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召喚された

 パァーっと光って、目を開けたら周囲の様子が一変していた。激変していたと言うべき。足元には光を発する円形の魔方陣。ごちゃごちゃしているし、文字らしきものや記号など色々あり、まったく読み取れそうにない。

 何かのゲームかアニメか映画で見たことのあるような、西洋風のお城みたいな場所に、私が立っている。城塞ではなく宮殿。なるほどこれは、バロック様式では? いやゴシックとバロックくらいしかわかってないけど。それも名前だけしか知らないけどな。


「おおー! 勇者さまじゃー! 今度こそ成功じゃー!」


 なるほど。邪魔くせ。


 つまり勇者召喚されたというわけだ、私は。察しよすぎだろ、さすが、伊達に文字ばっか読んでない。ご都合主義とも言う。このへんどうでもいいからな。

 だがしかし。ただの二十代女子に戦闘力はないし、残念ながら知力も足りない。魔法には触れたことがないので能力未知数だが、勇者とは、どうしろと。


「勇者よ。よくぞこの危機に馳せ参じてくれた。大儀である」


 イケボについ釣られてそっちを見た。見上げた。これは! イケてる! オジサマ!


「あの、危機とは?」


「そうなのだ」


 尋ねてみれば、イケオジが神妙にうなずいた。よく見れば周りの人間よりも立派で豪奢な格好だ。もしかして、えらいひと。目を落とす。恋なんてしてないんだ……一目惚れなんてなかったんだ……。いや待てよ、勇者として活躍したら、ほっぺちゅーくらいしてくれないかな? でこちゅーでも。ぎゅっとしてくれてもいい。某英国俳優系統の顔に私は弱い。眼鏡がついてるとさらに弱いので、今回は助かったと言えよう。


「我が国は現在、魔王軍の侵攻を受けている。やつらは我が民を殺め、苦しめ、痛めつけていて……。心が痛むのだが、凌辱は酷く、軍を動かす余裕もないのだ」


「なんてことだ」


 一応相づちを打っておいた。若干棒読みであることは否定できないが、イケオジは気にしなかったようだ。私がガン見してるのも気にしていないようだ。眼福。


 長々と話は続いたが、結局、国に伝わる伝説の聖剣を扱える勇者として召喚されたのが私で、とにかく魔王を倒せってよ。魔王倒せってよ。バカなの? 死ぬの? イヌミミ生やす? 軍を動かせないほどの侵攻、凌辱って、意味がわからないよ。それ勇者に何とかできるのか? 私ピアノ弾くくらいしかできないよ? イケオジが王様だってことだけ重要だ、一緒に最前線へ魔王を討ちに出かけてはくれないということだもの。

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