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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第6章─賑やかにレッツゴー♪ 街中散策も、楽しいイベントでっす!
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管理倉庫の番人? ファンキーお爺ちゃん登場~♪

「坊主共! その素材見せてみろ」


 モル兄の驚愕を余所に、管理倉庫の受付らしき場所から、しゃがれてはいるが、張りのある男性の物らしき声が聞こえた。

 お兄さんズを坊主と呼んだのは、受付カウンターから頭がやっと出るくらい小柄なお爺ちゃん。


 黒のパンツに、赤い大輪の花が描かれたシャツ、深緑のベストを着て、黒い丸眼鏡に紫メッシュの白髪。

 色鮮やかで、ちょっと奇抜な可愛らしさがあった。


「おや? トリ(じい)。お久し振りです」


「ん? なんじゃ、銀雷(ぎんらい)。お前さんも()ったのか。

 ほら、坊主共。さっさと見せぃ」


 お父さんがトリ爺と呼んだお爺ちゃんは、お父さんの存在を認識した直後に放置し、お兄さんズを急かします。


「ん」「どうぞ」


 急かされつつも、素直に素材を差し出すお兄さんズは、良い人ですね。

 お爺ちゃん、割りと態度が酷いと思いますが……。

 まぁ、終始笑顔なので、態度というより、口が悪いのかな?


「ほぉ。状態は優良……これは、どうやって手に入れた?」


「? 普通に戦って勝った、戦利品」


「戦闘時に、抜けたり折れたのを貰いました」


「ブハッ! ワハハハハハハッ! マジか! 通りで、多少とはいえ、傷があるはずだわのぉ~。ククッ。

 銀雷、お前さん、採取方までは教えとらんのか?」


 素材をじっくり観察し、重さや固さ、傷の有無なんかを確かめたお爺ちゃんが、再びお兄さんズに尋ねます。

 取得方法を聞いてるのかと思ったのか、お兄さんズが答えましたが、お爺ちゃんは爆笑。

 お爺ちゃんが知りたかったのは、採取方法だったみたい。


 戦闘時に抜けたり折れた爪や羽根は、大なり小なり破損があり、採取方法としては、いまいち。

 羽根なら自然に抜けたもの、爪なら切り取ったものの方が、断然状態が良いので、巣まで行って回収するか、その場で切るのが良いんだって。

 ラメル姉さんが教えてくれました。

 ただし、グリフォンに勝利する事が前提条件で、爪の入手は相手を屈伏させることが必須らしいです。


「この子達は、剣士として弟子入りしましたからね。採取方なんかは、二の次になってますよ。

 まぁ、僕の教え方は、実地実践が全てなので、“()て盗め”としか言ってません」


 お父さんが苦笑気味にお兄さんズの修行内容を教え、お兄さんズが閥が悪そうに視線を逸らします。


「成る程のぉ。で? お前さんの納入分は?」


 お爺ちゃんは、納得したのか、直ぐ様お父さんの持ってるグリフォン素材に興味を移し、早く寄越せと手を差し出します。


「ええと…爪がこれで…羽根がこれ。必要ならもう少し出せますよ?」


「ほぉほぉ。状態は、毎度の事ながら、最高じゃな。使わんのなら、持ってる分は全部出せ」


 お父さんが取り出した素材を確認し、残りの分も早く出せと急かします。

 言葉のやりとりだけを聞いていると、強奪されそうな強引さを受けるのに、お爺ちゃんの表情は常ににこやか。

 満面の笑顔が眩しいです。


 グリフォンの爪や羽根を見たのは初めてですが、爪は光沢があって艶々、羽根は色味は渋くとも濃淡が鮮やかで、とっても綺麗。


「ほぇ~、きれぇねぇ~」


 あまりにも綺麗で、ついつい溜め息と共に可笑しな声が溢れました。


「ユナ? 欲しいのかい?」


 私の呟きに、爪と羽根を1つずつ手にして、お父さんが手渡そうとしてくれました。


「ん~ん。いりゃない。いつゅか、じぶんでもらいにいく~♪」


 駄目ですよ?

 それは、お父さんが大変な思いをして採取して(とって)きた素材です。

 娘といえど、タダであげちゃいけませんよ?

 いえ、状況にもよりますが……。

 切羽詰まった緊急時などなら兎も角、目的も無く欲しがった場合は、与えてはいけないと思います。


 大丈夫!

 欲しければ、必要になった時に、自力で取りに行きます!

 ぁ、その時は、レグルス達に助力をお願いするつもりです。

 一人で挑むのは、流石にちょっと恐いので……。


「嬢ちゃん、グリフォンは強いぞ? 自分で取るなら、AAランクくらいまで強くならなきゃいかん。大変じゃぞ?」


「? おはにゃし、できにゃい?」


 お父さんの行動と私の声に、私やお姉ちゃん達の存在を認識したらしいお爺ちゃんが、採取がどれだけ大変かを、冒険者ランクを例にして教えてくれます。


 はて?

 グリフォンって、言葉は通じないのかな?

 気性は荒くないと本で読んだのですが…。


「ん? ………まさか、話し合いで手に入れる気か!?」


「ぁい。ぶつゅぶつこぉかん(物々交換)してもらいましゅ♪」


 お爺ちゃんが、前提条件の食い違いに気が付き、唖然としています。


 勿論、言葉が通じるのなら、争う必要なんてありませんよね♪

 友好的な関係を築き、需要と供給を満たせば、細々とでも長く良いお付き合いが出来る筈。

 魔物さんの爪や羽根は、私達の爪や髪と同じで、定期的に整えたり、自然と抜け落ちるものなので、いらない物が必ず(ねぐら)にある筈です。

 自分にとって不要な物と、欲しい物とを、お互いに交換出来るのは、とっても良い事ですよね♪


 交換するのは、お菓子なんかじゃ、駄目かなぁ。


 ………。

 ところで、びっくりしたままの、このお爺ちゃんは、誰なんでしょうね?

 紹介ってされてませんよね?

 ぁ、私も名乗ってません!

 自己紹介しても、大丈夫でしょうか?

 それとも、お父さんが紹介してくれるのを、待つべきですか?

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