3 ローブと全身鎧が現れた
聖女の召喚に巻き込まれたと実感して、不安で体が震えた。
もし、聖女以外の人間が巻き込まれたと知ったら、どうなるんだろう。大抵の小説では排除されるような気がするんだけど。
不安で、じわりと涙が滲んで来たときに、左手の奥にあった鉄格子の扉が、大きな音を立てて開いた。
入ってきた人達は四人。なんて言うか、それぞれがものすごく個性的なんですけど。
え?ハロウィンだったっけ?って思う程だよ?すごくない?インパクトが強すぎて滲んだ涙が引いたもんね。
1人目は全身に鎧を着けて槍を持ち、後にいる人を守るように先頭を歩く人だった。
動くたびにガションガション音が響くけど、鎧って、こんなに煩いもんなんだね。
次の1人は白くて重たそうなローブに勲章みたいなのをたくさん付けていて、偉そうな顔の太ったおじさんだ。
んー?アレだ。鯰だ、鯰に似てる。ヒゲのせいかな?
もう1人はダークグレイのローブを羽織ってるけど、フードを深く被ってるから全然顔が見えなくて、どんな人なのか分からない。
でも体つきから男の人なんだろうと思う。イケメンだったらいいのになぁ。
最後の1人も全身鎧なんだけど、最初の人との判別が私には難しそう。
見る人が見れば、違いが分かるのかな?不思議。
いや、もう、本当すごくない?動く鎧だよ?それから、黒魔導師に白魔導師かって配色よ?
こんな時だと言うのに、全身鎧が歩いていることにも、魔法使いみたいな雰囲気のダークグレイのローブの人にも興味津々で。でも、白魔導師は、私的には可愛い女の子が良かったデス。
なんて、のんきにそんな事考えてた私は、平和な世界に慣れすぎて、命の危機に対するセンサーがぶっ壊れてたんだと思う。