早く会えよおい
まだ?
それは…?
「すごくアレな理由なんだけど…彼らはあまり仲が良くないんだ」
「例えば、引きこもりニートコミュ障竜とか、強い奴を見れば食わせろと迫る魔王とか、爪楊枝からヒヒイロカネを錬成する魔法陣の完成のためなら逆鱗でも引き抜いて素材にしようとするイカれた不死の錬金術師とかね…」
お、おう…
それはまた仲良くしたくても個性に負けてそうな面子ですね…
「そんな彼らが顔を合わせるとどうなるか、古の竜は逆鱗を守る為に全力で抵抗し、魔王は竜を喰おうとし、先の勇者は魔王を斬ろうとすれば、錬金術師は逆鱗に向かいゾンビアタックを仕掛ける…」
「まあそれがこの世界で8回目の最終戦争の理由…8回目ってのは毎回魔王ギュールがこれが古竜の最後だ!!!ってアホな宣言するからなんだけど、まあ…ライは強いからね、死なないし結局ライが全員叩き伏せて終わりだったよ、ちなみに174年前に28回目の最終戦争が終わってからは比較的平和な日々が続いてるね」
「1回目の最終戦争は彼らが明確に個として存在を確立し、互いの存在を認識しあった時だったらしい、多分…お互いにこいつら生かしとくとやべえってなったんだろうね」
なんて物騒というかおぞましい世界に連れてこられてしまったんだ私は…
「…ライは寿命を迎えて容れ物を変えるつもりらしいんだけど…、実はそれが上手くいくっていう確たる保証はどこにもないんだよね、だから僕達、この世界の神は孤独なる強き竜、ライの最後かも知れない瞬間を看取る者くらいは…、と君を引き寄せる事を許したんだ、一応他の強者達には立場からの仲間や部下がいたりして孤独ではなかったからね、ライが更に共鳴しやすかったから孤独なだけでさ」
…ただワガママだって断ずる事は容易い、実際にワガママだったし容易かった
でも…最終戦争にいつも終止符を打つのはその古竜、ライだった
と言えばライの世界への献身と言うべき行為に対する見返りが余りにも無さすぎるのではないだろうか
それが私で足りるのであれば…どの道寿命が見えてる相手だ、少しくらいならいいのかもしれないな
…ところで、そのライの寿命はいつ頃尽きる予定なの?
「うーん、わかんないんだよね、それは本人、もとい本竜に聞かなきゃわかんないや、だって彼の力、未だに強いし、でも彼が死ぬっていうなら多分死ぬと思うよ」
そう…わかった
寿命、いつ尽きるかわからないんでしょ?
ならとっとと私をライの元へ連れていきなさいよ
「わかってくれてありがとう、困った時は呼んでね、業務の合間に暇見て行くからさ、それじゃ、ライの巣の前に飛ばすから目を瞑って」
了解、そんじゃまたね
目を瞑ると、足元から押し上げられるような浮遊感の少し後
エレベーターで降りる時にありがちな
内蔵がぞわりと持ち上がるような感覚が私を包み込んだ
まだでした