47 ある日のカテリーナ
夢を見た。
両親を亡くし途方に暮れる日々。
どれだけ泣いても戻ってこない、暖かいぬくもり。
一人になって、広くなってしまった家が、部屋が、家族を思い出させる全てが、日常を覆い尽くしていた。
寂しくて寂しくて、世界でたった一人になってしまったような孤独感の中で、泣き疲れて眠る夜。
あの当時の私が、なぜか沙羅さまに変わって。
少しずつ成長して行く沙羅様と私が、会ったこともないのに、なぜか同じようなシーンを同じ様に繰り返す。
繰り返す日常の風景に、懐かしさを覚えた頃、徐々に意識が浮かび上がった。
目覚めた時に、夢か、と思うと同時に、あぁ、そうか、とそう思った。
何故?と問われた事がある。
アレンさんにも、殿下にも。それほど可笑しな事だろうかと思ってたけど、周囲からすれば、可笑しな事に見えたんだろう、きっと。
召喚に巻き込まれただけなのに、何故って。
召喚された時の魔方陣にあった、
「両親他、親しい親族等、心を通わす相手の居ないもの。元の世界に執着の薄きもの」
の記述で、私と同じ境遇の人ってカテゴリーに沙羅様を分類しちゃってたんだって、今の夢で気が付かされた。
友達に囲まれているのに、時折寂しそうに笑ったり、イベント時期の楽しそうに笑う家族を見ると、苦しくなったり。
同じ様なシチュエーションで、私と同じ様に沙羅様も感じてきたんじゃないかって。
そう思ってたから、夢であんな風に私と重なって見えたんだ、きっと。
こちらに来てすぐ、殿下から、聖女様が食事を口にする事が出来ないって聞いた時は、本当に焦ったんだよね。
私も食べられなくなった時期が、あったから。あれは、本当に良くないんだよ。気持ちが本当に沈んでしまう。
沙羅様が、打ち解けてくれてから聞く、日本での話や、ご両親の話を聞いても、やっぱり似たような状況を経験してるんだなって、何度も感じた。
しかも、今だって、同じ様な不安と、同じ様な孤独感を抱えているんだから。
だから、やっぱり助けたいって思っちゃうのは、仕方がないんだと思う。
これからも、同じ故郷を持つ加奈子として、それからご学友のカテリーナとして、沙羅様を助けられたら、とそう思うよ。




