表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界中が俺を狙ってる~地球がファンタジー化していくのだが、ずばり俺は救わない!~  作者: 犬尾剣聖
第二章 世界が変わり始めた

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/41

35話 魔法のベルト








 俺はメイスを振り回す。

 もうメイスの操作は手慣れたもので、壁に当てずに鉄球がゴブリン数匹をなぎ倒し、ジャラジャラと音を立てて元の位置に収まる。

 鎖付きのブーメランみたいな感じだな。


 前列のゴブリンが消えると、弓を持ったゴブリンが見えてくる。

 そして慌てる様に短弓を射ってきた。そいえば弓攻撃を受けるのは初めてだ。


 当然俺に矢が到達する前に盾で防ぐが、その瞬間に轟音と共に稲妻いなずまが発生した。

 さすがにちょっとだけビビった。


 きっと稲妻いなずまを発生させる魔法が呪符された弓矢なのだろう。

 でも大丈夫だ。盾のおかげで俺には被害はない。盾の表面を稲妻いなずまが伝い、周りに散っていくだけだ。

 それに指輪の知識がこの盾はまだまだ大丈夫と言っている。


 続いて矢が何本も射込まれてくる。


 俺は盾を構えてそれを正面から受ける。


 氷系の魔法だろうか、盾の表面が凍り付く。


 ただそれだけだ。俺には被害などない。


 次いで炎系が射込まれると、辺り一面に真っ赤な炎が広がる。


 俺には熱ささえ感じられない。やっぱすげえな、この盾。


 まるでファンタジー映画のワンシーンを観ている様で、恐怖などはない。


 全ての攻撃を防ぐこの盾に、俺は信頼感を得ていた。


 逆に攻撃してきたゴブリンどもが動揺し始める。その様子を見るに、かなり自信があった攻撃なのだろう。

 するとゴブリンどもは前に出て来なくなった。

 逆に徐々に下がって行く。


 すげ~、俺Tueee~状態じゃん!

 こういうのゲーム的に言うなら無双って言うんだよな?

 ゴブリン無双になるのか。


 ゴブリンどもが屋上への扉に引っ込んだところで、メイスをその扉に叩きつけた。

 すると扉がひしゃげて開かなくなる。これで奴らはしばらく入って来れない。


 俺はその間にやることがあるんだよな。

 分解したベルトを組み直す作業。仕舞っていた部品を取り出し、指輪の知識でもって組み立てる。屋上への扉を気にしながら組み立てる。なんだかドキドキするな。

 組み直した途端に認証登録が発動して、いきなり燃えて灰になるとかは勘弁だからな。


 しかしそうはならなかった。

 組み直して分かったが、認証登録は分解すると解除になる。これは指輪の知識にもなかった。そして組み直す時には、自由に登録出来る仕様だ。もちろん認証登録は俺だ。


 そしてベルトを腰に巻いてみる。

 力がみなぎる。


 試しに壁を軽く叩いてみた。それだけで壁が崩れてビビる。

 でも拳はなんとも無い。皮膚も強靭化するのだ。

 ヤバい、これでメイス振ったら建物が壊れそう。


 先ほど壊した屋上への扉の前に立つ。そして変形した扉を強引にこじ開けた。


 す、すげ〜パワー!


 その扉の向こうには、ゴブリンどもが集まっていた。屋上へ続く階段一杯ゴブリンだ。それが屋上まで続いている。そしてそいつらは俺が扉をこじ開けたのを見て、酷く驚いているようだ。


 俺は軽くメイスを振った。

 すると物凄い風が舞い、轟音とともにゴブリンの集団が屋上の方へと吹き飛んだ。


 軽く振ってこれかよ!


 その威力に自信を付けた俺は、ゴブリン達の集る屋上へと向かった。

 屋上へ続く階段を登って行く。

 まだ息のあるゴブリンは、消えずに階段に横たわっている。その横をゆっくりと通り過ぎる。時々そういったゴブリンが攻撃を仕掛けて来るが、軽い一振りで煙と化して消えて行く。

 瀕死のゴブリンの武器を取り上げて分解を試みるが、戦いながらの分解が上手くいくはずも無い。分解途中で消えてしまう。

 どれくらいのゴブリンを倒しただろうか。それにいくつの魔道具を分解しようとして、間に合わなくて消えただろうか。でも分解は慣れてきたかな。


 やっと屋上へと出ると、強い風が俺を迎えてくれた。

 そこにいたゴブリンどもは、飛ばされそうになりながらも必死に武器を構えている。

 本来は俺も飛ばされそうになるほど強い風だが、みなぎるベルトの力の前ではそよ風同然。


 俺がゆっくりと歩を進める。

 するとゴブリン達の眼には恐怖が見える。

 明らかにその感情は俺へ向けられたものだ。

 本当の俺はめちゃめちゃ弱いんだがな、この魔道具のおかげで圧倒的な強者だ。これが優越感というものなんだな。この気持ちも過去のモブの俺には無かった感情だな。

 

 そこへ新たな球体が屋上へと降りて来る。

 それが着陸するや中から出て来たのは、他の個体よりも一回りほど大きなゴブリン。

 他のゴブリンが革鎧なのに対して、そいつは部分的に金属を使った金属革鎧だった。もちろん魔石付き。さらにブーツと金属兜も魔石付き。手に持った盾と武器も魔石が埋め込まれている。

 全身魔道具で、歴戦の戦士と言った風貌のゴブリンだった。


 ヤベえのが出て来たもんだな。こんな奴に勝てるのか俺は。

 だけど俺の魔道具の魔石は色がついているが、奴の魔道具は剣と盾以外は普通の魔石だ。これならいけるんじゃないか。奴の剣と盾には黄色の魔石がはまっている。特に奴の剣は突起が多い変わった形をしていて、ちょっと注意が必要かもしれない。

 そいつの通り道を他のゴブリンどもが開けていく。

 その間をその戦士ゴブリンが通ると、他のゴブリンどもが言葉を発し騒ぎ始めた。

 

「「「ギッタン、ギタン」」」


 どのゴブリンも同じ発音を繰り返す。

 

 これだけ見ると、ジャングルの奥地に住む未開人みたいだ。


 そして戦士ゴブリンが俺の前に立つ。

 すると他のゴブリンどもが静まった。


 そこで戦士ゴブリンが何かしゃべりかけてきたのだが、全く知らない言語で意味が分からない。

 ただ、しゃべり終わったと思った最後に、手に持った黄色の魔石の剣で俺を差して言った。


「コロス!」


 周りのゴブリンどもが再び騒ぎ出した。

 この言葉はさすがに俺も理解出来る。


 気が付くと盾が自動防御して、戦士ゴブリンの剣を弾いていた。


 早いなんてもんじゃない。

 剣が見えなかったぞ!


 そこからの戦士ゴブリンの連続攻撃が凄まじい。


 俺の反射神経では盾防御が追い付けず、全てが盾の自動防御となるほどだ。

 

 戦士ゴブリンの剣を盾で防御する度に、嫌な火花が飛ぶんだが……


 わずかだが盾にヒビが入ってきた。


 俺も必死にメイスでの攻撃に移ろうとするんだが、俺がメイスを振り被ると戦士ゴブリンは立ち位置を変えやがる。

 そのまま強引に振り抜くと、空を切るだけだ。

 早い話、全く当たらない。

 当たらなきゃ巨人パワーの意味も無い。


 このままだと盾が壊れる。

 そうなれば俺も終わる。


 どうする?


 そこへ戦士ゴブリンが、身体を回転させながら横薙ぎに剣を振るってきた。


 回転斬りとでも言おうか。

 途中から早過ぎて目で追えなかった。


 気が付いた時には俺の盾と戦士ゴブリンの剣で、つばり合いの体勢となっていた。

 これはたまたま盾で受けられたに過ぎない。しかしこの状態ならこっちのものだ。


 俺には“巨人の力”のベルトがある。

 力比べなら負けないぜ!










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ