散策前の腹拵え♪ 美味しい串焼き、いかがですか?
散策開始~♪
「エディにぃたん! あしょこ! あのくちやきやさん!」
無事に検問を終え、お父さんだけを検問所に残して、街中散策開始です♪
今回は、前回と違って、散策が主。
なので、最初に満喫するのは、商店街。
レッツ食べ歩き♪ です♪
「お? アレか? 旨そうな匂いだなぁ♪」
「うましょうじゃ、ないの! おいしいの!」
エディ兄さんの手を引いて、前回お世話になった串焼き屋台に案内します。
私は右手をエディ兄さん、左手をフォーレお姉ちゃんと繋いでます。
迷子と誘拐対策だそうです。
………。
迷子は兎も角、誘拐……。
まぁ、何事にも安全を確保する対策は必要と。
微妙ですが、一応納得はしましょうか。
「ほんとだね…いい匂い」
クリスお兄ちゃんも、右手をラメル姉さん、左手をリュニベール姉様と繋いで、こちらも安全確保です。
お姉ちゃん達は、大丈夫だと言ってましたが、お父さんからの“最重要指令”だとかで、問答無用で繋がれてました。
お父さんの心配性は、娘4人平等に発揮されてますね~。
本当は、フォーレお姉ちゃんも、エディ兄さんの右手に繋がれる筈だったんですが、「ユナが良い!」と私の左手を取りました。
エディ兄さんは、一応ダメ出ししましたが、絶対離さない事を約束させて、今の状態に落ち着いたんです。
「ん? 嬢ちゃん? ユナの嬢ちゃんじゃねぇか!」
「あ! ブロドおじしゃま!」
ガザンさんの串焼き屋台に近付けば、屋台の前に見知った顔が。
私が気が付く前に、名前を呼ばれて、初めて私達以外に、お客さんがいた事を認識しました。
以前会った時は、衛兵さんの制服姿でしたが、本日は休日仕様なのか、一般的な街人と同じ様な服装です。
「なんだぁ? ちびっ子、ブロドと知り合いだったのか?」
屋台の向こう側から、覗き込む様にして、ガザンさんが聞いてきます。
そう言えば、この2人は、擬似親子的な関係だと、ブロドおじ様が言ってましたね。
「ガザンさん! おひしゃちぶりでしゅ♪ ブロドおじしゃまには、まえにきたとき、おせわになりまちた!
…おしごとのジャマをしちゃったの…」
「なぁに、言ってんだ。あんなのは、邪魔の内にゃ入らん。
その日の内に謝ってくれたし、差し入れまで貰ったしな!
そう何度も落ち込むな。な?」
「あい。ありがとぉ」
以前来た時、検問所で泣いた事を思い出して、ちょっと落ち込みます。
なんで泣いたか、微妙に思い出せません。
何か凄くショックだったのは確かなんですが…。
ブロドおじ様に慰められて、なんとか復活。
さて。
「ガザンしゃん、くしやきくだしゃい!」
「応よ。幾ついる?」
「ん~と」
この屋台に来た目的は、美味しい串焼き!
サクッと購入しましょう♪
何本いりますかね?
「俺、3本」「僕は2本」「私も」「あたしは1本」「…ぼく…半分…」
家族を見れば、それぞれ食べたい本数を口にします。
お兄さんズが5本、お姉ちゃん達が3本半と。
「じゃ、ベルねぇしゃまは、わたしとはんぶんこ、しよ? おとぉしゃんは、2ほん?
3ぼん、たべるかな? レグルしゅたちは、1ぽんずちゅね!」
自分の分は、前と同じく、お父さんの分から、少し貰おうと思ってましたが、ベル姉様が半分しか食べれないなら、それを貰いましょう♪
これで9本。
お父さんには3本で、レグルス達がそれぞれ1本。
「ガザンしゃん、15ほん、くだしゃい!」
「お、また大量買いだな! 直ぐ焼けるから、ちぃっと待ってな」
串焼きは1本50Gなので、15本で750G。
銅貨15枚。細かくなりすぎますね…。
大銅貨8枚? …まだ、細かいか。
面倒なので、銀貨で買っちゃいましょう♪
「あい。さきに、おだいはらいましゅ。ぎんか1まいで、いいでしゅか?」
「応よ。いっぱい買ってくれたんだ、1本分はオマケしてやるよ」
お釣りに大銅貨3枚を貰って、あとは串焼きが焼けるのを待ちましょう♪
「ユナ、計算も出来るのか?」
「おかぁさんが、おしえてくりぇた~♪」
会計の為に離していた手を繋ぎ直せば、エディ兄さんが感心した様に呟いたので、正直に答えたら、空いてる右手で頭を撫でられました。
えへへ。
褒められた♪
「あ、お金は僕が払うよ」
「いいの! おかぁさんがくれた、おだちんいっぱいなの♪
ガザンさんのくちやき、たべてみてほちいから、わたしがかうの!」
「「「~~~っ(健気!)」」」
「いいのかい? ありがとう」「…ありがと、ユナ…」
“串焼き食べたい!”は、私の我儘ですもん。
自費で購入するのは、当たり前です。
それに、お母さんに持たされたお金が、全然減らないのです…。
お兄さんズも、お姉ちゃん達も、協力してくださいね♪
ご機嫌で宣言したら、エディ兄さんとフォーレお姉ちゃん、ラメル姉さんが、それぞれ空いてる手を握り締めて、プルプルしてます。
? どうしました?
クリスお兄ちゃんとベル姉様は、笑顔です。
不思議に思って、首を傾げたら、ベル姉様に撫でられました。
何故?
エディ君、フォーレ、ラメル?
それは、誤解……。
ユナちゃんの所持金、1000億近くあるよ?
シア様…子供に与える金額じゃないです。
ユナちゃんは、あまりの大金に、殆んど無限収納に死蔵してます。
その上で、銅貨と銀貨、金貨を魔導鞄で持ち歩いてます。
それだって、5000万……有り得ませんね。
使ったのは、串焼きだけ……。
ユナちゃん、お父さんにお金預けませんか?
金額に現実味がありません。