ギルドでも一騒動? お父さんとのお出掛けは、波瀾万丈?
ストックが切れてるので、ギリギリ投稿中です。
もう1話投稿して、またもやお休みを貰います。
毎度の事とはいえ、お待たせしてスミマセン。
持久力の無いヘタレ作者を、御許し下さい。
お花屋さんを満喫し、風の鐘が鳴ったので、ギルドにやって来ました。
「誰が女だ!」「ギャッ」
───ドガラ ガッシャン。
──バンッ ベシャッ ガッ。
ギルドの正面入り口に到着した途端、中から怒号と悲鳴、破砕音が轟きました。
次の瞬間、身形の良さげな、だけどどこか小者臭漂う、細身の男の人が、扉──ギルドの扉は二枚扉で、外開きです──をぶち破って、転げ出て来ました。
綺麗な受け身をとる様な形で、1度背中とお尻でバウンドして、そのまま私達との衝突コースを逸れず、勢いのまま前のめりに。
はわっ!?
巻き込まれる!?
あまりの勢いに、咄嗟に衝撃に備えて、身体を硬直させ、目をぎゅっと閉じます。
「っと!」
──ゲシッ ドスッ。
「ゴフッ──グエッ」
エディ兄さんの焦った声と、ほぼ同時にカエルの鳴き声みたいなものが聞こえました。
暖かい何かに包まれる感覚もあります。
衝撃が襲ってくるのを待ちましたが、いつまで待ってもありません。
勇気を出して目を開けた私の目の前に、エディ兄さんの足──というか、膝裏?──がありました。
近くにいたレグルスに状況を確認すれば。
どうやら、私達と激突しかけたその人を、エディ兄さんが顔を足蹴にする事で沈め、次いで暴れない様に背中を踏んで捕獲したらしいです。
私自身は、フォルお姉ちゃんに抱き締められる形で、庇われてました。
………。
兄さん!?
見知らぬ人を、足蹴にしては、いけません!
お姉ちゃんの腕の中で、わたわたしている私の前に、入り口を潜って颯爽と現れたのは、待ち合わせ相手であるお父さん。
ただし、呼吸を奪う程の怒気を纏っています。
「おや? 早かったですね。散策は楽しめましたか?」
私達を認識した途端、それまで纏っていた怒気が、一瞬で霧散し、穏やかで暖かな空気が充ち溢れました。
いつものお父さんに、一気に安心します。
「師匠…何、やってんのさ」
ニコニコと機嫌の良さそうなお父さんに、エディ兄さんが呆れた様に問い掛けます。
「ん? お馬鹿さんの殲滅? または、ゴミ掃除だね。
あぁ、エディ、そこの粗大ゴミは、ポイしておいてくださいね?」
あれ?
ポイって、悪者さん達に、フォルお姉ちゃんがやった“ポイ”でしょうか…。
ぐるぐる巻きにして、魔法で遠投。
……え"。
お姉ちゃんのポイは、お父さん推奨なんですか!?
「ん? コレ、何処ぞのお偉いさんじゃねぇのか?」
「さぁ? 不愉快な汚物に、価値は無いと思いますよ?」
「グッ、き、貴様等~~~っ。私を誰だと思っている!」
エディ兄さんの足の下で、男の人がジタバタしてます。
片足で軽く踏んでるだけみたいなのに、男の人は逃げ出せないみたいですね。
なんだか偉そうですが、踏まれている現在では、格好はつきませんよ?
「は? 知るかよ。どうせ見る目の無いバカヤロウだろ」
「そうだね。僕を女性と間違えて、権力を笠に拐かすつもりだったみたいだし……。
見る目が無いのは確かだねぇ」
「うっわ、馬鹿でぇ」「馬鹿ですか?」
エディ兄さんとクリスお兄ちゃんが、白い目で男の人を見据えます。
「馬っ鹿ねぇ」「馬鹿だな!」「…馬鹿…」
お姉ちゃん達も呆れて、溜め息混じりに頷いてます。
「おバカしゃん?」
『ユナ、目を合わせてはいかん。馬鹿は移るぞ』
『ラズヴェルト様の地雷を踏み抜くとは…。ユナ、今あった事は、全部忘れて良いですよ。
悪い言葉や態度は、使わない様にしましょう、ね?』
『あはははは~♪ ユナ、あれぞ馬鹿の見本だよ~。ユナはあんな風にならないでね♪
あれは~反面教師にするのが、賢いよ』
レグルス達も言いたい放題です。
ぁ、でも、男の人には、聞こえてませんね。
ソコは良かったです。
「わ、私は伯爵家の嫡男だぞ! 無礼にも程がある! 早くその足を退けぬか!」
「うっさいわね! ちょっとは静かに出来ないの!」
開いたままの扉の向こうから、別の声が聞こえます。
低音の心地好い声ですが、苛立たしげな雰囲気です。
………あれぇ?
この声は、聞き覚えがありますよ?
「って、あら? 珍しい時間に、珍しい男が居るじゃない♪ 久し振りねぇ、銀雷」
「久し振りだね、巨「その呼び方は、止めてちょうだい!」…グランバルド」
出て来たのは、筋骨隆々の逞しい騎士様みたいな男の人。
喋り方は女の人みたいだけど、仕草は紳士的なお兄さん。
お父さんの発言を、悲鳴の様な叫びで切り捨てて、右手に持ったハルバードの石附で、石畳に円形状の皹を入れる。
見知った姿と、初めて見た──似合うのか似合わないのか、意見が別れそうな──彼の人の愛用武器の形状に圧倒されて、口を突いて出たのは、以前許可を貰った愛称でした。
「ぁ、モルにぃ…」
「あらぁ? ユナちゃん! 遊びに来てくれたの?」
私を見付けて、小走りに駆け寄って来てくれたのは、ギルドマスターのモーリス・グランバルドさんでした。
ただし、その手には、愛用のハルバード。
槍と斧を足した様な形状の特殊武器。
斧刃の逆側には鉤爪があり、斬る・突く・裂く他、引っ掛けたりと多様な戦闘方法を可能にする武器ですね。
しかも、モル兄のハルバードは、石附側にも細工があって、逆さ十字の形に小さな槌が…。
えっと……。
杖の部分の凪ぎ払う戦闘方だけじゃなく、槌による叩き潰しも加わるの…かな?
モシカシテ…モル兄は戦闘狂だったりシマスカ?
モルさん戦闘狂疑惑……。
ギルドマスターが戦闘狂…?
いいのかねぇ。←他人事?