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世界中が俺を狙ってる~地球がファンタジー化していくのだが、ずばり俺は救わない!~  作者: 犬尾剣聖
第二章 世界が変わり始めた

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23話 天使教の支部を見つけた








 二人も敵にしてしまった。形勢不利なのは間違い無し!

 グリムは相変わらず「まあまあ」しか言わないし。そんなんじゃ静まらないぞ、これは!

 と、まあ人のせいにするのも良くないが。

 そこへ再び現れたのが店長だ。


「まぁた問題起こしたのかよ」


 何か口調が変わってるんだけどな。

 でもまた何とか誤魔化せるだろう。


「いや、何でもないから。じゃれ合ってーー」

 

 そこまで言った所で、店長の様子が激戦してるのを感じ取ってしまった。


「ーーえっと〜、店長さん、そんな怖い顔しなくても大丈夫だって……」


 そうは言ってみたんだが、その返答は凄まじかった。


「2度目はねぇ〜んだよ、2度目はよ。ちょいと裏へ来いや、おっさん」


 お、おっさんだと?

 まだ20代の独身男を捕まえてオッサン呼ばわり?

 

「おい、こら。誰がおっさんだと?」


 つい、言い返してしまった。


 すると店長事変勃発!


「てめぇしかいねぇだろ〜が、変な帽子被ったおっさん!」


 何でこんなおっさんに、おっさん呼ばわりされなきゃいけないんだよ!


「わ〜た、おっさん店長、行ってやんよ。その裏って所によおっ。後悔すんじゃねえぞ、こら!」


 グリムが「はぁ〜」と溜め息をつく中、桜木さんとフェリスは大興奮。


「キャハハハ、面白くなってきたじゃん!」

「どっちが本当のおっさんか対決にゃん!」


 俺とグリムが店の奥へと案内され、最終的には薄暗い部屋に通された。

 案内されたのは俺とグリムだけだった。桜木さんとフェリスは仕事中だからな。

「え〜、見たかったのに〜」とか「見たいにゃ〜」とか言いながら戻って行った。


 それで案内されたその部屋だが、照明が一切無く、ロウソクの火だけが灯る部屋だった。部屋の中には祭壇のようなものが壁際にあるだけで、他には何も無い。

 一言で表現するならば「不気味」である。

 さすがに暗すぎて、サングラスは外した。


 それで祭壇をよく見ると、そこには何かがまつられている。近くで見るとそれは石膏で作られた像だと分かる。

 その像は羽の生えた女性と、その周囲に群がる使い魔をかたどっている。その使い魔が、どことなくゴブリンに似ている気がした。


 それで分かった。

 ゴブリンは空から来た事と、使い魔に似ている事から、この像とゴブリンが信仰対象と被ってやがるな。馬鹿な集団だな。


 俺はくるりと振り返り、おっさん店長に言ってやった。


「お前ら天使教だよな。悪いがぶっ潰させてもらおう…………か」


 だがおっさん店長一人ではなかった。

 いつの間にかに4人に増えている。しかも全員が包丁を持っていた。


「さっきまでの威勢はどこいったんだ、ああん?」


 そんな事をおっさん店長が、ニヤニヤしながら言ってきやがった。


 メイスと盾はカバンの中だ。持って来てはいるけど、取り出す時間なんかくれないよな。

 俺はカバンの中にそっと手を入れようとすると、おっさん店長が直ぐに怒鳴ってきた。


「おいっ、変な帽子のおっさん、動くんじゃねえよ!」


「だから俺はおっさんじゃ、ねえ!」


 まあ、俺が動けなくてもこっちにはグリムがいる。神官服を着たグリムなら、普通に魔法が使える!

 と期待してグリムを見るが、小声で返された。


「攻撃魔法は持ってないんですよ」


 な、なんですと〜!


 意外とピンチじゃね?


 店長がなおも言葉を続ける。


「おら、つべこべ言ってないで、持ってるもん全部出すんだよ!」


 強盗と変わらないじゃねえか。

 だが、そこで救世主現る。


「も〜、うるさくて起きちゃったじやな〜い」


 そう言って俺のバックから出て来るキララ。こいつバックに隠れて、付いて来てやがったか。


 そして妹を見た天使教の4人だが、目玉が飛び出すんじゃないかと思うほど驚いている。


 そしておっさん店長が恐る恐る話し出す。


「も、もしや、貴方様は天使様でしょうか……」


 するとあっけらかんと返答する我が妹。


「そだよ」


 ああ、バラしちまったよ。

 

 しかし天使教達の反応は想像と違った。


「天使様だぞ、皆の者、頭が高い!」

「は、はは〜」

「天使様が降臨した、はは〜」

「はは〜」


 天使教の4人は土下座状態となった。


 しかし俺の妹が天使?

 天使教だから天使崇拝なんだろうげど。

 確かに妹本人も「天使になった」と言っていた。でも恐らくだが、こいつらが信仰する天使では無いとか思うぞ。キララはファンタジー的な天使だと思う。神様とは全然違う妖精であって、逆に言えば神様であってたまるか!


 だけどこれを利用しない手はない。


「おい、お前ら、ここにられるのはキララ天使様だ。今はこの下界に、お忍びていらっしゃっているだけなんで、こんなちっちゃい姿である」


 そこでキララが口を挟む。


「だ〜か〜ら〜、ちっちゃい言うな」


「そう、キララ天使様をちっちゃい呼ばわりしたら許さん。それに活動の邪魔も駄目だ。キララ天使様は下界の視察に来ているだけだ。この店に来たのもその一環としてだ。決して邪魔してはいけない!」


 そこまで言うとおっさん店長は、顔を伏せたまま言った。


「これは大変失礼しました。どうぞごゆっくりしていって下さい」


 やっぱり凄まじい変わりようだ。

 そう言えばこいつらに、聞きたい事があるんだよな。


「このビルの店ってお前らの店なのか?」


「はい、教団の所有するビルでございます」


 それは良い事を聞いたな。


「なら、毎月の上がりをキララ天使様へ献上しろ」


「はい、分かりました!」


「そうだな、定期的にここへ取りに来るとしよう」


「はは〜、了解しました。いつでもお待ちしております」


 すげ〜な、なんか急に偉くなってしまったな。それに、こんなビルを所有してるくらいだから、きっと大金を用意してくるだろうな。

 俺がニヤニヤしていると妹。


「何か良く分からないけど、お兄ちゃん嬉しそう?」


 すると店長が眉間にシワを寄せて言った。


「お兄ちゃん、ですか?」


 あ、ヤバい!

 兄妹関係だとバレると、誤魔化し切る自信が無い。


「ああ、そ、それは地上での設定だ。あまり気にするな……」


 そう言い訳をしたのだが、店長はまだ俺のことを怪しがる目で見ている。


「では、貴方様と天使様のご関係はどういったものでしょうか」


「護衛だよ。それに地上の案内役でもある」


「そうですか。ところで私とどこかで会った事はありませんか。よろしければその帽子をとって、明るい所でお顔を見せて頂けませんか」


 マズいな、サングラス外しちゃったのが悪かったのか。俺のことに気が付いたか?

 

 そこでキララが助け舟を出してくれた。


「この者は私の案内役、それ以上の何を知りたいの。あまり無礼はしないで欲しい」


 しっかり口調もそれらしくしゃべっている。

 それを聞いた店長と信者達は「はは〜」と言って、再び頭を深く下げるのだった。


 ナイスフォローだよ、キララ


 俺がこっそり親指を立てると、キララはウインクで返した。


「さて、天使様、そろそろ次の視察場所へ参りましょう」


 そう言ってくれたのはグリムだ。

 そうか。ボロが出る前に、この場は逃げるに限るな!


 だが最後に俺は言う事がある。


「おい、先程の指名した者達だが、天使様がその二人を所望している。連れて行くが問題は無いな?」


 あの二人から俺の素性がバレるのは避けたい。下手したらあの二人にまで、奴らの手がまわってしまうからな。


 店長は頭を下げたまま「ご自由にどうぞ」と言ってくれた。

 暗かった部屋を出ると、直ぐにサングラスを掛けるのを忘れない。顔バレしたくないからな。

 そして適当な事を言って、桜木さんとフェリスをビルの外へと連れ出した。


 連れ出した後の説明が大変だった。

 フェリスは俺達の事を知っているから良いのだが、桜木さんはそんな事は全く知らない。

 取り敢えず危ない宗教団体だからと言ったら、何とか納得してくれた。


 しかしあれだな。

 帰る前にさあ、せめて女子高生メイドの服を着替えるとか、出来なかったのかよ。

 町中で注目の的じゃねえか!

 おぢ達がエロい目で見てくるんだよな。

 気持ちは分かる、分かるぞ!


 けどさ、桜木さんとフェリスは全然平気っぽいけどな、意外と一緒にいるだけで俺は恥ずかしいんだぞ……











評価ポイントありがとうございます。

ブックマークもやっと4件まできました。

しかしながら思ったほど伸びませんでした。

残念。

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