クライアント
なぜ、私は殺されたのか
そして私はどうすればいいのか
それを考え始めて体感既に3時間
先にそれを問うた自称神といえば
「すごい…スゴイ…凄い…SUGOI…うふふ…あはは…えへへ…ついに褒められた…凄いって…」
壊れている
余程褒められた事が嬉しいらしい
流石にこれ以上は気分的に待てないので1発だけ拳骨をいれて意識をこの世(ここはあの世?)に引き戻して再度問う
「あふっ…てて…何すんねんこのアホ!消すぞ!」
いやだって戻ってこないし…
「ああ…いやゴメン悪かった、んで、その理由なんやけど、貴方を殺してここに連れてきた理由、それは願い、強き者の願いを叶える為」
願い?何?私誰かのわがままのために死んだの?
そんな理由嫌なんだけどなんで私なの?
「んー、まあそう言っちゃアレだけど、確かにわがままだよね」
でしょ?んじゃ私をお家に返してよ、まだ私でっかいステーキ肉買って焼いて食べてないの
「ごめん、それは出来ても出来ないんだ、もう貴方の容れ物は燃えた車で焼肉定食になってるし、流石にそこから歩き出したらヤバいでしょ」
「なにより今から貴方が生き返ったら願った彼が可哀想だし」
…わかったよ、流石に焼肉定食が歩いたらこわいよね
そんで、そのわがままなアホは一体どこの誰なの
わがままで人殺すくらいのアホなんて1発ぶん殴らないと気が済まないんだけど?
後、転生ってんなら私がさっき読んでたアレくらいのチート寄越しなさいよね
なに?わがまま?
願い事で人殺すアホよりマシでしょ
…よし、中々にいい感じね
後、あんたのクライアントの情報を寄越しなさい
「…私の依頼主の名は古竜ライ、この世界線での創世に関わる古く強く、最も孤独な竜」
「貴方はその竜が欲しがったからここにきた」
へえ…創世の竜ね、強そう(小並感)
「以前より、彼は番とまでは言わないが、友達を欲しがっていた、しかし、彼の寿命では必ず先立つ友を見送るのみになり、悲しみを募らせてしまうだろうと今までは許されなかった」
「彼…いや、この世における強者の心は世界と共鳴しやすいんだ、例えば彼が怒れば世界は黒焦げになるだろうし、泣けば僕のあのスイッチなしでも大洪水になってしまう」
「だから、彼に友は与えられなかったんだ」
じゃあ何故今私を?
「簡単に言えばさ、彼、ついに寿命来るっぽいんだよね、色々試した結果さ、とりあえず1回死ねば共鳴もしにくい別の容れ物って扱いになるらしいんだ」
じゃあなんでもっと早く殺らなかったの?
「彼、強すぎて殺せないんだ」
あ、そう、そう…そうですか…
「ちなみに、今回、君で願いのために呼ばれ、引き寄せられた者は597人目だね」
「現在生存しているのは12人」
そんなアホほど殺してたんですか…?
おそらく、その強者の欲の果ての慟哭ではもっと多くが死んでいるんだろうなあ…
というか生存者いるんだ、前任が死んだから呼ばれたわけじゃないんだ
「強者は1匹、あるいは1人ではないのさ、この世界戦は君の前世からすればふぁんたじー?って感じだから」
「例えば君を欲した古竜ライ、あるいは世界を喰おうと目論む暴食の魔王ギュール、運命に呪われた勇者イル…」
「こんな風に、強者は結構存在する、後はなんかすごいいっぱい死んでる!やべえ!って思うかもしれないけど、彼等の殆どは寿命だよ、たまーに高位種族のやべー奴の逆鱗に触れて残念なことになったのもいるけどね」
「彼らはわがままだけど常になけなしの、あるいは深い慈愛を持って友と契り、護るから」
へえ…、わがままで呼ばれたからには結構アレな扱い受けちゃったりするもんかと思ってたら以外とそこはまともなのね
まあ逆鱗に触れたりなんてしなければ多分大丈夫でしょ、多分
それに今の私、私から見た感じ強いし
「確かに…今の君は強いよ、でも、強さが弱さになるということも覚えておいてほしいな、今の強者達の弱さの原因は強さだからね」
てか…思ったんだけど
強さと長命故に孤独に苛まれるとかならその強者達で老人会でもやればいいんじゃないの?
別に異世界から連れてくる必要なくない?
「それは…」