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ご飯が終わって、女子チームが後片付けをしている間に男子チームがお風呂に行く。

サイードさんも引っ張って行かれたよ。


あっ!脱衣所と洗い場と仕切り~!

スーさんに相談したかった~!!

しょうがない、また明日だな…。

今温泉に近づいたら痴女になってしまう。


お風呂から上がってきたサイードさん、塩やコショウやご飯にも驚いていたけど、お風呂にも大興奮していた。

まぁあの規模の源泉かけ流し露天風呂は壮観だよね。

それとボディソープやシャンプーやトリートメントも初めて見るものだろうし。


今はよく見えないけど、明日の朝になったらツヤツヤピカピカに二度びっくりするよ?

驚き顔が見られないのが残念だ!


入れ替わりにお風呂に行こうとすると、そろそろ帰ると呼び止められた。


「自分の商売もあるので、ギルドによってから来ると夕方になってしまうと思いますが、必ず来ます。なるべく高く売ってきますね!」

「サイードさんはお仕事を始めたばかりなのにご面倒をおかけます。お忙しいと思いますが、よろしくお願いします」


私はしっかり頭を下げた。


「いえ、これも商売ですから。それと、俺の事はどうぞサイードと呼び捨てでお願いします。さんづけなんて誰からもされた事がないので慣れません。親しいヤツなんて、単にサイと呼びます」


ちょっと恥ずかしそうにそう言って笑った。

ほっこりする笑顔だ。

本人がそう望むならそう呼ぼう。二十五歳の彼は私より七つも年下だし躊躇はない。

私が七つ上だと言うと驚いていたっけ。

東洋人顔あるあるかな?


「そういう事なら、わかりましたサイード。私も親しくなって、サイと呼べるように仲良くしてくださいね」


冗談っぽく言って笑うと、サイードは、え!と目を丸くしてーーー


顔が赤くなっていった! 

目はまん丸なままだし! 


えぇー!何故照れる?!

ピュアだな!いや、ピュアというのか?! 

異世界の男性はみんなこんななのか? 

サイードがピュアなのか??

私も焦って赤くなっちゃったじゃないか!!


まぁ…。

ニヤニヤした子供たちとサイードを見送って、明日に続く。




この世界に来て四日目。

今日も朝ご飯とお弁当作りから始める。

お弁当箱があったら、おかずもありのお弁当が作れるんだけどな~。そのうち市場に(スーパーとかデパートはないイメージだし)行ってみたい。


慌ただしく上の子たちを見送って、下の子たちとゆっくりご飯を食べたら、お洗濯を始める。

あぁ、洗濯機がほしい…。

洗濯機だけじゃない、脱衣所と洗い場と仕切りもほしい。早急に。


掃除はまぁ、今のところやりようがないかな。

やっぱ土足の生活じゃ、今以上にはならないだろな~。などと考えながら、せっせと手は動かす。

今日もいいお天気だ。


洗濯機があれば時間に余裕ができるのに…。

聞いたところ、この町には(この国の庶民には?)学校がない。必要な事は勤め先で必要な事だけ教わるらしい。

なので下の子四人は学校には行かず家にいる。

ちなみに、下働きとか見習いはだいたい十二歳頃から行くようになるんだって。


上の子たちはそれぞれの勤め先で必要な事を教わっているらしい。

とはいっても、字を教わったのはテオスだけとの事。


テオスは代筆屋の下働きから始めて、丁寧な性格を見込まれて字を教えてもらった。

ご主人のお眼鏡に叶い、綺麗な字を書くテオスは成人したら本採用になれるとの事。

ちなみに成人は十五歳だって。早っ!!


アイシャは仕立て屋さんの見習いで、主に刺繍なんかをしているそう。

それだと字が書けなくても算数が出来なくてもいいのでどっちも教わってない。


マリカは食堂で給仕をしている。よく通る声と明るい性格があってるね!

ここもオーダー表をつける訳でもなく、会計もおかみさんがしているから、読み書きも算数もできなくていいらしい。


ジダンは身体が大きいのと力もあるので、大工さんの見習いだって。

これも職人技がものをいう仕事だから、特に字も算数も必要ないらしい。本当かい。


異世界あるあるだけど、識字率は低そうだね。

算数もどのくらい普及しているかわからないし…。

知っていれば便利だと思うんだけどな。選べる職業も多くなると思うし。


そういう訳で、家にいる四人には勉強を教えたい。

私にこの国の読み書きができるかわからないし、算数も十進法じゃなかったら教えられるかわからないけど。

これも異世界補正があればいいな。そしたらこの子たちに文字や算数が教えられる。

まぁまだここに来て四日だ。順々にできる事からやっていこう。




お昼ご飯を食べたら、午後はお掃除をする。

三日目ともなればだいぶ綺麗になってきた気がする。

いや~、初日はひどかった!もうあんな状態にはしないぞ~!

 

お掃除が終わったら、子供たちお待ちかねのおやつの時間だ♪


「今日もチョコレートとミルクでいいの?」

「チョコレートがいい!」

「他にもあるの?他も気になるけど…、でもチョコレートは食べたい…」


悩む顔も可愛いな!


「明日もあさっても、みんなで家の事を頑張ったらおやつはあるから!いつでも違うものを出してあげるよ」


笑いながらそう言うと


「「じゃあやっぱり今日はチョコレート!」」 


安心したように声が上がった。

初めて食べた美味しいものって衝撃的だもんね。飽きるまで食べたいという気持ちはわかるよ。


それではと、みんなでおやつの時間にする。


私はまだ子供を産んだ事はないけれど、元々子供好きだった。姪や甥はめちゃくちゃ可愛い。

そんな私は、結婚はしなくていいかな~と思いつつ、子供はほしいなぁ…、などと思っていたり。

まぁ子供の将来とか責任とか、色々考えちゃうと簡単にシングルを選べないんだけどね。


そしたらこんなに子供に囲まれた生活ができるようになるなんて!


……異世界だけどさ。もしかしたら長い長い夢を見ているだけかもだけどさ。


それでもとっても嬉しい!子供たちはみんないい子だし。


まだまだお互い遠慮というものはあると思う。

素を出しあうようになったら衝突もあるかもしれないけど、大好きな子供と一緒に暮らせるスローライフ!幸せだな~と、笑顔になってしまう。


私にできる事は何でもしよう!

みんなが幸せになれるよう全力でサポートするぞ!

鼻息も荒く決意していると、ガラガラゴトゴトと昨日も聞こえた音がする。


あら?夕方になるかもって言ってたけど、昨日よりちょっと早いくらいじゃない?

私は立ってドアを開けた


「こんにちは。サイード早かったですね」

「こんにちは。仕事のきりがよかったもので」


昨日と同じ穏やかそうなお兄さんが、荷台から大きな革袋を持ち上げて、かかえるようにして入ってきた。


入ってきたとたん、閉めたドアに持たれるようにヘナヘナと崩れ落ちていく。

今までの笑顔が嘘のように泣き笑いになってるし!どうした?!


「サイード!大丈夫?!どうしたの?!」


子供たちも、サイ兄!サイ兄!と集まってきた。


「大丈夫です。お恥ずかしい。気が抜けちゃって…」

「ユーリン、お水を持ってきて!」

「うん!」


サイードはコップの水を一気に飲むと、やっとひと心地ついたようで


「ありがとう。もう大丈夫です」


うん。顔色も少し戻ったようだ。

しかしいったいどうしたっていうのだろう?



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