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元空手マンの異世界転生録  作者: 間宮緋色
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過去と今へと至るまで

カノンとカノアを間違えてたので修正しました

 それじゃ、昔話をしようか。

 それは遠い遠い遥か昔のこと。

 その世界には人々が住み、そして、それを見守る一人の神がいました。

 その神の名前はユーリ・クロフォード。

 この世界の始まりから存在し、人を見守る優しい神様でした。

 ユーリは一人、飽きることもなく、ただずっと人を見守っていました。彼にはその事についての不満はありませんでした。何故ならユーリは人間を愛していたからです。

 争う人々を時に仲裁し、飢える人々に知恵を与え、召された魂を転生させる。ユーリはそんな毎日に充実しながらすごしていました。

 そんなある時、その日常に変化が訪れました。人が暮らすユーリの世界と、人以外の者が暮らすもう一つの世界が繋がってしまったのです。

 そして、その世界にもユーリと同じ一人の神がいました。その神はカノンという少女でした。カノンが見守るその世界は、ユーリの暮らす世界よりも過酷で、そして時に残忍でした。

 このままでは二つの世界で争いが起こってしまう。そう危惧したユーリはカノンに話し合いを求めます。カノンも初めて自分以外の神を見たからなのか、それに応じました。

 話し合いは実に数十年以上にも及びました。しかし、ユーリの優しさが通じたのか、元々優しい子だったのかは解りませんが、カノンは最終的にユーリの考えに同意したのです。

 そこからは忙しい日々でした。それぞれの管理する世界に降り立った二人は、もうすぐ二つの世界が重なること、出来るだけ争わないで欲しいことを告げ、その為の準備をしていきました。

 その甲斐あってか、それから時が経ち、二つの世界が完全に繋がっても大きな混乱はなく、大規模な戦争も起きませんでした。

 それから二人は一緒に二つの世界を管理していきました。時には争いもありましたが、二つの世界の人々も交流し、お互いの長所を取り入れ、短所を受け入れ、いつしか楽園とまで呼ばれるようになりました。

 カノンとユーリも親交を深め合い、二人は家族のような存在になりました。ですが、楽園に終わりを告げる日が唐突に訪れました。

 それが悪魔たちの暮らす三つ目の世界の登場でした。そして、それと同時に、三つの世界は果て無き戦争の日々へと突入しました。

 何故ならその三つ目の世界に存在した神は、その世界をすべる暴虐の神だったのです。その名はヴァラハギカ。争いを好み弱者を蔑む、混沌の魔竜。

 ヴァラハギカはユーリとカノンの話に耳を傾けるどころか、二人を殺そうとし、そして、地上だけではなく、神々の戦いが始まったのでした。

 戦いは混迷を極めました。ヴァラハギカは圧倒的な力を持っており、逆にユーリたちは戦うことに慣れていない。数の差で何とか戦いは拮抗していましたが、このままでは全てが滅びてしまう。

 それを打開するためにユーリたちは決めました。再び世界を三つへ分断することを。

 カノンの力を持って世界を三つへ分断し、ユーリの力を持ってヴァラハギカたちを封印する。その作戦は何とか上手くいきました。ですが、いくつかの問題がそこで生じてしまったのです。

 一つは封印の代償に力を使い果たしたユーリの死亡。もう一つは、それでも尚ヴァラハギカを完全に封印することはできず、少しずつ封印が破られていく現状。

 そして、繋がった世界は混ざり合いながら別々の世界へと変貌してしまったことでした。ユーリの魂が紛れ込んだ魔法の存在しない第一世界、あらゆる世界の可能性を取り込んだ第二世界、ヴァラハギカと一部の悪に染まった存在たちが封印されている第三世界。

 カノンは焦りました。このまま第三世界の封印が解ければ、今度こそ世界は終焉へと向かってしまう。しかし、世界を分断するに当たりカノンも力を使いはたしていました。

 そして、カノンは決めたのです。自らも転生し、そして、今度こそユーリと二人でヴァラハギカを討ち倒すと。

 それは針の穴を通すような可能性への賭けでした。ヴァラハギカと戦うために必要な条件を揃え、それに加え、今度は絶対に勝たなければならない。

 それでも、カノンは信じました。その可能性を。何故ならそれがユーリとの約束だったから。そして、奇跡的な条件を揃え、何万年の時を得て、ユーリとカノンは再会したのでした。

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