29 ある日のカテリーナ
バルトールの執務室にて
「なぁ、カテリーナはなんで最初から普通に食事出来たんだ?」
「言われてみれば、そうですね」
バルトール殿下からの質問で、思い返してみても、ためらう理由が無かったからとしか言いようがないんだけど。
お腹がすいて、食事を出されたから普通に食べた、って感じだったしなぁ。
「聖女は繊細なんだろ」
「私だって繊細です」
と、アレンさんの突っ込みに、すかさず返すけど、二人に微妙な顔をされました。解せぬ。
沙羅様が、食べ物を口に入れる事が怖かったって言うのを聞いて、超絶ビックリしたからなぁ。そんな選択肢、私には無かった。
あ、でも。
「もしかしたら、私が一番初めに口にしたのが、あの薬だったからかも、と思うんですよ」
それほど時間は経っていないのに、ずいぶん昔の事のように感じる。
気がつけば、目の前にイケメンって、インパクトが強すぎるよ。本当ビックリしたし。
「二日酔いの時に、このイケメンごと欲しいって強く思う位、瞬時に効いたので、体が理解したんじゃないですかね?食べても大丈夫だって」
と言えば、殿下が吹き出した。そう言えば、あの時も笑われたんだっけ。
いや、だって、中身を知らなかったら、アレンさんはすごいイケメンだよ?
ただなぁ。口は悪いし、なんて言ったらいいんだろう。魔力馬鹿って言うのかな。いろいろ残念さを知るとねぇ。
「カテリーナが二日酔いになったら、アレンに薬を持っていかせてやろう」
と、バルトール殿下が恩着せがましく笑いながら言うので、すかさず言ってやりましたよ。
「チェンジで」




