ギルマスとの会談? いいえ。顔馴染みとの悪巧み(戯れ合い)です♪
「はぁ~ぁん。やっぱり、何時見ても、あんたの家族は美形揃いねぇ」
美味しい~♪
只今、焼き菓子を堪能中でっす!
甘酸っぱいベリー系のジャムと、甘さ控え目なクリームを挟んだ、ブッセが美味です♪
カスタードやチョコレートクリームも、捨て難いですね。
「グランバルド、その溜め息は、流石に気持ち悪い…かな」
ギルド前での一騒動を収束させ、モル兄に誘われて、ギルドマスターの執務室に、家族揃ってお邪魔してます。
大きめの応接セット。
向かい合わせの3人掛けのソファの片方に、フォルお姉ちゃん、お父さん、ベル姉様、ラル姉さんが座って、正面のソファにはモル兄が1人で座ってます。
お兄さんズは、窓際で窓枠や壁に背中を預けて、こっちを見てます。
私?
お父さんのお膝に、問答無用で抱っこされてますよ?
焼き菓子だけだと、喉が渇きますね。
はわぁ~。
カフェオレも、ミルク配分が絶妙です~♪
「ちょっとぉ! そんな言い方酷いわ!」
「それ以外に、どう言えと?」
のんびりお菓子を堪能している私の頭上では、お父さんとモル兄の歯に衣着せぬ、言葉のキャッチボールが続いてます。
気安い間柄らしく、お母さんの時と同じく、容赦の無いやり取りが続いているので、お兄さんズが呆れてます。
充分お菓子を堪能して、ふと窓の外に興味が湧きました。
………。
お兄さんズも、甘いものは好きなので、お菓子を運んであげましょう♪
お菓子で懐柔して、窓の外を見せて貰うのです♪
「………オネェ属性か?」
お父さんの膝から下りて、お兄さんズに近付けば、ぽつりとエディ兄さんが呟きました。
? モル兄を不思議そうに観察してますね。
モル兄は、オネェ属性では無いらしいですよ?
喋り方が女性的なだけで…。
「僕、アヴァロンのギルマス、初めて見ました……ぁ、これ美味しいですね」
「私達は前に会った事あるわよ?」「だな」「…ん…」
トテトテと近付いた私に気付き、クリスお兄ちゃんが自然と抱き上げてくれました。
両手に持って来たお菓子を、クリスお兄ちゃんの口へと運べば、何の躊躇いも無く食べてくれます。
お姉ちゃん達も、そっとソファを離れ、私の後を追って来てたみたいですね。
クリスお兄ちゃんの呟きに、それぞれが答えます。
「ひとつゅきまえ、はじめてあいまちた。モルにぃは、おねぇしゃんじゃなくて、おにぃしゃんなの。
おかぁさんと、おとぉさんのおともらち♪」
「ぁ、ユナも会った事あるのね。あの喋り方、面白いよね~♪」
「女々しい感じは一切無いから、余計違和感が酷いけどな」
「…面白い…」
「モルにぃ、やさしいの♪ まえにあったときも、レグルしゅたちのぶんまで、おかちくれたよ?」
お姉ちゃん達とモル兄についての感想を言い合い、お兄さんズに理解を促してみれば、僅かに不安そうながらも、私やお姉ちゃん達の言葉に納得してくれました。
私がお兄さんズと仲良く話している間に、お父さんとの会話に一区切りつけたのか、モル兄があっさりと引き下がり、私達家族を見回し、お礼を口にします。
「まぁ、いいわ。貴方達、あの馬鹿ボンを捕まえてくれて、有り難う。助かったわ~♪」
「? 馬鹿ボン?」
「ちょっと! ついさっきの騒動を忘れないでよ!?」
「? ああ。あの粗大ゴミですか!」
お父さん……本気で忘れてましたね?
いえ、私も忘れてましたが……。
モル兄に指摘されて思い出したのか、お父さんが嫌そうに眉間にシワを寄せてます。
「貴族の坊っちゃんを、粗大ゴミ扱い出来るのは、あんたくらいね。
まぁ、強ち間違っちゃいないけど」
「君も大概ですよ?」
「面と向かっては、言わないわよ? まぁ、兎も角。
あの坊っちゃん、少し前からラディオールに入り浸っててね。
変に羽振りがいい上に、見目の良い冒険者に絡んでたの。
街の住人にも、少なからず被害が及んでたしね。
今回の騒ぎで、余罪追求も出来そうだし、漸く罰する事が出来そうよ~♪
…あのクソガキ、徹底的に調べてやらぁ…」
お父さんとモル兄が、貴族様? を扱き下ろしてますね。
しかも、モル兄?
最後にボソッと何か言いませんでしたか?
モル兄が、ニヤリと暗く嗤って見せれば、お父さんも極上の笑顔で応戦してます。
所謂、“悪~い顔”です。
ずっと前に見た、“時代劇の悪役会談”を彷彿させますね。
「ぁ、そうそう。それと、貴方達が捕まえてくれた冒険者達。
ほら、街の入り口で、衛兵に引き渡した。
あの子達の処遇も決まったわ。
罪状は国家転覆未遂と、魔物保護法違反。
国の法律だと隷属刑が妥当だとは思うけど、罪状が大き過ぎるから、王都で裁かれる事になったの。
だから、処分が下されるのは、もう少し先になるわ。
た・だ・し、不正規依頼の受諾行為は、冒険者組合として許諾出来ない。
冒険者資格の剥奪は、早々に受理したわ」
お家から連れて(運んで?)来た悪者さん達の処遇を、モル兄は細かく教えてくれました。
やっぱり、お父さんが言ってた様に、隷属刑ですか…。
話してみれば、気の良いお兄さん達でしたが、罪は罪、罰は罰です。
モル兄が、「しょうがないわよねぇ」と、ちょっと悲しそうなのは、アヴァロン所属の冒険者が、モル兄にとっては、兄弟姉妹みたいな存在だからですね。
最悪な行動を止められなかった処か、気付けなかったのが、悔しくて仕方無いみたい。
「私も責任とって、『職を辞して、一介の冒険者に戻る』って言ったのに、国のお偉いさんに止められたのよね…」
中途半端に切っちゃいましたが、1話前での宣言通り、ストック補充の為のお休みを貰います。
次は、10月18日を予定してます。
のんびり待ってて貰えると幸いです。
ではでは、行ってきま~す♪