-散り終わるまで後三日-
私の無謀な行動と彼の一言で、晴れてクラス公認のカップルとなった私たち。
当の本人たちの距離はと言いますと、まるで縮んでおりません。
「誠也く・・。」
「ねえ、ちょっといい?」
昨日は何も言われないから安心していたけれど、二日連続で私たちの様子を見たら彼女も確信したのだろう。嘘や冗談では無く、彼らは本当に付き合ってるのだと。だからこそ彼女は私に対して問い詰めたいのだろう。なぜ裏切ったのかを。
「私が言いたいこと分かってるよね。」
呼び出された先には彼女以外にも何人か女子が居て、その中には私の友達も居た。このグループに歯向かってしまったんだと私は現状を見て思い知らされた。
「私がどうやってクラスで一番イケメンな坂柳君と付き合えたかって話?」
「調子乗ってんじゃねえよ。」
彼女からそんな汚い言葉が発せられるとは思ってもいなかった。正直なところ、内心ドキドキしっぱなしである、だって私はこんなこと言える性格じゃない。女子のグループで目立たないようにしてきた学生生活、そんな私がリーダー的ポジションにいる彼女に強気なのかというと一つ理由がある。
「あ、もしかして坂柳君を私に取られたのが悔しいとか。」
その言葉を言い放った後のことは覚えていない。私は気付けば保健室のベッドで寝ていたから。あの人数で囲まれていたのだから仕方が無いが、まさか女子同士のいざこざで殴られるなんて思ってもいなかった。
今は授業中なのか、廊下からは何も聞こえないし保健室の先生も不在の様だ。
私の呼吸の音だけが聞こえる。その呼吸は先ほどの状況を思い出そうとすると荒れ始めた。そんな一人の空間に誰も来ないと思い、私は高校生活で初めて油断した。
「うう、もう嫌。怖かったよ・・。」
布団が濡れるのなんて構わないかのように一人泣き始める私。他の誰かが見たら驚く光景だろう。だって私はクラスの中でも影の薄い存在で、誰かと接している私は終始笑顔の一生徒だから。
「なに泣いてんだよ。お前らしくも無い。ほらよ。」
いつの間にか彼は私の前に居て、ハンカチを手渡してくれた。彼も彼らしくない。
「お前さ、別に俺はお前に守って貰わなくても大丈夫だっつうの。クラスの女子が全員敵でも気にならねえ。」
私の独りよがりな攻防、誠也君を彼女たちの標的から外すことは出来たのだろうか。




