25 初めまして、聖女様
「初めまして。魔力制御の基礎を教える聖魔導師のミレーと申します。お二人とも、よろしくお願いしますわね」
年はいくつ位なんだろうか。品の良さそうな女性が、聖女様と私の前で挨拶をした。魔力の基礎を教えてくれる先生となるお方だ。
「出来れば、聖女様のお母様世代より上の方で、貴族社会にも教会にも詳しく、礼儀作法もついでに教えてくれるような女性、いませんか?」
バルトール殿下に伝えたのはどのタイミングだったか。とにかく、この世界での知識も無いし、魔力のことも分からないから、急いで知識を仕入れたい。
あと聖女様にも知ってもらいたいんだよね、この世界のいろんな事を。
だってさ、この世界の事を知って、この世界の人と繋がらなかったら、助けたいなんて思うわけ無くない?ぶっちゃけ、関係ねーよ、知らねーよって言っていいと思う状況だもん。
でもさ、聖女様、食事も喉を通らなかったらしいって聞いたからさ、早いとこどうにかしてあげないとヤバいじゃない。
「いいとこの出の、未亡人の魔導師さんとかいないですかね?雰囲気はふんわりした人希望です」
そんな魔導師いねーよ、と突っ込まれると思って軽く言ったのに、バルトール殿下もアレンさんも、すごく驚いた顔をした。
条件にミラクルフィットしてしまったミレー様は、今の王様の一番下の妹さんで、若い頃から国の魔導師として活躍されていたんだそうな。
女性進出はそれほど珍しくない国なのかな?
とにかく、様々な魔方陣を作成し、国にたくさんの恩恵をもたらしたんだって。
トイレの魔方陣もシャワーの魔方陣も、ミレー様作なんだって。マジ、リスペクト。素敵すぎるー。
なんだけど。
その頃、先代の教皇様が亡くなったりなんだりで、教会側に色々と起きたらしく、教会所属の筆頭聖魔導師の元に急遽嫁ぐことになったんだって。
教会の中にも派閥とかあるらしく色々あったんだろうね、とにかく王族を抜けて嫁いだんだと。で、教会所属の聖魔導師になって、癒しの泉の魔方陣とか作ったらしいよ。やっぱりスゴイ。
あ、癒しの泉は、ヘレナ教会に必ずある泉で、布をその水に浸して痛い所に貼ると、痛みが和らぐらしい。
素敵ポイントは、布が教会で買ったハンカチじゃなきゃダメって所かな。リピーターも多いそうだし、ミレー様は各地にある教会それぞれの収入源を確立した、すごい人ってことだよ。ぜひぜひ親しくさせていただきたい。
そんなこんなで冒頭に戻る、と。
とうとう聖女様とファーストコンタクトでございますよ。
さっき、聖女様が付き添いと共に部屋に入ってきた時に、一応頭は下げたけど、すぐにミレー様が入って来たからね。
「では、カテリーナさんから自己紹介をどうぞ」
ミレー様が振ってくれたので、改めまして。
「この度、ラムダス家の養子となりました、カテリーナ・ディ・ラムダスと申します。ミレー様、聖女様、どうぞよろしくお願い致します」
そうなんです。アレンさんの家に養子に入る際、名前もこちら風に変えることに。違和感ありありだけど、加奈子改めカテリーナでございます。




