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7 シフトチェンジ

 


 笑い声につられて顔を向ければ、がたいの良い、大きな男の人が立っていた。思わずジト目で見てしまう。

 だってさ、乙女の寝室?に、知らない男の人が二人もいるよ。おかしくない?


「あー、悪い悪い。考えてることがあまりにも正直にこぼれるから、ついな」


 あんまり悪いと思ってなさそうに言われても、ねぇ。

 でも、まぁ、牢屋のような所から、移動して薬まで与えてくれたということは、一応あの場から助けてくれたってことだもんね。

 状況を確認するためにも、現実逃避はしてられない。あー、もう腹をくくるしかないか。




 一度目を閉じて、表情を仕事用にシフトする。


「状況をお聞きしてもよろしいですか?」


 背筋を伸ばし、がたいの良い方の男の人を見上げる。


「聖女様と一緒に召喚されました、市村加奈子と申します。助けて頂きありがとうございました」


 あら、頭を下げても痛くない。あの薬、すごく良く効くわぁ。次にお酒飲む時には是非欲しい、しかもイケメン付きで。


「お前、何者だ」


 エメラルドグリーンの瞳が、目の前に迫った。しかもキラリと光る刃物を私の首に当てて。


「ですから、市村加奈子と申します。聖女様の召喚に巻き込まれる形で一緒に来ました。そちらの一方的な都合で、勝手に命を消されてはたまらないので、状況を教えて頂きたいと申し上げました」


 エメラルドグリーンの瞳を睨み付けたまま、一気にまくし立てた。


「アレン、良い」


「しかし、」


 がたいの良い男の人は、私の方に一歩、足を進めるとアレンと呼んだ人の肩を軽く叩いた。

 そして突然膝を折りしゃがんで私の顔をじっと見た。あ、さっきまで立っていたから分からなかったけど、この人の瞳はブルー、んーと、コバルトブルーって言うんだっけ?キレイな色だなぁ。


「市村、加奈子か。加奈子が名か?」


「はい」


「そうか、俺はバルトだ。まずは怖い想いをさせて悪かった」


 バルトさんは私の頭に手を置いて、ポンポンと撫でた。

 急に距離が近づいたのに、なぜだか少しも怖くなかった。


「手を、握ってもいいか?」


 え、手を?手?言われて自分の手を見れば、細かく震えていた。しかも強く握り過ぎて、真っ白になっている。

 慌て指を緩めようとするけど、自分の手なのに上手くいかない。


「あ、あれ」


「加奈子、大丈夫だ。ここにはお前を害する物はいない」


 バルトさんは、私の眼をしっかりと見つめたまま、そっと指をさすってくれた。

 だけど、でも、と一瞬アレンさんを見れば、


「大丈夫だ。アレンにも、絶対に手を出させない」


 指をそっとさすりながら、一本一本、緩めてくれたバルトさんは、


「傷がついたな」


 と、なぜか自分が痛いみたいな顔をして、私の手の平をなぞった。




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