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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第6章─賑やかにレッツゴー♪ 街中散策も、楽しいイベントでっす!
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お父さんの“うっかり”と、お兄さんズの“アイタタ”冒険者ランク事情。

「───ぅにゃむぅ~」


「ブハッ」


 ?

 なんでしょう…誰かが吹き出した?


 心地好い揺れと、温かな塊。

 塊に抱き付いて、おでこをグリグリと擦り寄せます。


「むぅ~」


 トクン…トクン…と、落ち着くリズムの音も聞こえます。


 あぁ、そう言えば、睡魔と戦ってましたね。

 私ってば、負けちゃったのかぁ…。


「…父様(ととさま)…ユナ、起きた…?」


「いや、寝言の様ですよ。可愛らしいですねぇ」


「あら、御父様。ユナが可愛いのは当たり前よ! 私達の妹で、御父様と御母様の娘だもの。

 可愛くなかったら、嘘だと思うの」


「あ~、あたしも、そう思う。こんな可愛い存在、滅多にいないよな!」


「…ん…絶対、守る…」


「ね!」「だな!」


「ふふ。頼もしいお姉さん達だね」


「はぁ~。3人は、揃いも揃って、妹馬鹿だな」


「そう言う、エディもね」


 遠くでお姉ちゃん達やお兄さんズの声がしてます。

 温かくて安心できる此処で、ちょっとだけ寝ちゃいましょう。

 起きたら……皆とお出掛けの……続きですね……楽し……み……くぅ。



 *~*~*~*~*



 目が覚めると、そこは管理倉庫でした。


 お父さんの腕から、エディ兄さんに移される軽い衝撃で、眠りの深淵から、うっかり浮上してしまいました。

 状況が分からず、ちょっと愚図ってしまいましたが、エディ兄さんに抱っこされて、あやされます。

 軽く揺らされ、再度睡魔に襲撃されそうになりましたが、なんとか起きますよ。


 あれから結局、皆揃って移動する事になり、部屋を出た所で、狐の獣人夫婦と別れたらしいです。

 そのまま、一度解体作業場を通り、素材管理課のトップを交えて、今いる倉庫へとやって来たそう。

 その間ずっと、私はお父さんの腕に抱っこされて爆睡。

 途中、エディ兄さんが、私の寝言に静かに爆笑してたらしいです。

 愚図る私に、後からシリウスが教えてくれました。


 むぅ~。

 ノルドさんとアナさんに、ちゃんとお別れ出来ませんでした…。

 ギルドから出る時に、もう一度会えるかな?

 エディ兄さんが爆笑する、私の寝言って……?


 幾つか疑問はありますが、取引の邪魔はしちゃダメです。

 大人しく待ちますよ~。

 3歳児とはいえ、空気はちゃんと読めるのです!

 ……たまに、失敗しますけどね?


「───成る程。いいよ、言い値で売ろう。爪は5本、羽根は20本くらいなら持ってるよ」


「助かるわ~。グリフォンに勝てる冒険者ってAAからだし、それだってピンキリで、完全に供給不足だったのよ~」


「あれ? そんなに難しかったかな?」


「ん~、私達の全盛期より、最近は質が落ちた気がするわ。強い子が減ってるのよね…」


 モル兄……全盛期って…。

 まだまだ現役なのでは?

 ギルド前の騒動の時の覇気は、普通に強者の物だと思うの。


「?………ぁ、エディ! クリス! 君達ランクってどうなってた?」


 モル兄の言葉を聞いていたお父さんが、不思議そうに小首を傾げていたかと思えば、ふと何かを思い出したのか、お兄さんズを呼びました。


 ランクの確認ですか?

 そう言えば、お父さんがSランクだとは聞きましたが、お兄さんズのは聞いてませんでしたね。

 修行中、お父さんに随行するには、冒険者としての身分が必要らしく、「登録はしてるぞ〈よ〉」と言ってましたが。


「へ? 俺はCランクから上げてないぜ?」


「僕もです」


 おおっ! Cランク!

 ………って、あれ?

 登録して3年はたってる筈なのに、まだ“半人前”なんですか?

 BとAの間には、厚い壁が在るなどと云われてますが、「CからBに上がるのは、割りと簡単」だと、お母さんは言ってましたよ?


「師匠が一緒だと、どこでも“出入り自由”ですから、上げる必要性を感じませんよ…」


「あぁ、やっぱり。うっかりしてましたねぇ」


 お父さん!?

 お父さんが原因ですか!


「なぁに? あんたってば、弟子にランクアップ試験受けさせて無かったの!?」


「ええ。忘れてましたよ。手加減しているとはいえ、私に附いて来られるので、試験さえ受ければ、AA(ダブル)の実力はある筈なんですが…」


「はぁ!? AA!? って、ちょっと待って、あんたはここ最近のレベル低下を知らなかったのよね?

 って事は、私達の全盛期時代のAAランクの実力!?

 もしかして、貴方達もグリフォンの…「持ってるぞ〈ますよ〉?」………ホントなの!?」


 呆れていたモル兄が、お父さんの台詞に、驚愕を隠せず叫びました。

 お兄さんズを振り返り、恐る恐る尋ねるモル兄の台詞に、お兄さんズが被せるように肯定して、モル兄を再度驚かせてます。


「爪なら在るぜ」


「僕は羽根ですね」


 それぞれが、腰に着けたウエストポーチから、巨大な爪や羽根を取り出して見せます。

 お兄さんズも魔導(マジック)(バッグ)を持っていて、ウエストポーチとメッセンジャーバッグが、それに該当してます。


 それにしても…でっかいですねぇ。

 爪1つで、私の掌幾つ分でしょう?

 両手でも持てるか、疑問です。

 羽根なんか、私の半分くらい…。

 下手をすれば、4分の3は在るかも…。

冒険者なのに、ランクアップを、忘却の彼方に放置する強者達……。


描写が分かり難いかもなので、補足説明。


お父さんは、自分の弟子達がある程度の実力を示していたので、他の冒険者の質には無頓着。

その上、自分が最高ランクに達しているため、ランクアップ試験が、頭からサックリ抜けてしまってた、天然のうっかりさんです。

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