号泣
眠い
…どうしよう、あの悪質な訪問販売の人、私の家の庭にかまくらなんて作っちゃってる…
しかもなんかもう寝息が聞こえてくる
ここ寒いし凍死とか…嫌だなあ、こんなとこで死なれたらどうしよう
呪われたりしないかな…?
私、寿命がもうすぐ尽きるからって漸くお願い事聞いてもらえてわくわくしてたのに
残り少ない竜生でまた呪いを拾うなんて勘弁して欲しいよ…
とりあえず、嫌だけど家に連れていくか
ここ、今はまだ氷点下10℃とかだけど
夜中の内に絶対零度まで後-10℃とかまで冷え込むしなあ…
ボグォルグドブォブルブルボルグブェェエエエエ!!!
!?!?!?!?
なんだ!?
バゴーン ザシュンッ ボドンッ
奇妙な叫び声の様な爆音と破砕音が室内に谺響する
一体何事!?…室内?…!?!?!?
私は…確かライの家の近くにかまくらを作っていたはずだが…
「ふー、疲れた〜やっぱインペリアルヴォルケーノワイバーンは殴り応えがあるわ!尻尾の肉も美味いし彼らほんとに無駄がないいい生き物だなあ…あ!起きた!起きた!おはよう!!!」
昨日の古竜、ライがそこにいた
「もう…あなた人間でしょ!?あんな所で寝たら風邪ひくよ!てか死ぬよ!?てか人の家の庭に勝手にかまくら作って泊まらないでよ!!!悪質な訪問販売ってのは本当に悪質なのね!!!私のわくわくと寿命返してよ!!」
猛烈な抗議が私を襲う
当然の反応だ、余計な事をした私が悪いし普通は人の家の庭に勝手に泊まらないだろう
…ごめんなさい、私、実は宅配便でも訪問販売でもなくて神の命を受けてきたの
あなたに寄り添う者としてここに遣わされました
気分を害したのなら謝ります、どうか許していただけませんか
「生きてればいいんだけど!!今度はありがちなの宗教勧誘か!!!帰れ!!!」
「…じゃない、なくない?私そういえば神知ってるじゃん、お願いしたじゃん?もうすぐ来るってそういえば言ってたような…」
「ああーっ!!!!!あなたね!!!!あなたが私の!!!!!ほんとに!?ほんとなの!?!?もうずーっっっと待ってたんだよ!!!神様ありがとう!!!!!」
なんと現金な…いや、まてよ
これなら…
私はまた凄く余計なことを思いついてしまった
ごめんなさい!私もう一つお詫びしなきゃいけないことが!!
「ん?何?」
実は…その、私が来る予定だったのはライさんではなくイル様のお宅で…
「えっ!?」
ですから…その、今回のお話は…
「えっ…?えっ…?…………………………グスンッ」
「願い始めて1万7924年目、漸く友達ができると思ったのに…っヒグッ…そんな…うそ…うわああああああん!!!!」
やばい、泣いてしまった、しかも結構ガチなやつだ、どうしよう
というか山揺れてるんだけどこれやばくない?
ちょっ!ちょっと待って!冗談!冗談だから!!!
私は貴方の友だちになりに来たの!!
ほんとに!ほんとだったら!!
貴方の友達になる為に私死んできたんだからね!?
だからほら、泣き止んで!!
「ほんとに…?」
ほんとだって!
「また、私残して死なない?」
死なないよ!
「信じてもいい?」
信じて、お願い
「わかった、信じる、もう…やらないでくれるとうれしいな」
ダメ、私はこういうの好きなタイプの悪いやつだからやめられません
こんな問答を1時間ほど繰り返していた
日は既に登ってしまっている
古竜には日光は辛い…なんていっているが
本当にそうなのだろうか、ただの引きこもりじゃないのか?
寝たかった