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44 兆し

 


 うーん。なんだか最近、周りの様子が騒がしいんだよね。


「カテリーナ様、今日は天気が良いのでこちらから参りましょう」


 いつもの図書室からの帰り道。突然、リーさんが庭園へ向かい始めた。


「また、なの?」


「はい。この先の角を曲がった所に、三人」


 はぁ、暇人なのか。この所、私に直接接触しようとする人が後を絶たないらしいんだよね。で、こうやって待ち伏せとかしてるんだって。

 らしい、で済んでいるのは、殿下やアレンさん、それから大部分はリーさんのお陰で、ほぼ回避出来ているからなのです。


「私を傷物にしたり、取り込んで、いいことなんてありますかね?」


 不思議に思う。何の利益があってそんな事しようと思うのか。


「利益だけで言いますと、聖女様との繋がりと、ミレー様との繋がり、それから魔方陣改良の実力等で、取り込みたいのではないでしょうか」


 リーさんは、なんと言うか私に甘い。過大評価とでも言おうか。いつも誉めてくれるから、調子に乗っちゃいそう。

 でも本当は、庭園の綺麗な薔薇に囲まれながら、優雅に歩みを進めるリーさんこそ、すごいと言うのに。




 この前、歩いていたら、リーさんが突然私を抱えて飛んだんだよね。

 頭上から、大きな窓が一枚、枠ごと落ちてきてさ。なんか植木鉢とかじゃない所に強い悪意を感じるよね。で、リーさんは危険を察知して、私ごと前に大ジャンプ。

 私達のいた場所はガラスが粉々になりつつ、あちこち突き刺さってたから、あのままだったら、大惨事になるところでした。

 あ、犯人はすぐに捕まったって言ってたけど、結局のところ、何の目的だったのかなぁ。


 それから、部屋に連れ込まれそうにもなった。突然、腕を掴まれて、引きずられそうになったけど、リーさんが相手をポイポイ放り投げて、いつの間にかもう一人のリーさんが、縄で縛ってたっけ。あっという間の出来事でしたよ。


 何、あの身のこなし。超かっこいいんですけど、って感じで、ますますリーさん達とは仲良くなりたいと思ったね。うん。


「うーん。それって私じゃなくてもいいじゃないですか。聖女様とミレー様に関しては、制御も出来るようになったから、勉強会ももうすぐ終わりますしね」


 と言えば、リーさんは少しだけ笑って、


「先日の夜会の後から来ている者の一部は、カテリーナ様の美しさに惹かれて、来ているのだと思いますよ」


 なんて言ってくれた。いやいや、そんなに誉めても何も出ませんよ。

 それに、夜会はアレンさんの妹として無理矢理出させられたし、殿下にもエスコートしてもらうことになったりして、立ち居振舞いとか夜会のルールとか色々覚えさせられて、ものすごく、ものすっごく大変だったから、表情筋完全に死んでたと思うんだよ。

 とても誰かから見初められるなんて無いと思う。


「殿下とアレン様に近付きたい者達から、カテリーナ様は排除したいと人物と思われております」


 ハッキリキッパリ断言された。

 いや、ほぼそっちじゃん。超迷惑。




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