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全員転生  作者: 加藤カトル
1章 転生
5/29

05魔法とステータス

 俺は早速、魔石に魔力を込めた。この魔力と言うやつの存在には、転生してすぐ気がついていた。体を流れる謎のエネルギー。いままで無かったものが急に現れたのだから、最初は驚いた。

 それは体の中心、胃の辺りから湧き出るような何かだった。それを操作し、手から放出する方法はなんとなく身につけた。初めはその辺の物に魔力を込めてみたが、特に異変はなかった。分かったのは、あまりやりすぎると疲労するということだけだった。


「ようやくこの魔力が役立つ時がきたか」

 俺は恐る恐る、魔石に魔力を流し込む。いきなり爆発とかしないだろうな、などと思っていると、なにやら頭の中に言葉が流れ込んできた。


『魔法名、バクテマ。魔法レベル10。自分を中心とした半径2キロメートル四方に強烈な熱波と爆風をたたきつける。消費MP900』


『うおおおお!』

「うお! なんだよ神か! どうした? 何驚いてる? ひょっとして、これ、すごいのか?」

『すげー! これ、僕の考えた最強の魔法だよ! こんなに早く出るとはなぁ。ユーアーラッキーボーイ!』

「え? そう? へへ。確かに、すごい威力がありそうだな」

『そりゃ~もう。範囲内の全てを吹っ飛ばすほどの威力だよ』

「え? その威力が2キロも届くっての?」

『そそ。ヤッベーでしょ?』

「ヤバすぎんだろ! んなもん、いつ使うんだよ!」

『あはは! でも消費MPもパないから、君じゃまだまだ使えないから安心して』

「MP? それってどこで分かるんだ?」

『ステータスって言ってごらん』


「ステータス」

 言われた通りやってみると、目の前にボウッとウインドウが浮かび上がった。なんでこんな大事なこと、今まで言ってないんだよ……。

 そこに書いてあるのがどうやら俺のステータスらしい。まさにゲームだなこれ。


レベル 1

HP 50

MP 250

筋力 5

体力 5

敏捷性 5

知力 25

精神力 20

魔力 25

運 0


 レベルが上がっていないので、最初に決めた状態から変わっていない。

「なんレベルになればこの魔法が使えるんだ?」

『レベルが1つ上がるごとにポイントが1貰えるよ。それを好きなステータスに振ればいい』

「MPを上げるには?」

『MPは魔力値の10倍になる。だから今の君は250あるわけ。で、バクテマは900必要だから、あと65レベル上げないと駄目だね』

「レベル66にしてやっと使える魔法ってわけか……。レベルの上限は?」

『上限は設定してないよ~』


 なるほど、理論上はどこまでも強くなれるってわけだ。

『でもさぁ。その間、魔力値しか上げないつもり?』

「そうだが?」

『極端だなぁ! それって結構、大変だと思うよ?』


 悔しいが、一理ある。

 魔法が使いたいが故のこのステ振りだったが、今のサバイバル生活を乗り切るには苦労しか無かった。

『もっと世の中の文明レベルを上げてからでないと。今は生きるだけで大変でしょ?』

「ああ。だが、使える魔法が見つかれば? 一気に俺の時代にならないか?」

『そりゃ、まぁ……』

「だったら俺はそれに賭けるぜ。せっかく魔法が使えるんだから、魔法を鍛えないとな!」

『ま~自分の人生、好きにしたらいいよ。それじゃ、がんばってね!』

「おい! 神! おい!」


 チッ、行ったか。まだ聞きたいことがあったんだが……。



「おかえり、銀」

「ああ。実は、ちょっと報告がある」

「ん? どうした?」

 俺は、さっきあったことを翔一に話した。


「ステータス。おー! 本当だ!」


レベル 1

HP 300

MP 50

筋力 30

体力 20

敏捷性 5

知力 5

精神力 5

魔力 5

運 10


 翔一のステータスは俺からも見えた。他人からも見えるんじゃ、あまり簡単に出さないほうが良いかもしれない。

「なるほど、俺とは全く違う方向性だな」筋肉バカ、という言葉は飲み込んだ。

「実は俺も報告があってな」

「なんだ?」

「俺も魔石を見つけた」

「なんだと!?」

「邪魔な木を折ってたんだが、その木の中にあってな」

「なるほど、俺のイメージでは宝箱かなにかに入っているものだと思っていたんだが、どうやら自然に存在する物の中にあるものらしいな」


 そうなると、探すのに苦労しそうだ。


「で、何の魔法だった?」

「ああ。ホイアルってんだが、回復魔法らしい」

「おお! それは良いじゃんか!」

「そうか?」


 どうも翔一はピンときていないらしいが、この状況では回復魔法は重要だ。

「必要MPは?」

「ええと、10だな」

 翔一のMPは50だから、5回使えるってわけだ。俺のバクテマより遥かに実用的じゃねーか。


「俺が怪我でもしたときは、頼んだぜ」

「任せろ。銀はその、バクテマだっけ? それは使わんでくれよ?」

「心配すんな。MP足らずで使いたくても使えねーよ」

 俺もすぐ使える魔法を見つけねば。



 そして数日後。俺たちは手作りのカヌーを完成させていた。

 良い太さの倒木を見つけ、それをコツコツと削っていった。それはもう、気の遠くなるような作業だった。同様にパドルも作った。

 水に浮かべる実験は無事成功。二人で操舵する練習をして、いよいよ明日、ここを離れて行けるところまで行ってみよう、ということになったのだった。

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