表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界中が俺を狙ってる~地球がファンタジー化していくのだが、ずばり俺は救わない!~  作者: 犬尾剣聖
第二章 世界が変わり始めた

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/41

31話 隠れ家崩壊










 避難ハシゴをスルスルと軽快に降りていくフェリスに対し、恐らく俺はもっさりと降りていく様に見えただろうな。

 それでも次々に下の階へと降り、フェリスか最初に地上へと降り立った。そして俺が地上へと足を着けた矢先、銃弾が飛んできた。

 上階から地上からと、容赦のない射撃だった。

 もちろんフェリスと俺は、盾の防衛機能のあかげで全くの無傷。そのまま走り出した。


「フェリス、どこへ向かってる?」


「決めてにゃいにゃっ」


 遠くからバタバタと音が聞こえる。それが急速に俺達に近付いてくる。振り向いてみると、それはヘリコプターだった。俺達の直ぐ後ろの上空を飛んでいる。

 

 そしてまさかと思ったが、撃ってきやがった。この街中でだ。


「フェリスっ、ロケット弾が来るぞ!」


 2発ほど発射した後、俺達の前を通り過ぎて行く。


 破片や爆風は全て盾が防御してくれるが、出来た道路の窪みは防げない。

 フェリスはヒョイヒョイと避けて走れるが、俺はそうはいかない。真っ先にすっ転んだ。


「どぅひっ」


 でも盾が優秀過ぎて怪我はしない!

 直ぐに起き上がって走り出す。


 だがそこへ再びロケット弾攻撃。

 

「くっそお、破れかぶれだ!」


 俺はロケット弾に向かってメイスの鉄球を伸ばした。

 こんなに鎖を伸ばしたのは初めてじゃないだろうか。どこまでもジャラジャラと伸びて行く。

 そして空中で突然爆発が起きた。ロケット弾に命中したのだ。


 ここからはまるで映画のワンシーンだった。


 その爆発にヘリコプターが突っ込んだ。

 ヘリコプターは一瞬で火だるまになり、急激に方向を変えて逃げて行く。しかし逃げた方向が悪過ぎた。俺達の隠れ家の方だ。

 そして偶然なのか必然だったのか、俺達の隠れ家のマンションに激突した。



 爆発と共に派手に吹き上がる炎。



 崩れ去るマンション。



 呆然とそれを見守る俺とフェリス。



「えっと、フェリス。これグリムには内緒な……」



「分かったにゃ……」


 ・

 ・

 ・ 

 ・


 しばらく歩き回った末に行き着いたのは、高級タワーマンションのエントランスロビー。俺達が勝手に桜木マンションと呼ぶ所。

 そこの受け付けで最上階に棲まう、桜木さんを呼び出した。


 エントランスまで降りて来た桜木さん、俺達の格好を見て言った。


「どこと戦争してきたのよ〜」


 受け付けやらガードマンの前で答えられるか!


「悪いけどシャワー浴びさせてくれないかな」

「頼むにやん」


 嫌そうな顔をするも、渋々部屋に案内してくれた。

 

 じゃんけんでフェリスに勝った俺が先にシャワーを浴びた。そしてスッキリしてリビングに戻ると、桜木さんが食べ物や飲み物を用意してくれていた。俺が戻ったのを見るや、フェリスは走ってバスルームへと行った。


 落ち着いたところで桜木さんに事情を聞かれた。

 俺は出されたコーラを飲みながら、桜木さんに説明する。


「実はな、俺達の隠れ家が所属不明の特殊部隊に襲われたんだよ」


「はあ? 所属不明って。それってさ〜、日本以外の政府機関だよね」

 

「やっぱそうだよな。日本語しゃべってたから、CIAの日本支部かもしれないよ。それとな、魔石武器を複数装備した大男も襲って来てよ、もう大騒ぎだよ。それで結局はマンションごと隠れ家は崩れ去っちまってね、隠れ家が消滅しちまったよ」


「エグッ、マジかぁ〜。あれ、グリムっちとメイプルはどこ?」


「あの二人は出掛けてたから無事だと思う。たださあ、連絡はとって無いんだよな。あそこがバレたと言うことはだよ、スマホが怪しいんじゃねって思ってよ、フェリスに電源切らせたままなんだよ。でもあの隠れ家が見つかるとは思わなかったなあ。あ、ここは大丈夫?」


 すると桜木さんはニンマリして言った。


「魔法障壁を舐めんなよ。この部屋ってゆうか世界各国にあるスパイの家はさ〜、全部魔法障壁付きなんだよね〜」


 世界中にあるのかよ、ビックリだな。


「そりゃあ良かった。ならしばらくはここで厄介になるからよろしくな」


「ちょ、ちょっと待った。しばらく厄介になるって何よ〜。そんなん良い訳ないっしょ」


 そこへフェリスがバスタオル姿のまま登場。


 俺達の側に来るといきなり身体を振った。


 ブルブルブルブルッ!


「冷てえだろっ」

「ひゃっ」


「さっぱりにゃあ~」


「それよりバスタオルだけでうろつくな!」


 そう俺が指摘すると、桜木さんが興奮した様子で言ってきた。


「し、尻尾っ、な、生尻尾!」


 そうか、桜木さんは生で見るのは初めてか。

 そこから小一時間は話が出来なくなってしまった。

 そして落ち着いた頃、俺が再び切り出す。


「今回の戦いなんだがな、俺のメイスが大男に効かなかったんだよ。下顎したあごに牙が生えてるトロルみたいな大男、知らないか」


「……もしかしたらだけどね〜、アブダクトされてあっちの世界に一度連れ去られた奴かも」


「どういうことだよ」


「子供の時にさらわれてさ〜、あっちの世界で身体をイジられるんだよ。フェリスみたいにね。それから数カ月したくらいにね、実験の為に再び地球に戻すんだってさ〜。そんな人間が何人かいるって噂を聞いたかな〜」


 酷いことしやがるな。


「そう言えば最近魔物とか発生する様になってきたけど、徐々に地球がファンタジー化していってないか。漫画やゲームみたいに、魔物から魔石が取れたりするしな。その魔物の数が増えてる。何か知らないか?」


「ああ、それねえ。それはねえ〜、あいつらが望む環境にしようとしてんじゃないの〜、多分だけどねえ」


「なんだ、多分なのかよ」


「あいつらが暮らす世界環境にさあ、似てきたな〜って思ったんだよね〜」


 そこでふと横を見ると、ソファーの上で丸くなり寝息を立てる猫がいた。フェリスだ。

 

「フェリスはお疲れちゃんみたいだね。仕方無いかあ、空いてる部屋を使って休んで良いよ。だけどやつらって突然来るから気を付けてねえ。そん時は速攻隠れてよね〜」


 その日の夕方、訪問者が現れた。

 だがゴブリンどもや政府機関ではなく、グリムだった。


 俺の予想通りだった。俺達が今隠れられる場所と言ったら、桜木さんの家しかないからな。隠れ家が破壊され、俺達と連絡取れなければここに来ると予想していた通りだった。


 しかしグリムの話を聞いて、状況は最悪だと知った。

 俺は玄関でグリムを出迎えた。


「グリム、無事で良かった。あとはメイプルだけが居場所不明なんだよ。妹も一緒だから心配なんだよな。知らないか?」


 俺がそう言うとグリムは下を見つめたまま答えた。


「申し訳ない、メイプルは奴らに捕まってしまった……」


「は? どういう事だよっ」


 グリムが言うには、2人で帰宅途中に隠れ家が崩れるのを見たらしい。ヘリが激突した時だろう。

 それで急いで戻ったら、特殊部隊風の奴らに周りを囲まれたそうだ。

 直ぐにグリムは幻惑魔法を発動させて逃げられたが、メイプルは押し潰される様にして抑えられたという。捕まってしまったのだ。










遂にストックが切れました。

ここからは不定期投稿となりますので、ご了承下さい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ