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全員転生  作者: 加藤カトル
1章 転生
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01神の雑対応

『というわけでね。みなさん、死んでしまったわけなんですけどね』


 というかこの神と名乗る男、神のくせにノリが軽すぎやしないか?

 バラエティの司会じゃないんだぞ。

 周りの人たちもザワついてる。知り合いでもいないかと探してみたけど、顔がぼんやりとして判別できない。なんだこりゃ?


『いや~、あんなデッカい隕石が落ちるなんて、ねぇ? あっはっは! ぶっちゃけ、計算外でね』


 何笑ってんだ。こっちは死んでんだぞ!

 だいたい、神ってのは全知全能のはずだろ。そんなミスがあるわけがない。


『それがねぇ。なんか夢を壊すみたいで悪いんだけどさ、全知全能ってあれ、嘘なんで。だってさ、考えてみて。「神には四角い丸を作る能力がない」ってね。言うじゃん? 全能の逆説ってやつ?』


 そんなもん知らんが、そういうもんなのか。


『え~知らないの? 勉強不足だよ? まぁ、神にもミスはあるってわけ。でもそれじゃあんまりでしょ? だからま、こっからが嬉しいお知らせなんだけどね』


 何が嬉しいお知らせだ。今んとこ絶望しかねぇよ!


『まぁまぁ。今回はこっちの手違いってこともあったんで、お詫びといっちゃんだけど、みなさんには転生してもらおうかなって、思ってんですよね』


 転生?

 転生ってあの転生か!?


『そそ! いわば「詫び転生」だね。実は地球に近い環境があっても知的生命体の存在しない星って、現宇宙にも他宇宙にも結構あってね。いや、レアはレアなんだけども』


 そこに生まれ変わる? そういうことか?


『そうそう! いやーさっすが、日本人は異世界モノが流行ってるだけあって、理解が早い! いや~私は日本地区担当でよかったわ』


 それにしても……なんでさっきから心の中で思ってることがわかるの? この人。


『なんでってそりゃ神だもん』


 いやそれにしても、なんでこんなにいっぱい人がいるのに、ピンポイントで俺なんだよ!


『いやいや、君だけじゃないよ? それぞれの頭の中に一斉に語りかけてるんだよ?』


 へ? そりゃ一体どういう仕組だ……?


『まぁまぁ。そのへんは詳しく言っても理解できないだろうから、神の力ってことで納得してくれるかな? で、各国ごとに別々の場所に転生してもらうんだけど、君達日本人グループはここ!』


 う、頭の中にイメージが!? なるほど、この青い星……ここに転生するわけか。あの青い部分は水だろう。とすると地球なみに水がたっぷりあるわけだ。白い部分は雲か、大気もちゃんとあるようだな。茶色と緑の陸地も見えるな。当然だけど地形は地球とは全く違うようだ。

この星は何ていう名前だろう?


『地球と環境は微妙にちがうんだけど、君たちはそれに適した体で生まれるから心配しないでね。星の名前とかそういうのはみんなで相談して自由につけてね! 方法とかそういうのはおまかせするからさ。この星を好きなように発展させて欲しい』


 相談かぁ。同じ日本人のグループって言っても揉めそうだなぁ。心配になってきた。


『でね、その新天地で生まれ変わって、新しい人生をやり直して欲しいわけ。あ、そんで日本人てゲームも好きじゃん? だからサービスでゲーム要素も入れることにしたから。面白いっしょ?』


 ゲーム要素ってどんなん?


『まずね、皆さんは全員、自分自身をカスタマイズしてもらいます。まずは見た目から。それで一生を送ってもらうので慎重にね。あ、そうそう。今回、転生してもらうのは18歳以上の男女なんだけど、全員18歳として転生してもらうよ』


 え? じゃあ18になっていない子供達はどうなる!? 見捨てるのか!?


『ああ、それも心配しないで! 彼らは君たちの子供として転生してもらうことになってる。記憶も持ったままでね。だから君なんて、ラッキーだよね。今日が誕生日じゃん! オー! ユーアーラッキーボーイ!』


 俺のことか!? 確かに今日で18だけどよ。それがラッキーなのかどうか微妙だわ。高齢者のがラッキーだったかも。


『性別も自由だからね。なりたい自分になってくれ。どんなイケメンでも美少女でもなれるよ! よっ! ユーアーラッキー! それが決まったら、今度はステータスを割り振ってもらうね。みんなポイント総量は同じだから平等だよ。ただし、転生後は行動いかんによってレベルが上がってくから、人によって差がついていくよ』


 なんだそれ。本当にゲームじゃねぇか!


『そうなんだよーゲームだよ。好きでしょ? みんな。あ、あと魔法もアリにしてあるから。やっぱこれがないとねぇ。みんな頑張って習得してね』


 魔法もあるのか。あ、やべ、楽しくなってきた。


『でしょでしょ? そんじゃみんな! 新たな人生、ガンバってね!』



 まずは自分のカスタマイズから。本当にゲームのように自分の姿を見ながら、身長を変えたり顔のパーツを変えたりできる。

 それにしても、一生変えられないとなると、これがなかなか悩む。


 やっぱ身長は高いほうが良いよなぁ。と言って、あんまり高すぎても怖いだろうから、そうだなー185センチくらいか? 体は太すぎず細すぎず、それでいてある程度筋肉も欲しい。髪はどうする? 思い切って金髪とか? おっ、赤とか青とか、何色でもできるじゃん! じゃあ憧れの銀髪とか? いや~やっぱそれは厨二っぽいかぁ? いや、せっかくだし、銀にしよ! 顔もそれに見合うようにしないとなぁ。目の色、眉毛、睫毛も銀にして、目つきはちょっと鋭く、鼻は高く、唇は薄めで……。

 おーー! 我ながら超イケメンだぜ!こんなん、絶対モテモテだろ!



 お次はステ振りかぁ。やっぱ魔法! 魔法使いになりたいよな。せっかく魔法あるんだし。

 となると、この魔力には多めに振っとかないとな。知力と精神力も必要だろうなぁ。そのかわり筋力、体力、敏捷性とかは減らして、と。運? 運っているのかぁ? どうせレアアイテムのドロップ率とかそういうのだろ? 最低でいいや。


 よしよし。魔法使いになる前提のちょっと尖ったステ振りだけど、いいんじゃないかぁ?

 異世界での新生活、楽しみだぜ!



 …そしてまぶたを開くと、強烈な光が目に飛び込んくる。真っ白で何も見えない。腕で日差しを防ぐ。

 徐々に目が慣れると、そこは密林だった。

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