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-夢の終わり-

 彼の最後の言葉は、今でも覚えている。だって嘘偽りの無い彼の本心だったから。たった一週間しか一緒にいられなかったけれど、彼への想いは一生もので、思い出も一生忘れない。


「小夜はさ、もっと自分らしく生きろ。誰かは必ず否定してくるだろうけど、否定するやつもいるなら肯定してくれるやつも居るはずだから。」

「一週間ありがとな。楽しかった。」


 その言葉でデートは終わりを迎えた。私はデートが終わると、彼との関係は白紙に戻る。そう思っていた。だから友達として、せめてクラスメイトとして傍に居られればそれで良いと思っていた。

 一週間の思い出があれば耐えられるって信じてたから。


 でも翌日の朝、担任の先生が言っちゃいけない言葉を言ったんだ。聞きたくなかった、だってその言葉に私は耐えられる自信が無かったから。


「坂柳はな、転校した。本人の希望もあって、当日まで言えなかった。」

 淡々と報告をするかのように先生はそう告げた。彼のことなんて何とも思っていないかのように。クラスのみんなも最初は騒いでいたのに、授業が始まり終わってからは何も触れることをしない。

 まるで最初から坂柳誠也と言う存在が居なかったかのように。


 嫌だ、彼は私にとって忘れたくない人だから、たとえ私の片想いだったとしても。

 この後の授業なんて気にしない、私は誰の目にも止まらないようにクラスから抜け出した。


「そうだよね、居るはずないよね。」

 私が初めて彼と話した場所、私たちの始まりの場所。桜の木の下だったそこは、ただの大きな木の下で桜は全て散り終わっていた。私は地面に落ちている桜を拾い上げて、木に向かって投げる。

 桜は枝に触れることなく、まるで地面に元々付いていたかのように吸い付いて行く。


「どうしてよ。なんで落ちちゃうの!」

 私の叫びは誰にも届かない。無駄なことをしているって分かっていても、悲しみが止まらないから何かをしていないとどうしようもないのだ。


「ああ、夢から覚めちゃったんだ。」


 桜は毎年咲き誇る。でもあの時の桜は一度だけで、あの瞬間の夢はもう二度と来ない。

 彼と過ごした僅か一週間の短い私の物語は、悲恋かと問われたら。

「一番幸せな恋でした。」

 ってはっきり言える。だって自分を出せる相手と一緒に過ごせたのだから。


 私は覚めない夢を求めて、今日も彼を待つ。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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