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元空手マンの異世界転生録  作者: 間宮緋色
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道中に徒然と

 さて、予習復習の時間だ。頭の中に残されたプレゼントであるこの世界の常識を確認していこう。何故そんな事をするのかというと暇だからである。

 歩き始めて一時間ぐらいは周囲の景色とか楽しむ余裕もあったんだが、流石にそろそろ飽きてきた。向こうと違ってその辺にカフェとかあるわけじゃないから休憩も出来ないし、一人旅って思ったよりきつい。

 まあ、体力だけで見るなら全然余裕なのだが。何ていうかそこそこの荷物背負って一時間以上ぶっ続けで歩いてるのに全然疲れない。その上さっきちょっとジャンプしてみたら軽く一戸建ての家の屋根に上れるぐらいには跳躍した。

 空手マンだった俺もこれにはちょっと苦笑い。いやー、魔族の身体って凄いですね。

 ともかく、知識の整理だ。この世界には魔法が存在していて、しかも、覚えれば俺でも使える。文明はそこそこ発達しており、遺産とか遺跡とかにロストテクノロジーとか呼ばれるものが残ってたりするらしい。察するに恐らくこの世界一度科学が発達しすぎて滅んだ感がある。で、今は魔法と化学両方で発展途上の最中らしい。

 じゃあ、何でこんなに道が整備されてないのかというと簡単な話治安が悪いからである。街灯作っても明かり部分を盗まれたら話にならん。故に文化圏に入ればともかく、所謂街道の部分は整備されていないようだ。

 ここまではよくあるファンタジーものっぽいので問題は無い。問題はこの世界特有の常識である。

 この世界ではどうも、髪の色で使える固有能力の法則がある程度きまるらしい。そして、それが自分の種族になるらしい。例えば俺は黒髪の魔族の元で生まれたから黒魔族出身という事だ。

 ちなみに分類は、黒が特殊系、白が強化系、赤が遠距離攻撃系、青が近接攻撃系、黄色が状態異常系、緑が防御系、金が癒し系、銀が空間系らしい。

 固有能力はその名の通り、魔法とかとは別物で、ゲームで言うところのユニークスキルみたいなものらしい。そして、ここで問題がある。城に残っていた姿見で確認したところ、俺の髪の色は黒と銀の混じったものだった。

 これは混色系と言って、固有能力の幅を広める所謂チート能力である。だが、まあ目立つ。基本一色の髪色の中に二色以上がいたらそれは目立つ。その結果混色形は利用されたり恐れられたりとあんまり外受けがよろしくないらしいのだ。

 そして、俺は転生者。知識はあってもこの世界の生き方なんて解らない。いきなり先行きが不安になった。それに加え、まだ自分にどんな力があるのかも解らない俺にはこの髪色はデメリットしかない。魔法も使い方解んないし。一応空手は使えるが、また遠距離攻撃でやられたくは無い。自分がこの世界でどれくらい強いのかもわからんしな。

 ただ、この身体になっていい事が身体能力以外にもある。アストラルで出来ている俺は食事の必要もないしトイレに行く必要もないのだ。仮に何か食べてもそのまま身体の中で消滅するらしい。これはアイドルの皆は羨ましいだろうな。アイドルじゃなくても食事とかトイレの時って隙だらけだろうしありがたいけど。

 さて、そろそろおさらいする知識もなくなってきた。どうするか。いっそのことここから走るか? この世界には魔物がいるみたいだけど、未だに出会ってないし、強引に距離を稼ぐのも手じゃないか?

 俺がそんな事を考えていると、道から外れた森の中にふと気配を感じた。すげえな、気配を感じるって。初めての感覚だぜ。

 ともかく、森の中からは複数人の気配がする。といってもそれほど多くは無い。二人が一人を追いかけてるって感じだ。うーむ、厄介ごとの香り。しかし、こっちにきて始めての遭遇だ。こっちの奴らがどんなのかも気になる。

 好奇心に負けた俺は道を外れそちらへと移動を開始した。その先に待つ出会いがどんなものかとわくわくしながら。

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