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74 魔術師になった時のことを思い出す

 


 なんで違法か分かったかって、私が、最近魔術師の資格をとったから、なんだよね。




 魔術師の資格試験は国に申請書を出したから、国家資格なのかと思ってたら、なんかちょっと違った。

 合格通知に「各国にある、魔導の塔の窓口で、魔力の登録と魔方陣の受け取りをしてください」って書いてあったんだよね。

 魔導の塔?何それ。


 合格したことを殿下に報告に行ったら、


「魔導の塔は、世界の魔導師、魔術師を束ねる機関だからな。早く登録してこい」


 と、アレンさん。


 そこは城の中の、端の方にある一室で。華美な装飾なんて一切無い、机と椅子と本棚しか無い、シンプルな部屋だった。

 中に居た、キノコみたいな独特な髪型をした男の人が、ニコニコしながら、


「はい、じゃ、これ」


 って、魔方陣が印刷された紙と手帳を渡してくれた。

 魔方陣には要約すると「この魔力の持ち主を本部登録書と個人手帳に登録する」と「発動後、魔方陣は消滅する」って古代語で書いてあって。


「手帳を下にして、魔力を流して」


 言われた通りにやってみる。

 指先から魔力を放出するイメージをして、魔方陣の文字を目で追いながら、魔力を薄ーく伸ばす感じで。

 それが全体に行き渡ると、キラキラと魔方陣が輝いた。光の輪がふわりと浮いて、降りる。


「はい、OK」


 魔方陣は、紙ごと消えた。


「不正とかあるといけないからね。はい、これがあなたの手帳。無くさないよう、まずは最初の方のページの、ポケットに戻る魔法と大きくなる魔法がオススメかな。大きい方が見やすいからね」


 そう言って、手帳を渡してくれた。

 それは前に見た、アレンさんが持っていた手帳とそっくりで。茶色の皮のカバーが掛けてあって、手のひらより小さなサイズで。

 中を開くと、いくつもの魔方陣が記載されている。


「登録してあるから、君の魔力でしか使えない手帳だよ。今は基本的な魔方陣しか入ってないから、他に必要な魔方陣は、ここで登録すればいいよ」


 サッと立ち上がって、本棚の前に行くと、


「ここには新作があるから、見ていくといいよ。あと、こっちは国の許可が無いと使えないやつね。必要な時は使用許可取ってね。魔方陣の登録の仕方は、君の侍女さんが詳しいから、聞くといい」


 キノコ頭の男の人は、


「ミレー様と面白い魔方陣を作ったんだね。早く魔導師の資格も取るといいよ」


 と言いながら「じゃ」と、片手を挙げて隣の部屋に消えていった。


 あまりにも呆気なくて驚いていると、リーさんが少しだけ苦笑いをしていた。


「いつもあんな感じの方なので、お気になさらず。それよりも、カテリーナ様、魔方陣の追加登録してしまいましょう」


 そう言って、本棚にあるファイルを確認していく。

 要は、自分に必要な魔方陣を手帳に登録してカスタマイズしていく感じだった。

 リーさんは魔導師の資格があるから、魔方陣の便利な組み合わせ方とかにも詳しくて。

 色々と教えてくれて、勉強になりました。


 で。

 だからこそ、あの転移の魔方陣が違法だって分かっちゃったんだよね。

 そもそも、転移の魔方陣は簡単に設置出来ないことになっている。

 だって、そうだよね。簡単に他国に移動できたら、ヤバいでしょう?

 スパイだらけになっちゃうよね。


 あと、王族のいる場所に簡単に飛ばれたら、なんて考えるだけでも恐ろしい。だから、基本的に許可なんて降りないことになってる。

 他にも、危ない魔方陣は簡単には使えない様になってたし。


 




 だから、あんな風に簡単に有っていい魔方陣じゃないんだ。

 しかも聖女の里に行く魔方陣には、古代語の部分に見えなくなる魔法が重ね掛けしてあった。

 魔方陣全体を隠したんじゃない。古代語の部分だけ、わざわざ隠してあったんだよ。


 それって、どこに向かうか読まれない為、だよね。

 読まれない為ってことは、読める人がいること前提ってことじゃない?

 私、みたいに。










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