75 魔法陣について、脳内でおさらい
魔術師の資格を取るための勉強を始めるまでは、この世界の魔法事情を詳しくは知らなかったから、全然気にも止めていなかったんだけどね、魔方陣ってすごくしっかり、厳重に管理されてるんだよね。
そもそも、元始の魔法は呪文で発動させていたらしいんだ。おぉ、ファンタジー。
でも、それってすごく制御が難しいらしく、ほんの一握りのすごい人にしか、出来ないことだったらしい。
まぁさ、イメージなんて一定でない物が、魔法の効果に影響するとか怖いなぁと思ってたから、ある意味ホッとしたんだ。
呪文の時代に来なくて良かった。
だってさ、チラッと映画の爆破シーンを思い浮かべたら、料理用の火加減が大惨事に、とか、チラッとナイアガラの滝を思い浮かべたら、お庭の水撒きが大洪水に、なんて事もあり得ると思わない?
余程、集中して呪文唱えないと、絶対チラッと何か考えるって。一瞬何か見えたとか、何か聞こえたとかで間違える人たくさんいたんじゃないかな。
で、らしい、らしいって言うのは、呪文なんて遥か昔のお伽噺で、伝承としてそんな時代があったって、わずかに記録が残ってる感じなんだって。
そう、教科書みたいなのに書いてあった。
で、昔の頭のいい人が、魔方陣を作ったと。
すごいよね。あれって、要は設計図みたいな物なんだよ。
例えば、手帳の最初の方にある、ポケットに手帳を戻す魔方陣だけどね、細かく説明すると、
効果「手帳が移動する」
位置「登録者が着ている服のポケットの中」
発動「着ている服のポケットを二度叩く」
って感じに魔方陣には書いてあるんだ。
最初の文が効果の内容で、次が効果の結果をどこにするのか、場所とか位置とかの指定だね。最後が発動条件で。
手帳にこの魔方陣を組むことで、私が着ている服のポケットに手帳を移動させる事が出来るってことなんだよね。
うーん、便利。きっとズボラでよく手帳を無くす人が困って作ったんだと思う。ポケットに入れっぱなしで、アレ?どの服だったかな?みたいな。
一般の人が使える魔方陣は、誰の魔力でも発動するように魔道士や魔術師の人が、道具に組み込んだり、設定して固定化した物だけなんだよね。
それも勝手に設置しちゃダメなんだ。ちゃんと申請が必要で。
結構審査も厳しめみたいで、取り締まりもあるんだって。
悪質な人は、資格剥奪の上、国から追放されちゃうんだって。一番厳しい罰は、魔力封印らしい。そんで国どころか、この大陸から追放されちゃうらしいよ。
こんなに厳しくする程の何かが昔起きた、ってことなんだろうね。だからこそ。
こんな風に、簡単には設置出来ないハズの転移魔法陣が、アホみたいな数、ホイホイ使われているなんて、ものすごい異常事態なんだ。
私、ヤバい人達に拉致られたんじゃないの?え、ちゃんと戻れるのかな。なんか不安なんですけどー。




