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13 理解不能 ー沙羅ー

 

 地震でもあったのかな、なんて強い光に目が眩んでいたから、目が慣れて回りがよく見えるようになって初めて気が付いた。


 今いる場所が、スーパーじゃないって。



 私はなぜか石造りの広間の、壇上にいて、目の前には、白いローブを身につけお年を召した、ふくよかな男性が立っています。

 一段下がった場所で、片膝を床につけ、頭を下げている人が7人いて、世界史の教科書で見た、西洋の鎧のような装備を身につけた人が4人、槍を持ち左右に別れ直立不動でそこにいた。



「聖女よ、よくぞ参られた。しばし休まれたら、滞りなく指命を果たされよ」


 白いローブのお年を召した、ふくよかな男性は、私に向かってそれだけを言うと、ローブを翻し、後ろにいた何人かを従えて私に背を向け足早に去って行く。


 何を言われたのか、理解出来なかった。聖女って?使命って、何?何のことを話しているの?

 戸惑っていると、


「聖女様、発言してもよろしいでしょうか」


 と、白くて長い髭のおじいさんが、私を見て言う。やっぱり、私のことを聖女って呼んでるの、よね?


「あの、発言は構いませんが、私は聖女と言う名前ではないのです。どなたかと人違いされていませんか?」


 と、おじいさんに声を掛けたら、なんだかプルプルと震え始めた。


「聖女としての自覚がまだないのですな。聖なる魔力は使えますかな?」


 聖女としての自覚もなにも、何を言われているのか、さっぱり分かりません。


「ごめんなさい、さっきから言われている、聖女ってなんですか?」


 私の言葉におじいさんの震えは酷くなった。周りの人達も顔を見合わせたり、表情が固かったりと、変な感じがします。


「なんと、ここまでの魔力を持ちながら、聖女としての在り方を知らないと?聖女としての知識は無いのですか?」


「そのようなことを言われても、申し訳ありませんが、何のことを言われているのか分かりません。お力になれず申し訳ないですが、人違いのようですので戻らせていただきますね」


 言っている言葉の意味は分かるのに、内容は全く理解出来ません。

 ここがどこだかは分からないけど、早くスーパーに戻らないとお店閉まっちゃうんじゃない?







「戻るなどと。どちらへ戻るおつもりですかな?」


 一歩前に出たら、おじいさんの後ろにいた人がサッと前に出て私の動きを止めた。

 背が高く、鍛えて見える大きな体と、厳しそうに見える顔をしたおじさんは、少し嫌な笑いを浮かべて、私に言う。







「聖女として召喚されたのに、聖女としての勤めも果たさずに、戻れる訳がないだろう」


 と。




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