わたしたちは蒼穹を目指す ~真冬の入道雲~
「ナイン、エイト、セブン、シックス、
「イグニンション、スタートコンファルモーション」
「クリアー」
「ファイブ、フォー、スリー、
「コネクティング、オールスレイブチェック」
「チェック」
「ツウ、ワン、
「コンタクト」
「ゼロ、ワン、ツウ、
「パワー、シフト、ファイブハンドレッド」
「スリー、フォー、
「ナウオンマックス」
「ファイブ、
「OK、リフトオフ」
「リフトオフ、サー」
「シックス、セブン、エイト、ナイン、テン、オーバー」
「離床確認、JST 14:10:08、二秒ずれちゃったね」
「無駄口禁止、飛翔体現在高度、400、800、1,300」
「角度正常、ビーコン起動良し、あーっ」
「アント、クリアー!」
「パッシブロスト! 見りゃ分かるか」
「エンジンかな」
「だねー。漏れてドンでは無さげだよね」
「パラシュート、開かんねー」
「そりゃバラバラでしょうよ、あれじゃあ」
「あーあ、またバイトだなー」
「ほん、決めたかったんだけどなー、今回で」
「かむちゃん先輩は、いつまでここに?」
「2月の初めに入寮だから、あとひと月少しかな」
「ひと月だと、もう一基は厳しいですね」
「そんな君たちのために、ほれ」
「おーが先輩、何事?!」
「実はチケット貰ってん。簡易ドップラー付のミニセット」
「なんですとー」
「実はもう、頼んであったり」
「さらになんですとー」
「フェス参加が条件だけどなー。揚がらんかったら実費でお買い上げ」
「マジすか!」
「マジの大マジ。どうする?」
「やる!」
「やります」
「やらいでか!」
「おしおし、ちなみにお買い上げ金額これなー」
「うげ、マジ死にますやん」
「まあ、素で買うよりはお得感ありますけど」
「パフェ何杯分なのかな」
「まー、駄目だったら駄目であたいが春から頑張って返すけどな、体で」
「給料で、でしょうが!」
「で、かむ、あんたもやる?」
「混ぜて貰って良いの?」
「当り前じゃん、まだこっちにいるんだろ、成人式」
「うん」
「じゃあ、ぱあーとやりましょうよ、最後にみんなで」
「ええ」
「ん、どした、むつ坊?」
「なんか、入道雲みたいだなって。季節外れの」
「そりゃ、似たようなもんだからな。って、破片回収せにゃ!ビーコン拾えてる?」
「さっき、ロストって言いましたよね?」
「しゃあない。みんな入道雲へ向かって走るぞ! かかれ!」
「「「サー」」」
「年寄りは後からゆっくり行くので、よろしくね」
「ひどくないですか、先輩!」
ある冬晴れの日の一コマを切り取った会話劇。
地の文はなしです。