睡魔との戦いと、ちっちゃい我が儘。
すみません。
ちょっと短いです。
「アナしゃん…おいしぃねぇ」
「美味しいですね」
可愛い雰囲気のカルディアナさんも、お茶に誘ってみました。
お昼過ぎなので、モル兄に書類を届けた後は、昼休憩に入るつもりだったらしく、快く了承してくれました♪
小さな焼き菓子を、もきゅもきゅ食べて、カップを両手で包む様に持って、お茶の時間を堪能します。
ふあぁぁぁ。
美味しい~♪
温か~いミルクが、気持ちをホッとさせてくれます。
「ユナ? 食べ過ぎてないかな? それ、幾つ目?」
3つ目のお菓子に手を伸ばしたら、お父さんから“ちょっと待った”が告げられました。
あれ?
食べ過ぎてますかね?
「う? みっつゅ?」
「ん?」
私の答えに、お父さんが怪訝そうに、小首を傾げます。
………。
なんだろう……。
お父さんの仕草が、可愛い気がするのは、私の気のせいかなぁ。
「ユナ、それで最後ね。御父様、ユナは食べ過ぎてないわ。
朝ご飯は食べ歩きの為に控え目だったし、昼ご飯の前哨戦的食べ歩きも、私達と分け合ってたもの。
3つくらいなら大丈夫よ」
お父さんとお互いに不思議に思いつつ、見つめ合っていたら、お姉ちゃんにお菓子を食べるのを止められました。
お父さんの疑問に、お姉ちゃんはサクッと答えます。
「あたしらに食べさせてたから、手に取った数は多かったけどな」
「…ん…ぼくも貰った…」
姉さんと姉様も、お姉ちゃんの言い分を、後押ししてくれます。
美味しいお菓子は、皆で分け合う方が、より美味しさを感じられる物です!
そして、兄弟姉妹間の「あ~ん」は、家族の特権だと思います!誰かに食べさせるのって、何と無く楽しいですよね♪
「そう言えば、僕も貰いました」
「俺も」
「確かに……私も、食べさせて貰ったね」
お兄さんズも納得し、お父さんも思い出したみたい。
お話が途切れる瞬間を狙って、お父さんにも「あ~ん」と、食べさせてましたもんね。
お父さんやお兄さんズは、一口が大きいので、食べさせるのも、余計に楽しかったです。
見ていて、気持ちの良い食べっぷりでした。
*~*~*~*~*
美味しいお菓子でお腹いっぱい。
戦いの時がやって来ました。
おのれ、睡魔め!
ここで負けたら、折角の楽しい時間が、途切れちゃう。
負けるもんか~!
「ぁ、そうだわ。ラズヴェルト、あんたグリフォン素材持ってない?」
「グリフォン? 幾つかは所持してますよ?」
「良かった! それ、売ってちょうだい!」
「…別に、構わないけど。羽根と爪だけで、肉は無いよ?」
「今回欲しいのは、爪だから大丈夫よ♪」
モル兄がお父さんに所持素材を確認してます。
グリフォンは、確か薬の素材だった筈……。
頭の上で交わされる会話が、遠く聞こえます。
う~。
睡魔の攻撃が……。
「分かった。ユナ達は、ここで待ってるかい?」
「うにゅぅ。わたちも、いく~」
はうっ!
置いて行かれちゃう!?
ヤダぁ、一緒に行く~。
お父さんが、モル兄と一緒に移動するみたいです。
邪魔になるかも知れませんが、折角のお父さんとのお出掛けなんです。
これ以上、離れるのは嫌です!
「ふふ。ユナはお昼寝しておいで」
お父さんが優しく頭を撫でてくれます。
ぅや!?
お父さんは睡魔の味方ですか!?
やめて~。負けちゃうでしょ~。
「やぁ~、いっちょにいくのぉ~」
半泣き状態で、お父さんに抱っこを求め、両手を差し出します。
眠気が酷くて、我が儘が止められません。
困らせるのは嫌なのに、口をついて出るのは、我が儘放題の駄々ばかりです。
「~~~っ。仕方ないなぁ。おいで、ユナ」
お父さんが嬉しそうに笑って、すんなりと抱き上げてくれました。
お父さんの体温を感じると、睡魔の攻撃が強化されますが、安心感の方が強いです。
これで、置いて行かれません♪
「父上、あたしも行くよ。素材精製なら手伝えるし」
「ぁ、なら、私も行くわ♪ 羽根は兎も角、爪の精製は何かあったら嫌だもの」
「…ぼくも、行きたい…」
お姉ちゃん達も同行を宣言してますね…。
ぁ…駄目だ…眠い…。
…寝ないもん! …寝ないったら…寝な───────
駄々っ子ユナちゃんは、お父さんの抱っこに、負けました♪