の顔見つめながら言った。


「間藤君、君にこのショッピングモールの奪還の手伝いをして欲しい。いや、危険な事をさせようというわけじゃない。侵入経路を教えてくれるだけで良いんだ。後は格闘技の経験者がいるんで、そっちに任せるつもりなんだよ。勝手なお願いだが、ここにいる多くの避難者を助けると思って、何とか力になってもらえないだろうか?」


 おいおい、何か嫌な展開になってきたじゃねえか。

 ここで「だが断わる!」って言ったらどうなるかな。

 う〜ん、断りたい。

 面倒には巻き込まれたくない。

 もう英雄になるとか言わないから。


 こう言う場合は、どう断ったら一番自然だろうか。


 う〜ん…………良し!


「そのお願いだけど、俺に何のメリットがあるの?」


 どうだ、グーの音も出ないだろ。

 若干、悪者っぽいけど仕方無い。


 案の定、阿藤さんは口をパクパクさせて、次の言葉が出てこないようだ。

 良し、ここはさっさと立ち去るに限る。


 俺は無言でテントから出た。


 すると何者かが、俺に声を掛けてきた。


「あっ、せん君じゃん!」


 あだ名を呼ばれて驚き、声のする人物に目を向ける。

 するとそこには知っている顔。


「桜木さんが何でここに……」

 

 






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