6 二日酔い?
目を開けたら見覚えのない天井が見えた。木目の天井で、染みがちょっと不気味な感じ。
え、私、寝てた?
明らかに自分の家じゃないから、横になってたっていう状況が、よく分からなくて。とりあえず起き上がろうとして悶絶する。
何これ、頭がガンガンするんですけど。え、私昨日飲んだ?痛む頭を抱えたまま、考えるけど、
「昨日は平日だし、飲むわけないし。何これ、超絶痛いんですけど」
苦し紛れに呟いた一言に、まさか返事があるなんて思ってもみなくて、
「二日酔いじゃないな。魔力酔いだ」
突然聞こえた低い声にビックリして、痛む頭のことも忘れて顔を上げた。
そこには男の人が立っていたんだけど、待って、無理。痛い痛い痛い。
目をギュッと閉じて再び頭を抱える。
「ど、どちら様でしょ、う?」
なんとか声を振り絞ったけど、その自分の声すら頭に響いて、更にダメージを受けた。
ため息が聞こえて、床の軋む音がする。さすがに見ず知らずの人が近寄って来たら、ビビるでしょ?肩をすくめると、
「薬だ。飲めるか?」
と聞かれ、薬?と思いつつ、なんとかゆっくりと顔をあげると目の前に、男の人にしては細くて長い、綺麗な指が迫ってきていた。
え?っと思った時には、その綺麗な指が私の頬に触れ、冷たいと感じた時には顎を掬われていた。
顔をあげさせられた先には、エメラルドグリーンの瞳があって。思わず息を飲む。
ちょ、ちょっと、何、この人。外国の俳優さんみたいに超美形なんですけど。ヤダ、鼻血出そう。
しかも今、私、顎をくぃってされて、え、待って、これって、噂の顎くいってやつじゃ?
「飲み込め」
何を?と思う間もなく、唇に瓶が押し当てられて液体が口の中に入ってきた。
トロリとした液体は舌の上を通り、喉を潤す。コクリと音を立てて飲み込むと、どこかで嗅いだことのあるような花の香りが、かすかに鼻を抜けていった。
もう一度、唇に当てられた瓶が傾けられ、液体が口の中にに入ってくる。白っぽい、とろみのあるそれを飲み込むと、ようやく瓶が外され、触れていた指が離れていった。
と思ったら、戻ってきた親指が私の唇を拭った。指から視線を外して、その手の持ち主を見上げれば、やっぱり超美形で。
「ヤダ、かっこいい人が薬飲ませてくれるとか、何このいい夢。そりゃ頭痛も一瞬で消えるわぁ」
「夢じゃないぞ」
どこからか、くくっと笑う声が聞こえた。