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世界中が俺を狙ってる~地球がファンタジー化していくのだが、ずばり俺は救わない!~  作者: 犬尾剣聖
第一章 異星人襲来とその代償

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16話 自衛隊VS俺一人








 前方には自衛隊。

 直ぐに後方を確認。

 すると警官達を追い越し、自衛隊員が前に出て来ている。


「お兄ちゃん、自衛隊の人達にまで追われてたの?」


 妹の質問に俺は「世界中の諜報部員からもだよ」とは言えなかった。

 ただこれで俺は祖国である日本と敵対することになった訳だ。


 前後を塞がれたか。


 あれ? これって……

 この場所に誘導された?


 そこで拡声器から声が聞こえた。


『大人しく武器を捨てて降伏しなさい!』


 ふん、俺も舐められたもんだな。

 選ばれた者である俺に降伏しろだと?

 

キララ、俺の後ろから付いて来い。なあに、直ぐに終わらせるからよ」


「え? 何言ってるの。もしかして戦う気なの!」


「あったりめ~だ。降伏したら俺は実験台にされるからな」


「実験台ってーー」


 妹の言葉を待たずに俺は盾をかざし、前方の自衛隊へと歩き出した。

 

「お兄ちゃんってば、ちょっと待ってよ!」


 妹は小走りで付いて来る。


 その直後、右側の茂みから発砲があった。

 まさかの発砲だ。

 待ち伏せていやがった!


 数人での狙撃に近い発砲だ。


 盾が勝手に分身して右側へ現れ、勝手にライフル弾を弾く。

 盾の自動防衛システムのようだ。高性能すぎて怖い。


 狙撃が効果ないと判断すると、今度は右側の部隊の一斉射撃となった。恐らく一個分隊くらいだろう。

 初めて味わう一個分隊でのライフル射撃は、凄いなんてもんじゃない。

 しかし盾は現れては破壊されて消えるが、直ぐに新しく現れ全ての弾丸を跳ね返す。

 まるで俺の周囲で盾が点滅しているように見えた。


 すると自衛隊の行動は早かった。

 直ぐに撤退が始まった。

 後退射撃しながら下がって行く。

 よく訓練されていやがる。


 前後にいた自衛隊員も距離をとり始めた。

 そしてかなり遠くからの監視に切り替わった。


「お兄ちゃん、実際見ると映画の撮影かと思っちゃうんだけど……」


 とは妹の感想。

 だが俺も同感ではある。


「実は俺も今だに不思議でしょうがないよ」


 そう返した。


 結局、俺の暴れる出番は無かったな、と思ったのもつかの間。

 今度はドローン数機が接近して来た。

 


「ドローンが来るぞ。上に気を付けろ」


 迫撃弾を落としてくるか、ロケット弾を撃ち込んでくるかもしれない。

 この盾でどこまで防げるか。


 数機いるドローンは、俺達の上空で旋回を始めた。

 それを眺めている時だった。


 右側から銃声がしたと思ったらビシッビシッという音が近くで聞こえ、盾が現れては消えるそのたびに地面に弾丸が落ちた。

 その落ちた弾丸がデカい。

 俺のミリオタ知識が12.7ミリ弾だと訴える。

 軽装甲なら撃ち抜ける程の威力の弾丸だ。


「重機関銃だ。キララ頭を下げてろ!」


 盾の自動防衛機能が働いたようだ。おかげで命拾いした。

 しかしここにいたらマズいな。

 俺は妹を連れて、左側にあるミカン畑へと侵入した。


 その後も何発か撃たれたが、重機関銃の口径の弾丸でも効かないと分かると、その後は撃ってこなくなった。

 

 しかし段々とエスカレートしてきたな。その内、手榴弾とかロケット弾を撃ち込まれるんじゃなかろうか。

 ロケット弾はさすがに防げない気がする。


キララ、とにかく俺から離れるなよ」


 そう言って妹の手を引っ張った時だった。




 ――地面が爆発した。




 爆発物かよ!

 ミカン畑にトラップが仕込まれていたらしい。


 目の前に噴煙と火花が次々に交叉する。


 土や破片が舞い、視界が遮られる。


 俺は慌てて妹を手繰り寄せた。


 ・

 ・

 ・

 ・


 何ともないな。


 怪我もしてない。

 妹も無事だ。

 

 盾の防衛機能は爆弾にも有効ってことか。

 しかしさ、こんなの一般人に使っても良いのかよ。


 そこで自衛官達が、ミカン畑の手前まで進んで来たのを確認。しかしそれ以上は進んで来ない。

 やはり俺達はここに誘導されたのか。

 やってくれるな、自衛隊め。


 だが、俺に爆発物が効かない事が判明した。

 そうなったらトラップなんかも怖くない。


「お兄ちゃん、どうするのよ〜」


「普通に進むさ!」


 俺達は爆発を繰り返しながらも、ミカン畑の中を進んで行った。

 妹のキララはこんな状況なのに、良く堪えていると思う。


 そしてミカン畑から再び道路に出た。

 

 それでもやっぱり、俺達への付きまといは無くならない。自衛官と警察官は、しっかりと後方に張り付いていた。しかも左右と前方にもまだ数人見える。回り込んだんだろうな~。

 自衛隊のヘリが、負傷者を運び出しているのが見える。

 空飛ぶ魔物はもう出ないようだ。


 空を見上げると、ドローンもしっかり追尾して来ている。もうちょっと低空なら、メイスで落とせそうなんだけどな。


 そんな事を考えていると、ドローンの数が増えていると気付く。3機くらいだったはずが4機、いや5機か。違う、もっと増えている!


 そうじゃない、あれはドローンなんかじゃない。ゴブリンの乗り物だ!


 球体が徐々に降下して来る。

 警察官や自衛官も騒ぎ出し、しきりに無線連絡をしている。

 よく見るとかなり上空に立方体も見える。


 そしてあっという間に空は球体で一杯になり、自衛隊のヘリはいつの間にかに墜落し、球体はゆうゆうと地上へと降り立つ。


 そしてあの緑の悪魔が多数、地上へと降り立った。

 ゴブリンだ。

 だが前回とはちょっと違った。ゴブリンどもは、ガスマスクみたいなのを装着している。

 そこで思い出した。前回奴らは、咳き込みながら退却して行った事を。


 そして警察官や自衛官の発砲が始まった。

 ゴブリン部隊対自衛隊と警察の戦いだ。さらにゴブリンは俺にも仕掛けて来る。三つ巴の戦いだ。

 

 流れ弾が飛んでくるが、全て盾が弾き返す。さらにゴブリンの弓矢も跳ね返す。でもゴブリンの放つ矢は魔法の矢。だから命中した途端に、爆発したり電撃があったり凍ったりする。

 初めて見た魔法矢にちょっとだけ興奮した。


 それでも俺の盾は全てを防いだ。

 すばらしい!


 自衛隊と警察官達も頑張っている。頑張ってはいるんだがね、やはりゴブリンは数が多い。

 数で押されてしまっている。だがそんな中でも、警官隊がゴブリンを数匹確保して手錠を嵌めているのが見えた。

 すげ~、捕らえたのかよ!


 さらに今回の自衛隊は空からの援軍があった。しばらくして二機の戦闘機が飛来した。

 航空自衛隊の戦闘機である。


 その二機の戦闘機が母船である、浮遊する立方体に向けて2発のミサイルを発射。

 ミサイルは難なく命中。

 地上の自衛隊と警察官は大喜びだ。


 しかし喜ぶのはそこまでだった。


 ミサイルが命中して爆発はするが、立方体はキズひとつ無いように見える。立方体は依然として浮いたままである。

 二機の戦闘機は再度攻撃を試みようと、大きく旋回してミサイルの発射態勢をとる。

 そこへ球体が接近した。

 あり得ない軌道をとって、二機の戦闘機に急接近。そこで突如、球体からひとつの目が出現。球体の目が開いたと言った方が良いかもしれない。そしてその開いた目から火の玉を発射した。ファンタジー的に言えば「ファイヤーボール」である。

 二機の航空自衛隊の戦闘機は、フレアを飛ばしたり回避を試みるがあっという間に撃墜された。


 そうなると自衛隊や警察官の気合いも落ち、地上でもゴブリンに対して劣勢になる。


 俺達はこの隙に、ここから逃げ出そうとするのだが、ゴブリンどもが黙っていなかった。

 俺達にゴブリンが集まり出した。

 それどころか、球体が俺達の近くに着陸し始めた。あっという間に数百体のゴブリンに囲まれるこの状況。


「この盾とメイスが狙いか……」


 間違い無い、こいつらは盾とメイスを取り返しに来たな。


 ゴブリンどもは、俺達の周囲を完全に囲んでしまった。













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