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親方が、建築に取りかかる前に整地をする作業があると言っていたけど、それ以外にもやる事はたくさんあるよ!
まずはメインの檜のお風呂!
いや、お風呂だけじゃない建物全体か。
この世界というか、この国に檜のような香木があるか聞いてみた。
香りという、目に見えない物を説明するのは難しかったけど、結果からいうと香木はあるし、香木で建てられた邸もあるそうだ。
高価な物なので、もちろんお金持ちや貴族の邸でしか使われないとの事。
親方の工務店は庶民の家しか建てた事がなかったから、香木での建築は初めてだって。
しかもけっこう贅沢な造りときた。
一生に一度の仕事になると、親方たちはたいそう張り切っている。
一番最初にサイードから、腕はいいけれど悪どい親方だと聞いていた。(こんなストレートな言い方じゃなかったっけ?)
だけどお風呂場の時も思ったけど、どうもそんな感じではないような~?
あぁ、腕がいいというのは本当だけど。
私は建物の専門的な知識はないけれど、これいいなとか、これ好きだなという自分の感性でいいと思える物ならいいと思っている。
脱衣所と洗い場は十分いい物だと思っているよ。
この国なのかこの時代なのか、一般庶民の個人宅にお風呂はない。
香木で、うちの男湯くらいの湯船を作ってもらう事は可能なんだろうか?
そういえば源泉かけ流しの給湯装置(というのかな?)は、スーさんだよね。
それならば湯船もスーさんに聞いてみようかな。
それ以外は親方にお願いできるだろう。
なんせもう造ってもらってるしね!
トイレもスーさんに頼むことになるね。
洗面所とか水回り系、排水なんかもお願いしなければならないか。
あとは造園業ってあるのかな?
物語では、貴族の邸のお庭は美しく手入れがされている、とか描写があったから、きっとその手のプロだっているはず!
あれ?お抱えの庭師だったかな…?
そこも親方に聞いて、人で無理ならスーさん頼みだな。
まだまだある!
タオルや、浴衣代わりの部屋着は用意できる。(三種類買った部屋着のうち、もう一種類は手つかずにしてたから)
イメージは日本旅館なんだけど、座卓に座布団という訳にはいかない。
テーブルセットとかベッドなんかの家具や、ソファーとクッションもほしい。
あとは大事な敷布団!
それと、暑い地域だからタオルケットなんかがほしいけど、タオルの製法は確率されてないんだろうなぁ。見た事ないし。どうにかできないかな…。
まぁ、その辺の発注と。
食器類も揃えなくちゃならない。
直接窯元にいって発注してもいいものかな?
カトラリーもは金属だから、また別のところだよね…。
あぁ!厨房の調理器具も揃えなくちゃだ!
制服も作りたい。
白シャツに、動きやすいようにズボンがいいんだけど、この時代の女性には受け入れられないだろう。
スカーチョにしようか。ちょっと見スカートっぽいからお客さんからの見た目もOKだし、うちの子たちは穿きなれている。動きやすいしね。
色は黒…、じゃ暑苦しいから、清涼感のある紺色で♪薄い布地で作ってもらおう。
これはアイシャのところで発注だな。
うちっていいお客さんだよね。
パッと思いつくだけでもこれだけある!
後から後から、そういえばこれもこれもと出てきそうで怖いわ。
漏れがないようにいちいちメモしておかなくちゃ!
親方のところに依頼に行って二日後、整地をしてくれる職人さん?業者さん?が来てくれた。
毎度仕事の開始が早い。上の子たちを送り出すと早々にやってきた。
ほんとこの世界の人は働き者が多いよ。
挨拶を交わして、いつも通り麦茶を用意すると、思った通り親方たちと同じ反応をされた。
これ、お昼にお味噌汁を出したら、やっぱり同じ反応をされるんだろうなぁ。
そんな風にして、前庭の作業は始まったけど、私たちもほとんど毎日出かけている。
主に色んなお店や職人さんの所へ発注に。
椅子と桶を依頼した木工師さんには、香木で椅子と桶を四つずつ追加。
…予備も入れてもう少し頼んでおこうかな。
それから家具も頼もうと思ったら、家具はまた別に家具職人さんがいるそうで、そっちを紹介された。
椅子と桶をお願いしたら、当然脱衣所のカゴもいるよね!カゴ職人さんにも発注する。
紹介された家具職人さんのところに行く。
ダブルサイズのベッドを四つと、折り畳みができるシングルベッドを四つ。
それから三人掛けくらいの幅広ソファーもほしいな。それを二つ。
お風呂にほしいリクライニングチェアーも四つ。熱くなった時の湯冷まし用ね。
毎度絵に描いて説明したよ。
全部香木で作ってもらえるよう発注する。
客室とは別に、厨房で使う作業台や椅子なんかもお願いする。こっちは普通の木でいい。
後は窯元にもいく。
要望を伝えつつ、必要な大きさ、形、個数を発注する。割れちゃった時のために多めに。
思いついたものがあってそれも大量に♪
カトラリーや、厨房で使うお鍋やフライパンなんか金属製品は、サイードに伝手があるそうでお願いした。
当たり前だけど仲介料は払うよ!
それからお布団だよね!
制服と一緒に、またアイシャのお店に作ってもらえるか聞いてみたところ、作ってもらえる事になった!さすが上客(笑)
ついでにクッションも作ってもらえる事になった。ありがたや。
タオルケットが諦めきれないので、生地の問屋さん?を紹介してもらって、うちのタオルを見せて同じに織れるか聞いてみた。
パイル地というのを初めて見た問屋さんは驚いて、手触りに感激していた。
そして、きっと作り上げてみせます!と受注してくれた。
余談だけど、この町から大陸中にタオル文化?は広がって行ったよ。
今度もクバードに言われて発明ギルドに登録した。ついでにリクライニングチェアーもね。
松葉杖の時と同じく利益権は放棄した。
これも私が発明したんじゃないし、なるべく私の痕跡を残したくないのは変わらない。
みんなが暮らしやすくなってくれたらそれでいいわ。
こんな風に午後は町中を歩き回っていて、夜は子供たちが寝静まってからスーさんと話し合いを進めている。
水回りはもちろん、厨房の竈や窯なんかも請け負ってくれた。
よかった!このうちの台所に慣れてきたところだったんだよね。
同じ仕様にしてくれるって!
それから、透かし彫りの引き戸も作ってくれるって!
これね、木の細工師さんに頼みに行ったんだけど、私の要求には応えられないって。
どうも日本人の職人技は緻密すぎるらしい。
魔族の中には、思っている事を読み取って複製する事ができる人?がいるんだって。
『そのうちコハルの元に向かわせよう』
見た目怖い感じじゃなかったらいいな…。
それから庭造りもお願いしてみた。
やっぱり庭師ってお抱えらしく、町の職業ではなかったよ。
まぁ個人で庭園なんてないしね。
うちの裏の林って、高原みたいで爽やかなんだよね。
こういうの、露天風呂からの眺めにほしいな。
今はだだっ広い空き地だし。
それから中庭!
通路には平たい飛石を置いて、向かい合わせの客室の視界を遮るくらいの植物を植えたい。
これも思いを読める魔人さん?が複写して、それを元に近いイメージで土魔法の使い手さんが造ってくれる事になった。
日本じゃないしね、同じ木があるかわからないもんね。
鹿威しなんかいいなぁ…。
茶室はないけど蹲踞もいい。
しみじみ色んな構想をしていて、ふと気づいた。
あぁ、私日本不足なんだ。
目に見える物が西洋ばかりだもんね。
これで日本食が食べられていなかったら、もの凄いホームショックに陥っていたんだろうな。
やだ、私思ってたより日本が好きだったんじゃん…。
造園する時は、京都のお寺なんかにある石庭っぽいのも入れてもらおうかな。
しんみりする気分を引き立てるように、私は次々要望を考えていった。




