表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/222

17 第三回シェリル様信用回復会議

使用人視点→主人公視点→クラレンス(テナーキオ国王)視点。


※一部加筆・修正しました。 2021.1.25




 ※




 シェリルの容態が安定し夜も心配する事なく眠れる様になった頃、また夜な夜なフィランダーと使用人達が使用人室に集まっていた。


「では、第三回シェリル様信用回復会議を始めます」


 今回使用人室には前回と同様の使用人達とフィランダーがいた。


「お詫び行脚を妨害するという事件をきっかけに、シェリル様が若とのデートは難しいと結論付けてしまいました」

「でも……彼女達は魅了にかかっていただけでしょう? もうそんな心配はないんじゃ……」

「若が目立つのは事実です。……それをどうにかしないと……!!」

「食べ歩きを実現させてあげたいですね」

「それは貴女でしょ、セリーナ」

「シェリル様は同意してくれましたよ。演劇嫌いみたいですし」


 セリーナとネルが睨み合っていると、どこからか声が聞こえた。


「なんか面白いことしてるね。シェリル様信用回復会議なんて……ぷっ! 受けるぅ~」


 そう言って現れたのは新聞記者でトミーの兄のジェレミーだった。

 フィランダーはすぐにジェレミーからの報告を聞いた。


「ジェレミー。例の女の行方、分かったか?」

「申し訳ございません。王都に入ってすぐのところで途切れました。ただ、王都の冒険者ギルドに聞き込んだところ、冒険者から見かけたとの情報がありました」

「どこだ」

「目撃場所はまちまちですが、どこも王都内です。冒険者ギルドからは離れた場所でしたね。時期もバラバラですが、たまに食堂で一緒になるとの証言がありまして、そこで張っていたのですが……現れませんでした」

「そうか。証言した冒険者には……」

「口止め料を払っております」

「それでいい。王都で情報を集めているのは確定だな」

「しかし今後は出てこない可能性の方が高いです」

「だろうな。人相書きは?」

「こちらに」


 ジェレミーは懐から四つ折りの紙をフィランダーに差し出した。


 そこにはあまり印象に残りづらい女の顔があった。

 一重で品のある印象だがそんなに特徴ある顔ではない。髪は茶髪で瞳の色は桃色。光魔法使いなのは確定だった。


「この顔を皆も覚えておけ。使用人全員と影、騎士団や領主館にも通達しろ」

「はっ」

「シェリルには明日俺から伝える。……それで、シェリルとのデートなんだが……どうしたらシェリルがその気になれると思う?」


 先程までの威厳が一気になくなり、涙目のフィランダーは使用人達からジト目で見られた。






「邸内デートでよろしいのでは? せっかくお庭もありますし……」

「領主の仕事を手伝ってもらうのはいかがでしょう? そうすればずっと一緒に居れますよ」

「たまに差し入れして頂くのは? シェリル様の運動にもなりますよね」


 生温い目でネルとユーインとトミーが邸内デートをお勧めした。他の使用人達もそれぞれの邸内デートの案を出すがフィランダーの顔は暗くなる一方。


「それもやりたいけど……俺は外でもやりたいの!!」


 そんなわがまま主人のために解決策を携えてきたのはジェレミーだった。


「若。俺に協力してくれませんかね?」

「は……? 協力?」

「はい。協力です。ヘインズ関係の記事。そろそろ出してくれって言われてるんですよね」


 そのあと話したジェレミーの案に皆が笑顔でうなずいた。






 ※






 数日後。


「なにこれ……」


 何気なく新聞を開くとそこにはフィランダーのインタビュー記事が掲載されていた。


「『次期ヘインズ家当主、奥方を大いに語る』って……聞いてないんだけど?」


 私は朝食が終わり食後の紅茶を飲んでいた男に向かって言う。


「うん。俺がシェリルの事をどれだけ愛しているかを語って、ジェレミーに記事を書いてもらったんだ。ちょうどヘインズ家関係の記事を欲していたからね」

「で?」

「シェリルを驚かそうと思って」

「……十分驚いたけど、これは本当?」


 要約すると「側室、愛人なんて考えられない。彼女だけを愛する。もし王から側室を勧められたとしたら、この国を出て行く」とまで記されている。


「大丈夫なの? こんな事書いて……」

「本音を書いただけだよ。だからシェリル……これで信用してくれる?」

「何を?」

「俺が愛人も側室も作る気ないって事!」

「……まぁ……」

「じゃあ今日から一緒に寝てくれる?」

「は?」

「そ、添い寝! それで良いから!!」


 ちゃっかり添い寝を要求するフィランダーに私は呆れた。ただ新聞記事から少しだけ本気が伝わってきたのも事実だ。


「分かった。添い寝許可しましょう」

「ありがとうございますぅ!!」


 嬉しそうなフィランダーには申し訳ないけど……一人が快適だったのは……言わないでおこう。


 「また泣き顔で迫られても困るし」と思いつつ、シェリルは静かに紅茶を口にした。











 一方王城の王の執務室ではまたクラレンスとパトリックが対峙していた。おもむろにパトリックが渡したのはヘインズ領都新聞だった。クラレンスは新聞を広げ、疑いの目でパトリックを見つめる。


「この新聞記事に偽りは?」

「ないでしょう。確かに書いたのはうちの息がかかっている者ですが、間違いありません。事前に息子から聞いていた内容と一致します」

「『もし王から側室を勧められたとしたら、この国を出て行く』と書いてあるのだが?」

「当然でしょう。妻を大切にする男ならそれくらいはします。事実息子は一度決めたら譲らない性格です。それに息子なら他国へ行っても何らかの形で活躍出来るでしょう」

「まぁ……そうなのだが……」


 これで側室を押し付けにくくなった。

 面倒なところから輿入れがあった時の候補としてフィランダーも入っていたのだが……。


「やられたなぁ……こう来るとは……」

「息子は手段を選びませんからね。……それよりもうちの領民達に魅了をかけたのはどこの家なのかが気になります」

「魅了を使うとは……重罪だぞ」

「陛下もですがね」


 魅了は光魔法使いしか使えない。

 王族であっても無闇に魅了を使うのは罪になる。

 使っても良い場は尋問する時のみ。

 国王であってもクラレンスはおいそれと使う事が出来ないのだ。


「私は滅多に使わんよ。ただ、悪戯にしては規模も大きい。クーデターを起こすと思われても仕方がない事態だぞ、これは。こちらでも調べなければ……。人相書きがあるならあとで提出してくれ。手配書を出そう」

「ありがとうございます。……息子はスタートレットが怪しいと見てますが?」

「あそこか……」

「……自分は今でも両親を奪った相手だと思っております」


 パトリックの眉間に深いシワを寄せた。


「私もそなたも青かったからな。つけ入る隙はいくらでもあったのだろう。王族はまず、あそこと縁を結ばないからな」


 王族は基本光の精霊に愛される家系だ。

 そこに闇は入って欲しくないという風潮が昔からあった。

 王族なのに闇の精霊に気に入られた王族が、降って興した家がスタートレット公爵家。王族にはなれずとも領地を拡大したいと思っているのだろう。目をつけられたのは隣接しているヘインズ侯爵領だった。

 

「実は以前から王妃を通じて婚約の打診はあったんだ。だが、フィランダーが拒否するだろうと止めておいた。私は彼にも負い目があるからな。……それにスタートレットの動きが不気味だ。息子にもテナージャ第一主義を刷り込んでいる様だし……」

「何かあれば……英断を」

「あぁ。私は愚王かもしれぬがテナーキオの国王だ。約束しよう」






 パトリックの話はこれで終わりかと思ったら、何か思い出したらしく話を続けた。


「あともう一つ……言わねばならぬ事が……」

「何だ?」

「魔道具の件です。息子から聞いたのですが、どうもシランキオ人が魔道具を使えないと吹聴した商会があったそうで……」

「は? シランキオ人は魔道具を使えないのではないのか?」

「いえ……聞いたところ、武器や道具に魔力がある限りはシランキオ人でも使えるそうで……」

「……パトリック。うちの騎士団ではシランキオ人に魔道具は?」

「……持たせておりません」


 すると勢いよくクラレンスが立ち上がった。


「これは……うちの国の防衛を弱めたと言っても過言ではないぞ! 魔道具ギルド長を呼べ! 吹聴した商会もだ!!」







 その後、魔道具ギルド長、並びにハストン商会の会頭であるハストン子爵が王城に呼ばれ、王から叱責を受けた。魔道具ギルド長とハストン子爵はテナーキオ王国の防衛を弱体化させたとして監獄行き。それに協力した魔道具ギルドを取り仕切っていた人達も監獄行きとなった。


 魔道具ギルドは上層部達が根こそぎ監獄行きとなり、新たに魔道具ギルド長と上層部達の入れ替えが行われた。上層部にはヘインズ領支部長のドウェインも選ばれ、風通しの良いギルドとして生まれ変わった。


 ハストン子爵家はこれをきっかけに没落。商会は残っていた職人達に奪われ、全て失う結果となる。







「……まったく。テナージャ人はロクな事をしない。これを機に私もテナーキオ派に行きたいものだ」


 国王であるクラレンスが執務室で一人ぼやいた。

 

 


派閥関係を忘れているかもしれないので補足します。

現在テナーキオ王国では「テナージャ派」「シランキオ派」「中立派」の三つの派閥に分かれております。

さらに「中立派」はテナージャ人としか結婚しない「中立のテナージャ派」と、テナージャ人とテナーキオ人が結婚出来る「テナーキオ派」の二つの派閥に分かれております。

テナーキオ国王は「中立派」ではありますが、「テナーキオ派」に行こうとした当時の国王がテナージャ人系の貴族から猛反発を受けたため、渋々「中立のテナージャ派」に属しております。


登場人物紹介ーーーーーーーーーーーーーーーー


名前 ジェレミー

所属 平民 ヘインズ侯爵家子飼いの新聞記者 ヘインズ領都新聞記者

年齢 28歳

容姿

・髪 長髪ゆるウェーブの水色の髪 リボンで結んでる

・瞳 深い青

・体型 中肉中背 細マッチョ

・顔 ニコニコ顔 二重 美形

・身長 174cm

魔法 水魔法 中




これで第四章は終わりです。

短い章でしたがお楽しみ頂けたでしょうか?

また次の章に専念するため、時間をください。

目標は一ヶ月。

過ぎてしまったらまた活動報告に近況を載せる予定です。

ただこの章よりも長くなる予感がするのでどうなるか分かりません。

ですが、「この小説は二ヶ月間更新されておりません」表示が出ている事に気付いた時はさすがにショックを受けたので、頑張りたいと思います。


読者の皆様もお身体に気をつけてお過ごしください。

最後までお読み頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ