水泳大会
文が下手で読みづらいと思いますが、そこは許してください。
僕は宮崎豊、高一の少年。特技は水泳だ。そして僕の数少ない友達と僕は学校から帰っているところだ。僕と同じで水泳が得意な石川信二だ。こいつとは幼稚園から同じの幼馴染みだ。
そのとき事件が起こった。何と警官に呼び止められた。
「君たちは宮崎豊君と石川信二君だね。」
妙に優しい声だった。
「はい、そうですが?」
僕が言う前に信二が答えた。僕は固まっている。
「何の用です?」
信二が言う。
「ちょっと来てもらえるかな?」
警官はそういうと答えるまもなく歩き出していた。僕は言われるままについて行こうとしたが信二が動こうとしない。
「ほら、行くぞ。」
むりやり僕が引っ張っていった。
ついた場所は当然ながら交番だった。
「座りなさい。」
警官の口調が変わっている。僕と信二は椅子に座った。「
君たちはもうすぐ開かれる水泳大会を知っているか?」
僕も信二も首を横に振った。
「君たち二人はとても水泳が得意らしいね、それで大会の主催者から是非呼んでくれと頼まれたのだ。」
確かに僕の唯一の自慢は水泳で全国大会まで行ったことだ。信二は勉強も学校では軽くトップだ。次の瞬間目の前に火花が散り意識がとんだ。
気がついたときは車の中にいた。隣ではまだ信二が気を失っている。とりあえず信二を起こして、そう思ったとき気づいた。手を鎖でつながれている。何とか信二までは手が届き信二を起こした。
「ここはどこだ?」
僕が答える。
「車の中ってこと以外は全く分からない。」そのあとかなりの時間が経ってから車が止まった。
車から降ろされる。さっきの警官だ、明らかに警官の制服ではない。
「ここはいったいどこだ。」
僕が強い口調で言う。警官は冷たく言った。「黙れ。」
僕たちはまた連れて行かれた。ついた場所は建物の中で体育館のようだった。そこに僕と同じぐらいの年の子供が座っている。警官が言う、
「全員、揃いました。」
太った男が答える
「ご苦労。」
太った男が話し始めた。
「皆さん水泳大会へようこそ。詳しい話は明日する。各自部屋へ案内する食事は用意してある。君、案内を。」
警官へ命令した。
「はっ。」
警官は名前を呼んでいき二人ずつ部屋に連れて行った。僕と信二は同じ部屋だった。あまりおいしくない食事を食べ、硬いベッドで眠った。
例の警官が起こしに来た。部屋が暗く、朝ということが分からない。この部屋には窓がない。昨日の体育館に連れて行かれた。そこでパンと水を配られた。少しして太った男が現れた。
「水泳大会のルールを説明する。今回の種目は水中鬼ごっこだ。」
体育館が騒がしくなる。男は続ける。
「それでは詳しいルールの発表だ。君たちには水深10メートルのプールで酸素ボンベを持ち、鬼ごっこをしてもらう。酸素は5時間分ある。かいし直後プールには蓋をして水面に上がってこられないようにする。鬼はこっちのスタッフがやる。捕まると、酸素ボンベにした仕掛けを作動させ、酸素を抜く。最後まで生き残れた者には賞金が出る。プールの広さは2000×2000メートルだ。鬼は5人、ちなみに参加者は25人だ。そして、開始から4時間が経過すると、プールに鮫が放たれる。鮫に食われても、もちろんアウトだ。鬼も鮫に食われるかもしれない。4時間後以降はチャンスでもピンチでもある。スタッフが全員死亡してもゲームはそこで終了。質問は?」
1人が手を挙げる。
「鮫は何匹なんだ?」
「1匹だ。」
そいつがもう一つ質問をする。
「賞金は何円?」
間が開いた後に男が答えた。
「5億だ。」
再び会場が騒がしくなる。
「言い忘れたことがあった。君たちには鮫撃退用の水中でも使える小銃を、最初に渡す。スタッフもあらかじめ持っている。以上で終わりだ。」
警官が今度は話し出した。
「各自部屋に戻っていろ、開始は明日の10時だ。普通のプールは開けている、自由に使え。場所は食事のときに地図を渡す。」
部屋に戻っても信二と僕は黙りっぱなしだった。信二もきっと分かっているからだ。僕たちのどちらか必ず、もしかしたら両方とも死んでしまうことを。顔が青くなっているのが分かる。信二の顔は見えないがきっと青くなっている。警官が部屋に入ってきて、食事とプールの場所の書かれた地図を渡された。
とりあえず行ってみよう。信二は誘うどころか話しかけることも出来ない。
プールに着くと何人かがもう泳いでいた。みんな暗い表情で。僕も準備運動をしっかりしてからプールに入った。しばらく泳いで、プールから上がった。普通に泳げば生き残れるかも。そんな考えが頭に浮かんだ。
部屋に戻ると信二が話しかけてきた。
「おまえと話せるのも今日が最後か。」
飛びかかっていた。
「うるせぇ、バカ野郎。」
信二が冷たく言い放つ、
「最後の1人だけしか生きられないんだよ。下手すりゃ2人とも死ぬんだぞ。」
信二が叫ぶ。
「捕まらなければいいんだよ。鬼にも鮫にも。」
叫び返す。
「考えが甘いんだよ。スタッフをわざわざ用意してんだ。どういうことか分かるか。」
僕は首を横に振る。
「おまえは本当にバカだな。かなり泳げる奴を用意してるんだよ。それに5時間も泳ぎ続けられるか?鮫を出すまでもなく、片付けるつもりだよ。」
「スタッフを死なすつもりは無いのか。」
僕が呟く。
「小銃で撃つ物は鮫なんかじゃなくて、人を撃つためなんだ。」
信二の言葉を聞いてさらに顔が青くなっている。
「そんな……。」
震えている。
「分かったな、俺達がやるべきこと。スタッフを全員殺してゲームを終了させる。」
頷いていた。
8時13分、ゲーム開始まで2時間をきっている。信二が言う、
「おい豊、分かっているよな。」
小さく頷いた。9時30分、警官が呼びに来た。そのとき信二が警官に言った。
「俺と豊が話せる無線がほしい。」
警官は少し考えた後、開始までに用意すると言っていた。9時40分、全員が集まっていた。全員が並んで座っている。隣の奴が独り言を言っている。
「5億、5億、5億。」
前の奴はそいつの隣の奴に話している。
「おい、お前さぁ今更ビクついてんの?」
確かに隣の奴はかなり震えている。
「誰だってそうだろう。」
僕が呟いた。「
何だ、てめぇ。おっ、おまえ宮崎豊だろ。」驚いた、何故僕の名前を知っているんだ。そもそもこいつは誰だ。
「へっへ、俺は小立総一、前に会ったことがあるだろ。」
何を言っている。おまえなんか……。そうか「やっと思い出したか。前の県大会。」
そうだこいつ僕に県大会のときも何か言ってきたやつだ。
「おい、宮崎とそっちのおまえ。」今度は信二にも話しかけた。
「協力しようぜ。俺ら3人。」
はぁ?
「何を言…」
「いいぜ。」
「そんな。」
僕が言う前に信二が答えた。しかもOK。「おい、信二。」
「いいじゃねぇか。味方は多い方が良い。」そのとき
「僕も仲間に入れてくれ。」
後ろの奴が言ってきた。
「僕は谷良介。」
「いいんじゃね?」
信二が言う。
「ありがとう。」
また勝手に決める。
「じゃぁ、作戦を話すぞ。俺らはまともにはやらねぇ。スタッフをさっさと小銃で殺してゲームを終わらせる。それだけだ。」
信二が話す。
「無線も用意してあるから。」
僕が続けた。9時50分、太った男が話し始めた。
「これが酸素ボンベと小銃だ。」
そういうと警官が配り始めた。僕らのところで警官は
「無線は希望者に配ることにした。」
それだけ言うとまた配っていき、無線の希望者を募った。必要だと言ったのは僕ら4人だけだった。無線の説明を受け、場所に戻る。場所に戻るとまた4人で話し始めた。
「具体的な作戦って無いの?」
谷が言ってきた。
「そう言えば聞いてないな。」
小立も言う。
「じゃぁ、さっと考えよう。大体でいいからさ。本当に詳しいことはやってみなきゃ、分かんないし。」
僕が言うと、
「大体は考えてるよ。」
信二が言った。
「作戦は、とりあえず基本は壁に背を向けて常に行動、後ろをとられちゃどうしようも無い。理想としては、誰かが狙われてる時に後ろから撃つっていうのだけど、問題は鬼も銃を持ってるってことだ。けれどそれは仕方ない。それと一回で確実に仕留めるには、体じゃなくて酸素ボンベをねらうことだ。」
分かった、と3人とも頷く。
「それから…」
「えっまだあんの?」
小立が言う。
「バカ、まだ作戦は言ってねぇ、この作戦だけど本当にやばくなったときしか使えねぇんだ。そのやばくなったときってのは、鬼が俺達の予想より凄かった場合。そんときは、参加者を撃っていく。上手くいけば俺達4人が残る。最後は誰か1人を残して死ぬ。でもこうなるぐらいなら俺は鬼に飛びかかる。だからこれは使わねぇ。いいよな。」
頷く。
「最後の手段は言ったけど、作戦は4人がほぼ同時に銃をを撃つ、そしたら警戒する暇が無くてしっかり倒せるはずだ。」
そのとき、警官が話し始めた。9時58分、全員の緊張はピークに達していた。小立を除き。
「全員水に入れ、1分以内だ。」
警官が言う。水に入ると、スタッフも入ってきた。9時59分30秒、カウントダウンが始まった。29、28、27・・・5、4、3、2、1、ふたが閉められた。
遂に始まった、死の水泳大会が。無線で小立が話しかけてきた。
「鬼が見えたら、自分が思う限界まで引きつけて撃てよ。」
信二も話す。
「多分、1回成功したら2回目以降は警戒してくると思う。2回目以降が勝負だ、さっき話した作戦でいくぞ。」鬼がいた。落ち着け1回目は撃たれるなんて思わず警戒していない、それに向こう向きで泳いでいる。だから落ち着け。自分に言い聞かせる。銃を持ち、構えて、
「こっちは準備できた。」
どうやら3人はまだ鬼に会っていないようだ。そのとき
「うわぁぁ助けて。」
谷の悲鳴が聞こえた。
「ゴボッ、ぐ、助け・・。」
それが最後だった。
「お、おい、谷が。」
信二に話しかける。返事は帰ってこない。「チッ、あのバカが。」
小立が言う。ハードルが高くなった。
「ボーっとするな、準備が出来たならもう撃て。」
信二が怒鳴っている。
「でも、作戦が。」
「いいから撃て。」
また信二が怒鳴る。言われるがままに引き金を引いた。
「バァァン」
銃声が響く。弾の当たった奴の酸素ボンベから泡が出ている。やった、1人倒した。鬼も無線を持っていたらしい。僕の方に鬼が2人やってきた。こんな状況は予想していなかった。
「信二、助けてくれ、鬼が2人こっちに来てる。早く。」
「バカ、お前自慢の泳ぎで逃げるんだ。」「でも、鬼も銃を持っているんだ。撃たれてもおかしくない。」
「とりあえず逃げろ。」
小立も叫んでいた。
「俺も向かう。最初の場所からあんまり動いてないよな?」
答える暇は無い。無我夢中で泳いでいく。
「銃の使いかたに気づくとは、なかなかやるな。」
太った男が言っている。
「その知恵はおそらく奴と一緒に連れてきた方じゃないですか。」
警官が答える。
「予想通り、荒れてくれたな。面白くなりそうだ。スパイもきっちり動いてくれてるようだ。そうだ、参加者のリタイア数は?」
「まだ2人です。開始10分ですよ。でもこの分じゃ鮫の出る幕なんて無いんじゃないですか?」
警官が訪ねる。
「ハハハ、好きなときに出せば良いんだよ、いつでも準備は出来てるんだ。」
鬼はどうやら振り切ったらしい。そんなにレベルの高い泳ぎでは無かった。だが体力はかなりあるのだろう。無線を入れる、
「何とか逃げ切ったよ。」
信二が返してきた。
「小立はもう向かったぞ。俺から連絡は入れておく。」
「そうだ、鬼は僕より、スピードは遅いぞ。今のところは。」
分かった、それだけ言うと信二は無線を切った。開始40分経過、今のところ鬼には3人とも会っていないようだ。これだけ広いとさすがにあまり会わないようだ。谷は本当に不運だったんだ。あらかじめ酸素ボンベに付けられている連絡を聞くイヤホンから情報が入った。
「予定を早め、今から約20分後に鮫を入れる。鮫は5匹。ちなみにリタイア数は、3人だ。以上。」
すぐに信二から無線が入った。
「聞いたよな。やべぇ、鮫が来るのは、かなりやばいぞ。」
小立が言った。
「後20分じゃ鬼を全部倒すのは難しい。また作戦を考えるぞ。」
「いや、もう無駄だ。今ので分かっだろ。」僕が、何がだよ、と返す。
「お前は…。奴らは予定なんか関係なく、好きなときに好きなように出来るんだよ。もしかしたら、鬼の追加なんてのもあり得るんだよ。」
「じゃぁ、どうするってんだよ?あきらめて終わるのか?」
「いや、とりあえず、鮫に会わないようにしよう。鬼にもだ。」
そのとき、小立が言った。
「そういえば、奴ら時間制限はあるのに、タイムオーバーの事について何も言ってなかったぞ。」
確かにそうだ、信二が返した。
「でも、まだ4時間以上あるんだよ。タイムオーバーまで逃げ切れる?」
「鬼が来た。」
信二が言った。
しばらくして、
「パァァン」
銃声だ。信二が撃ったのか、撃たれたのか?すぐに信二に話しかける。
「おい、信二どうなった?」
「………パァァン…ババン」
銃声が続く、もしかして撃ち合いになっているのか?
「信二、信二。」
しばらく呼び続けていた。
「豊、何とか倒したぞ。大丈夫だ。くらってない。」
胸をなで下ろした。でもあまりゆっくりしていられないようだ。連絡だ。
「鮫を投入する。リタイア数はスタッフ含め10人だ。以上。」
「遂に鮫が来ちまうな。」
妙に信二は落ち着いていた。小立は静かだ。
自分がどこにいて鮫はどこにいるかなど全く分からない。
「信二、どうする?」
「スタッフを早く殺すぞ。」
小立が返してきた。だが、広すぎるし、水が濁っているのでおそらく、見えている先は15メートルぐらいだろう。鮫が来てもかなりやばくなってからじゃないと分からない。
もう30分は経っている。いっこうに鮫にも鬼にも出会わない。数回他の参加者に銃を向けてしまった程度だ。
「退屈だな。」
太った男が言った。すると警官が笑いながら「水を抜いちゃいますか?」
と言った。
「それは良い案だ。10分後に水を抜け。」
「はい。では今から連絡を入れます。」
連絡が入ってきた。
「今から約10分後にプールの水を抜く。水が抜けきるのは。10分後ぐらいだ。リタイア数はスタッフ含め、13人だ。以上。」
また、そんな急展開が。これはラッキーと言うべきか、それとも。
「おい、豊。小立から連絡が全く無いんだけど、そっちにはあったか?」
無い、と答えると
「そんなことより、さっきの話、集まるぞ。さっき気づいたんだがプールの底に目印が書いてある。」
確かめると、あった。座標のように書かれている。
「俺の場所は321,4だ。豊は?」
「103,498だ。どうやら500,500なようだな。」
「ああ、集合場所は200、250ぐらいでいいだろう。」
「分かった。今すぐ向かう。小立はどうするんだ?」
「俺から連絡を入れ続ける。豊からも入れてくれ。」
僕は泳ぎ始めた。鮫や鬼に会うかもしれないという考えが何故か無かった。他の参加者とも出会わない。不思議なくらいだ。
また連絡だ。
「今水を抜き始めた。リタイア数はスタッフ含め20人となった。ちなみに今は開始1時間35分だ。以上だ。」
急いで泳ぐ、水が抜けると走るのはきついからだ。小立に連絡は相変わらず繋がらない。やはり死んでしまったのか。
水は半分は抜けたようだ。水深は5メートルくらいになった。着いた、このあたりだ。信二に無線を入れる。
「着いたぞ、そっちは?」
「もうすぐだ。鮫は本当に入ってきたのか?おかしいぞ、一度も見ることさえしないなんて。小立に連絡は繋がったか?」
「いいや。そっちは?」
「繋がらない。」
誰かが見える、信二か?いや違う、鬼だ。「くそっ。こんな時に。」
「どうした?豊。」
「鬼が来た。お前が来る方向からだ。とりあえず逃げるから見えたら撃ってくれ。」
「分かった。急いで向かう。」
水深がもう2メートルぐらいだ。もうすぐ泳げない深さになる。
「信二、俺は鬼を撃つ。止まればおまえも追いつけるだろ。」
「分かった。本当にすぐに行くからな。」
後ろを向いて止まる。銃を構えてすぐに引き金を引いた。
「パン、パン、パァァン」
2発腕と足に当たった。血が流れている。当たった。その瞬間、
「バァァン」
銃声だ、撃たれたのか?いや、信二だ。
「やった。倒したぞ。」
やっと信二と合流できた。水もほとんど抜けきっている。連絡がまた入った。
「参加者の皆さん。」
太った男の声だ。
「水は抜けきったが、ゲームは続行だ。残っているのは、スタッフは2人。参加者は8人だ。今は開始1時間47分だ。連絡はこれからもするのでイヤホンは外さぬように。」
信二がため息をつく。
「大丈夫か?」
「あぁ、ほっとしただけだ。」
「小立は大丈夫なのか?」
「わからないな。それより、自分たちの心配をしようぜ。」
確かにそうだ。俺達のやり方を他の参加者がしないとは限らない。鬼ももちろんだ。
「パァァン…パン…パパン」
銃声?撃ちあっているのか。
「信二。」
「やっぱりな。こりゃぁ急がなきゃな。」
銃声が聞こえなくなった後に連絡が入った。「たった今、1人リタイアだ。繰り返す、たった今1人が…」
「!」
そのとき、銃を構えた奴が現れた。
「ヘヘヘヘ、ハハてめえらも殺してやる。」
目がおかしい。
「こいつさっきの銃声の:」
「バァァン」
言い終わる前に信二が銃を撃っていた。奴が倒れる。
「し…信二。」
「しょうがないんだよ……。」
「あぁ。」
納得してしまった。生き残りたいという気持ちが勝っている。
「また1人リタイアだ。繰り返す、また1人リタイアだ。」
「……。」
僕も信二も黙っている。でも本当にどうしようも無い。突然吐き気がしてきた。死体を見ているからか?
「うぅ。」
「おい、大丈夫か?豊。」
そういう信二も顔が青い。そのとき、
「また、3人リタイアした。繰り返す、3人リタイアだ。」
参加者は僕たち2人を含め3人?スタッフは2人。
「信二、どうする?」
「くっ。」
信二も焦っているようだ。
「おい、宮崎、石川。」
小立だ。そんな、生き残っているのは、小立もなのか?
「やべぇぞ。鬼も銃で普通に撃ってきてる。鬼ごっこなんかじゃなくなってるんだ。これじゃぁただの撃ち合いだ。」
「小立、鬼が近くにいるのか?」
信二が聞いた。
「今からそっちに向かう。通信は聞こえていた。」
「何で返事をしなかった?」
「マイクの部分が壊れたんだよ。谷のを取った。」
「谷?谷は死んだんじゃ?」
「死体から取ったんだよ。」
5分間、僕と信二は小立を待っていた。そして、小立が見えた。と同時に
「パァァン」
信二が撃たれた。
「くぅぅ、小立ぃ。」
信二が叫ぶ。
「小立……、信二。」
信二に駆け寄ったとき、
「バン」
足を撃たれた。
「小立、何で?」
「何で?ハッ。お前らさぁ俺達の作戦にはまってたんだよ。谷を殺したのも俺だしな。」
僕と信二から銃を取りながら話している。
「俺達って誰だぁ。」
信二が叫ぶ。
「俺と鬼、それと主催者と警官の男だよ。この大会は主催者の恨んでる奴らを消すための作戦だったんだ。お前ら2人はたまたま水泳が得意だっただけ、他は普通に泳げる程度だったんだよ。」
意識が薄れていく。足が痛い。
「おいおい、聞いてんのか?」
「おい、何で俺らは恨まれてるんだ?」
「さぁな、聞いてみるか?お〜い、菊池さん
何でこいつらうらんでたんすか?」
「お前らは恨んでいない、恨んでいるのはお前達の親だったんだよ。」
「そんな……。」
「ヘッヘッヘ。俺はなぁ、先にもう1千万もらってたんだ。いわゆるスパイって奴?ハハハ。本当は鮫なんか入れてねぇしな。菊池さんに集まってる奴らのところに行ってそいつら殺してこいって言われてたんだよ。」
一息ついて口調を変えてまた話し始めた。
「石川信二だっけ、お前はなかなか目の付け所がいいって菊池さんが言ってた。銃の本当の使い方から、鬼を殺すって発想まで、お前すげえな。」
「パン」
言い終わると同時に銃声が鳴り、小立が倒れた。
「本当に自分がスパイだとでも思っていたのか?お前は使い捨て、あの人は1千万なんて本当にやらねぇよ。」
小立のほうから僕たちのほうへ視線を向けて鬼は言った。
「どっちが死ぬ?決めなよ。」
「僕が…」
「俺が死ぬ、早く撃て。」
信二が鬼に叫んだ。
「了解。」
「パァン」
銃声と共に地が飛び散った。
「これで鬼ごっこは終わりだ。5億は治療費などに使えよ。」
警官はそれだけ言うと病院に僕を連れて行くまで一言も話さなかった。
15年後、今あのときの鬼ごっこに関係してた奴らの所在が全て分かった。今こそ、行うときだ。死の水中鬼ごっこを。まずは部下をそろえ子供をさらい。プールと銃を……