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その日の夜、帰ってきた上の子たちと夕ご飯を食べながら温泉お宿の話をする。


敷地内での開業になるから(温泉と結界がある安全性のため)生活の変化は慣れるまで色々と不便や迷惑をかけると思う。


一緒に暮らしてるんだからね。

きちんと説明して、納得して了承してもらわないといけない。


反対なら別の場所に開業する事を考えよう。(温泉と結界はスーさんにお願いだ)

ユーリンとシリンは大事だけど、他の子もみんな同じに大事だもんね。


「賛成するよ。外に出ないで働けるならその方がいい」


テオスは安心したように言った。 

優しい長男だよ。


「私も賛成するわ。あ、でも私たちが安心してお風呂に入れるようにはしてね!」


アイシャも賛成してくれた。 

お風呂好きな彼女らしい条件付きに笑ったけど!


「コハルさんのやる事がどんなものかわからないけど、面白そうね!」


マリカも賛成してくれた。 

自分の方が面白そうに笑ってるし!


「俺もいいと思う。温泉に入れるようになるなら、親方たちも喜ぶわ」


ジダンもうっすらと笑顔で賛成してくれた。 

職場の環境はよくなったのかな?


「みんなありがと!みんなとの生活がなるべく変わらないようにがんばる! 

とにかくやれるだけやってみるわ!」


がんばれ~!と、四人から声援が飛ぶ。


「温泉お宿かぁ…。 あの温泉に、コハルさんの美味い飯。繁盛しない訳ないな」

「あらサイード。まだやってもみないうちからずいぶん評価が高いのね」


毎度一緒の食卓についているサイードも賛成してくれている。


「評価が高いっていうか、事実だし」

「ありがと♪」


まぁ言ってる事はわかるけどね。

それでも褒められるのは嬉しいわ。


「じゃあ明日ジダンのとこに行くね」

「わかった。朝、親方に言っておくよ」

「ありがと♪ お昼には行くから。手土産はまた肉巻おにぎりでいい?」

「やった!弁当もそれにして!」


その会話を聞いていた子供たちが我先にと


「コハルさん、俺も肉巻おにぎり弁当がいい!」

「私も!あれ美味しいわよね~!」

「お店でも料理長が興味津々だったよ。あげなかったけど!」


アハハと笑いが起きる。

肉巻おにぎり好評だな~。 


と、サイードがいじけている。


「なにそれ…。なんか美味そうな話してるけど、俺だけ知らないし…」


二十五歳の立派な男がいじけないの!

子供たちの兄ちゃんでしょ!


「明日の朝来られるならサイードの分も作っておくよ?」

「来る!!」


かぶり気味の即答に、子供たちがジッとサイードを見ている。

サイ兄、立派な兄ちゃんの威厳がどっかにいっちゃってるよ?




その夜、子供たちが寝たのを確かめてから、さっそくスーさんに報告する。


「スーさん、スーさん。聞こえますか?ど~ぞ」

『……コハル、早かったな。もう決まったのか?』


この呼びかけ通例になりつつあるな。

スーさんも、どこで何をしているのかわからないけど、いつも返信が早いし。


「はい!ユーリンもシリンもやりたいって。上の子たちも賛成してくれて、とにかくやってみようと思います」

『そうか。思うままにやってみろ。わたしもできる事は協力する』


心強いお言葉!

いくらお金があるからといっても、私が考えているお宿はそれだけではできない。

スーさんと、魔獣さんとかスライムさんなんかの協力が必要だ。


「ありがとうございます!ずうずうしいですが、お願いする事がたくさんあります。その時はよろしくお願いします!」

『なに、子供たちのためでもある。こちらこそよろしく頼む』

「はい!」


頼もしい。百人力どころか百万人力だ♪


「ではまた何か決まったら報告しに来ますね!おやすみなさい」

『あぁ、まっている。おやすみ』


スーさん頼みは少々情けないけど、私は私ができる精一杯を頑張る!

私一人じゃなく子供たちもいるから失敗しないように、したとしても被害が少ないように、準備は万全にしておきたい。サポートはお願いしておく。


ひと仕事を終え、安心して大あくびをしつつ家に戻る。

まだ何も始まっていないけど、私は一仕事を終えたような安らかな気持ちで眠りについた。




翌朝、ジャムパンの朝ご飯を食べると(パンだけじゃないからね!)肉巻おにぎり弁当を持った子供たちは嬉しそうに出て行った。

あんなに喜んでくれてこっちも嬉しいわ。作り甲斐があるよ。


それから休憩がてらゆっくり朝ご飯を食べると、日課のお洗濯とお掃除を始める。

ローラには手土産の分のご飯を炊いてもらう。来年のために炊事に慣れないとね!


そうそう。貴重な男手、エラムがいなくなってしまったのでスーさんに水道?を作ってもらった。


一抱えもあるような、岩というか石臼の上部には、どういう訳か水が湧いていて、そこに出来ている注ぎ口から常に水が落ちているという、画期的な作りになっている。


ゆすぎの時には注ぎ落ちている水の下に洗濯機様を置けば、水汲みの重労働もなく流水ゆすぎができるという優れものなのだ♪

バケツに水を汲むのも超楽ちん♪


そんなお洗濯とお掃除が終わったら、みんなで手土産の肉巻おにぎりを作る。


ローラは炊きあがったご飯を広げて冷ましておいてくれた。

何も言ってなかったのに、毎朝私がおにぎり弁当を作っているのを見ていて、そうしてくれるなんて、ローラったらやるな!


特に教えた事でもない、やりなさいと言われた事でもない事を、自分で考えてやれるってすごい事だと思う。


「ありがとローラ!さすがだね!熱くないからすぐ握れるよ!」


私は褒めて育てるタイプなのだ♪

ローラは嬉しそうに照れ笑いしている。


ちなみにお弁当箱のお弁当はしない事になった。

こんな感じのお弁当、どお?と意見を聞いたら、悪目立ちするからって却下されたのだ。

おにぎりだけでも十分美味しいからいいんだって。

おにぎりは見た目が悪いから(海苔のせいで黒い塊にみえる)硬い黒パンなみの認識らしい。

それはそれでなんか微妙…。


話を戻して。


「ユーリンは手が早いね~!もうそんなにできたの?」

「シリンは丁寧だね!形が綺麗だよ!」


もちろんユーリンとシリンも褒める!

社員教育は始まっているのだ♪


肉の巻き終わりを下にして焼きだす。転がしながら全体を焼いて焼肉のタレで味付けをしたら出来上がり!

こんなに簡単なのに見栄えがするから手土産にはピッタリだ♪


持っていく分の粗熱をとっている間に、私たちは熱々を早お昼にする。


あ、そうそう。

小皿に肉巻おにぎりをのせて外に出る。


「今日もありがとう!久しぶりの肉巻おにぎりです。魔獣さんも好きならいいな」


洗濯機様の前に肉巻おにぎりを置いた。

相変わらず姿は見えないけど感謝の気持ちは忘れずに♪


さぁ食べ終わったら、行きますか♪




あ、サイードはちゃんと肉巻おにぎり弁当を取りに来たよ!




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