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8 聖女様はお嬢様?

 


「加奈子は聖女の護衛か何かか?」


 落ち着いてきた私を前に、何かを考えているのか、顎に手を添えたバルトさんが言った。

 聞かれた言葉は分かるのに、意味がまったく分からないんですけど。護衛?私が、聖女様の?え、私、そんなに強そう?


「聖女様のお顔すら存じ上げません」


 一瞬ポカンとした顔をしてしまったと思うけど、なんとか平静を装う。


「さっき同じ世界から来たと言ったろう」


 アレンさんがキツイ口調になった。やだ、イケメンの怒った顔、超怖いんですけど。


「聖女様の足元に魔方陣が急に現れました。文字が光出した時に、聖女様のすぐ後ろにいましたので、後ろ姿だけを拝見したということになります」


 こちらの口調も強めになっちゃったのは、仕方がないよね。さっきからアレンさんには、いやな感じで絡まれまくってるもんね。

 間にバルトさんがいるから、なんとかビビらずにいられるけど、本当なら怖いからイケメンとはいえ、この部屋にいてほしくない。

 私とアレンさんのピリピリした空気を感じたからか、


「加奈子、悪いが確認させてくれ。聖女と同じ世界から召喚に巻き込まれて来たと言ったな?だが、聖女は魔方陣のことも、召喚のことも、何も知らなかった。今もまだ、心を閉ざし部屋に籠っているんだ」


 え、そうなの?あの子魔方陣とか召喚を知らないの?ラノベとかアニメとか見ないのかな?でもそんな事ある?今どき。

 あれ、でも。あー、あの学校の子かぁ。


「もしかすると、でしかないのですが」


「何でもいいから、教えてくれ」








 聖女様が着ている服が女子校の制服で年齢が15〜18才のはずだと言うこと。

 女子校が、私の住むマンションのそばにあったから、それを知っていること。

 私たちのいた世界には、魔法がないこと。

 魔方陣や召喚は、空想の産物として、市井では広く知られていること。

 ただ、聖女様の通う学校が、ものすごく閉鎖的で、なんと言うか古風な?おしとやかな?淑女を育てるお嬢様学校なので、純粋培養なのかもしれないと言うこと。


 これらを説明し、だとすると。


「聖女様は、誘拐された被害者という感覚でいるのかもしれません」



 バルトさんとアレンさんが、それはもう苦い苦い薬を噛んだような顔をした。







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