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01 この国の名前

予告通り全21話になりました。

第二章スタートです。




 部屋のドアを開けるとそこには青年が立っていた。


 「誰だっけ? ……あ、確か私の護衛騎士だ」と思っていると護衛騎士がしゃがんで私の両肩をつかんだ。


「え!?」

「シェリル様!? 大丈夫ですか?」

「……何が?」


 まだホリーの記憶が優勢だからか、心配される理由がさっぱり思い出せない。


「昨日、突然お倒れになられたのです。体調は?」


 「なるほど。倒れたなら心配するか」と私は納得した。

 「多分ホリーの記憶のせいで倒れたんだろうな」と思いつつ、体調が万全な事を騎士に伝えた。


「全然平気です」

「よかった……まだ早朝ですよ。それに着替えもまだではありませんか。このまま部屋の外を歩かせる訳には参りません」

「えぇー……」


 私は自分の服に目を落とすと、確かに寝間着っぽい上から被るだけのワンピース姿だった。


「中に呼び鈴があったでしょう。それで侍女を呼んでください。私は貴女様の側を離れる訳にはいきませんので」

「呼び鈴……」


 「そんなものあったっけ?」と首を傾げると護衛騎士は何かに気づいた顔をする。


「そういえば、鳴らした事がありませんでしたね。いつも鳴らす前にお倒れに……分かりました。一緒に参りましょう」






 回れ右をして私は元いた部屋に戻りベッドに向かうと、ナイトテーブルの上にハンドベルが置いてあった。


「こうして鳴らすのですよ」


 グリップを握り上についているベルを手前から向こうへ二回動かし、ベルを鳴らした。カランカラーンという音が部屋に響く。しばらくすると、慌てた様子の侍女が入ってきた。


「シェリル様!!」

「おはよう。ラモーナ」

「『おはよう』じゃ、ありませんよ! 熱は? 怪我は? 体調は?」

「大丈夫」

「よかったぁ」


 侍女は身体から力が抜けたのか、その場にしゃがみこんでしまった。






 

 すると呼んでいない人達が私の部屋に続々と駆け込んできた。


「シェリル! 大丈夫?」


 お兄様だ。


「シェリル! 何かあったの?」


 お母様だ。


「シェリル! どうした? 賊でも入ったか?」


 お父様だ。


 なんと一家勢揃いしてしまった。しかも寝間着姿。あとから駆けつけたそれぞれの使用人達は、彼らにとりあえずガウンを羽織らせていた。







 話は戻って昨日の夕食まで遡る。


 私は夕食が終わると、突然頭が痛いと訴え倒れたのだという。医師の見立てでは大した事ないとの診断だったため、侍女が看病すると申し出た。私が目を覚ましたのは、ちょうど侍女が席を外した間だったそう。


 とにかく皆に迷惑かけた事が分かった。


「もう、大丈夫です。どこも悪いところはありませんよ」

「それなら良いけどね。どうもシェリルは昔から身体が弱いからな」

「身体が弱い……」


 記憶を手繰り寄せると熱を出したり、すぐに疲れてしまったりしている自分がいた。私は疲れやすい身体をしているらしい。 


 「え? 私って、思っていたより病弱なの!?」と私が軽く動揺していると、父のあっけらかんとした声で笑みを作った。


「まぁとにかく、元気なら良いか」

「でも今日は大人しくしているのよ」


 お母様は心配性らしい。でも私にはやりたい事がある。


「じゃ、じゃあ、本読みたいです。歴史のお勉強がしたいの。私、この国の名前も知らなくって……」


 その言葉に、皆がピタッと一瞬固まってしまった。


「え!? シェリルに国名って教えなかったっけ?」

「私……教えた覚えがないわ」

「俺は家庭教師に教えてもらったよ」


その言葉に皆が、私の二つ上の兄の方を向いた。


「え……何?」

「という事は……家庭教師に教えてもらうまでは、この国が何だか分からなかったと……」

「う……うん」


 それには大人達が皆頭を抱えていた。


「そんな事も教えなかったとは……」

「これは……早く家庭教師をつけた方が良さそうね」

「いやいや、それより基本的な事は私達から教えるべきだろう。シェリル。とりあえず座ろうか」

「いいえ旦那様。まずは着替えて朝食を済ませるべきでは?」


 そう言ったのは私の侍女のラモーナだ。

 確かにまだ朝早いとはいえ寝間着は不味い。

 渋々それに従い、ちょっと早めの朝食を家族全員でとった。





 朝食が終わり「今日は休みとする」とお父様が宣言すると、執事は何事もなくうなずいた。今、立て込んでいる仕事がないらしく休んでも問題ないと判断した様だ。


 リビングに移動し、対面のソファーに腰を下ろす。対面に座ったのはお父様とお母様。私はお兄様の隣に座る。そしてお父様が口を開いた。


「この国の名前は、テナーキオって言うんだ」

「テナーキオ?」

「そうだよ。その昔、私達シランキオ人とお隣に住んでいたテナージャ人が一緒になって作った国なんだ」


 「なるほど。テナージャとシランキオを合わせた国だからテナーキオになったんだ」と納得し、ここは私が殺された後に出来た国という事が分かった。


「何年続いているの?」

「お! 良い質問だな。今年で百四年になる」


 つまり今は「テナーキオ歴百四年」って事か。


「そんなに……」

「あと、気になる事は?」

「うんとー……派閥は?」

「ん? シェリルは派閥って言葉を知っているのか?」


 疑問に思うお父様にお母様が助け舟を出してくれた。


「たまに貴方が食事の席で言っているのを覚えたのでは?」

「あぁ、そういう事か。うちはね、シランキオ派だよ。一応ね」

「シランキオ派……」

「他の派閥は知っているのかい?」


 私が首を横に振ると、派閥について教えてくれた。






登場人物紹介


名前 シェリル・アストリー

所属 貴族 アストリー伯爵令嬢

容姿

・髪 黒のストレート

・瞳 黒

・顔 前世の姉に近い顔

魔法 なし


名前 ?・アストリー(シェリル父)

所属 貴族 アストリー伯爵

容姿

・髪 黒のストレート

・瞳 黒

・体型 がっしり

・顔 精悍な顔

・身長 176cm

魔法 なし


名前 ?・アストリー(シェリル母)

所属 貴族 アストリー伯爵夫人

容姿

・髪 黒のストレート

・瞳 黒

・体型 Bカップ 標準

・顔 可愛い系の顔 シェリルは母似 

魔法 なし


名前 ?・アストリー(シェリル兄)

所属 貴族 次期アストリー伯爵

容姿

・髪 黒のストレート

・瞳 黒

・顔 精悍な顔

魔法 なし

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