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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第1章─やって来ました! クラウディア!!
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晩ご飯のあとは? お風呂タイムは至福の時間♪ でも……

 料理も出来たし、ワゴンに乗せて、“さぁ運ぶか”となって、またもや問題が………。


 ワゴンが高くて、運べません‼

 いや、そりゃそうだよね。

 3歳児の身体に、通常サイズのワゴンじゃ、前が見えないし、押手(おして)が頭の上にある。

 どうしようかな?


『ユナ? どうしましたか?』


「ぁ、シリウス。おりょうり(お料理)できたけど、はこべ(運べ)ないなぁって」


『ん? このワゴンを運ぶのですか?』


 料理の匂いに惹かれたのか、ダイニングに留まっていた3匹のうち、面倒見の良いシリウスが、キッチン脇で固まった私を心配して、近付いて来てくれた。

 3匹とも、料理中はキッチンには、立ち入り禁止を言い渡してました。

 大きな身体のままだと、事故が起きかねないからね。


「うん。わたしがはこぼう(運ぼう)と思ってたんだけど……。まえ()が見えない……」


『あぁ。では、私が運びましょう』


「! ありがとう~♪」


 シリウスが、ワゴンの押手を(くわ)えて、ゆっくりと料理を運んでくれる。

 私は、マットをもって、少しだけ先行。

 食卓の準備をしよう。


 まずは、ダイニングテーブルの右端の床に、毛足の短いラグマット(小)を、ランチマットの代わりに、向かい合う様に2枚敷いた。


 次は、テーブル。

 1番出入り口に近い2席を使うつもりだけど、サイズはやっぱり大人用……。

 どうするか………。

 椅子に乗らなきゃ、テーブルに届かない。

 取り敢えず、椅子を引こう。


 ぁ、この椅子も、魔道具だ……。

 じゃあ、大丈夫かな?


 ……………。


「ほにゃっ!」


 椅子に触ったまま、考え込んでたら、いきなり身体が吊り上げられて、変な声が出た。


『これで、届きますか?』


「ふえぇ。びっくりした~」


 ワゴンを運び終えたシリウスが、洋服の首の後ろ部分を啣えて、子犬か子猫みたいに持ち上げてくれたみたい。

 椅子の上に、そっと下ろしてくれた。

 無事に椅子に乗り、ランチマットを敷いて、カトラリーやグラスを準備。

 滑り下りて、正面の席にも、同じ様に乗せてもらって(・・・・・・・)、そこにもランチマットを敷く。


 再び椅子を下りて、それぞれのマットの上に、シリウスが運んでくれた晩ご飯と、グラス代わりの水の入った深皿を並べます。

 テーブルの上は、また(・・)椅子に乗せてもらって(・・・・・・・)、ワゴンを寄せてもらいました♪

 一緒にワゴンに乗せてた、お水のピッチャーも、準備万端。


「ん、よしっ! じゅんび(準備)オッケー。みんな、ごはんにしよう♪」


 私の声に、様子を伺ってたレグルスとアルタイルが、縮小化して近付いて来る。


「なんで、小さくなったの?」


『元の姿より、小さい方が、腹いっぱい味わえるからな』


 レグルスの言葉に、アルタイルも頷く。

 シリウスも、ワゴンを壁際へと寄せてから、縮小化して戻って来た。


 シリウス(子犬)レグルス(子猫)の分は、床に用意しました!

 椅子に座るのは、難しいよね……。

 安定感が………。

 アルタイル(小鳥)の分は、私の目の前の席に、縁から少し離して用意しました!

 この位置なら、テーブルの上に直に乗って食べられるよね。

 お行儀悪いかな? ………まぁ、いいか。


 椅子に座って、魔力を込めると、テーブルの高さに合わせて、椅子の足が伸びた。


(おおっ! やっぱり、魔道具って凄い!)


「じゃあ、食べようか? かんしゃ(感謝)こめて(込めて)……いただきます!」


『『『いただきます?』』』


 私にとって、当たり前の【いただきます(言葉)】に、3匹が揃って首を傾げた。


「うん? “いのち()つなぐ(繋ぐ)かて()”になった、すべて(総て)の生き物にかんしゃ(感謝)つたえる(伝える)言葉だよ? しらない?」


『知らない~。人族がフェリシア様に捧げる【食前の祈り】みたいなもの~?』


「あ、クラウディアにも、あるんだね。うん。前は、“みじかい(短い)言葉”に“つよい思いをこめる(込める)”っていうならわし(慣わし)しゅうかん(習慣)? があって、どこの家でも、親がしっかりしてれば、しつけの1番さいしょ、あいさつといっしょ(一緒)に教えられるみたい」


『そうなのですね。短い言葉に、多くの思いを込める。素敵な慣わしですね』


「ね♪」


『そうだな。俺達も、ユナに倣う(ならう)か』


「じゃあ、もう一度。せ~のっ」


『『『「いただきます!」』』』



 *~*~*~*~*



 家族で食べた晩ご飯は、とっても美味しかった。

 3匹も、それぞれに『美味しい』って誉めてくれた。

 上手に出来て良かった♪

 お母さんとも一緒に食べたかったな……。


 ……はっ! いけない、いけない。

 落ち込んでちゃ駄目だよね。

 会うことは出来ないけど、お話は出来るんだもん。


 時刻は、20刻(午後8時)まで、あと20分程。

 お片付けも終わったし、お風呂に入って、寝る準備をしましょう。

 寝る前に、もう一度お母さんとお話するんです!

 約束したもんね♪



 *~*~*~*~*



 お風呂のお湯は、魔法を使ってみました。

 人生“初”です!

 お水を溜めるのも、沸かすのも、一瞬だった。

 使う度に興奮し、はしゃぐ私に、3匹は苦笑気味でした。

 だって、魔法ですよ!?

 はしゃぎたくなるのは、当たり前ですよね!?


 落ち着いたところで、レッツお風呂です!


 洗い場にあった石鹸(せっけん)は、泡立ちが良くて、匂いも優しい【牛乳石鹸】みたいだったし、洗髪剤(シャンプー?)は、カモミールの香りがした。

 驚いたのは、リンス? というか、コンディショナー? まであったこと。これも、カモミールの香りだった。


 あわあわモコモコになりながら、3匹を洗って、自分もさっぱりしてから、湯船に向かいます。


「ほわぁ~。きもちいい~♪」


 桧の薫りに包まれながら、温かいお湯に浸かる(つかる)

 至福です。


『良いお湯ですねぇ。ホッとします』


『確かに。いい湯だ』


『ね~。気持ちいい~♪』


 3匹も、それぞれ専用風呂に浸かって、リラックス出来てるみたい。


 ………? あれ? 猫科って、水とかお湯キライじゃなかったっけ? 鳥って、水浴びはともかく、お湯に浸かるっけ?

 あれ?


 ……………。


 うん。まぁ、いいか。

 皆は聖獣ダモンネ。

 普通の動物と一緒にしちゃいけません。


「ふいぃ~。そろそろ上がらないと、のぼせちゃうねぇ~。わたし、そろそろ上がるね~」


 3匹に声をかけて、その場で立ち上がります。


 このお風呂は、思いのほか深さがあります。

 水の無い状態で、1番低い場所に立つと、洗い場の床が、私の頭の上にくる。

 泳ぎの練習が出来るね♪


 ……………。


 壁に沿って、30セタ()くらいの高さの段差が、幅50セタ()くらいで2段あるので、1番上の段に居れば安心だけど、1段下りただけで……。

 完全に溺れます……ね……。

 ……気を付けましょう!


 ………これって、所謂【フラグ】ってやつかな?

 いやいや、気にしたら負けだ!

 大丈夫、私は転ばない。転ばないったら、転ばない!


 慎重に湯船から脱出し、無事お風呂から上がれました♪

 頑張った、私!



 *~*~*~*~*



 お風呂に入る前に、【無限収納】から下着と寝間着(パジャマ)を見付けておいたので、それに着替えて皆を待ちます。


(……皆は何処で寝るのかな?……)


 脱衣場の壁際にあるソファセットのソファに身体を預け、近くに設置されていた小型冷蔵庫(魔道具)から持ち出した苺牛乳を、一緒に冷やされてたグラスに入れて、ちびちびと啜り(すすり)ます。

 お風呂上がりの【イッキ飲み】には憧れるけど、お腹を壊すのが怖いので、牛乳イッキは回避します!


『良いお湯でした』


湯浴み(ゆあみ)が、これ程気持ちいい物とはな』


『うん、うん。もうちょっと、浸かりたかったかも~♪』


「おつかれさま~♪」


 皆が出てきたので、苺牛乳を啜るのを止めて、3匹を迎える。


『ユナ? 何を飲んでいるのですか?』


「ん? いちごぎゅーにゅー(苺牛乳)。おいしいよ? みんなものむ(飲む)?」


『む。貰おう』『僕も飲む~♪』『私もいただきます』


しゅるい(種類)がいろいろあったよ? どれがいい?」


『何があるの~?』


 アルタイルに聞かれたので、答えるためにソファから滑り下りて、小型冷蔵庫に向かいます。

 苺牛乳は、ソファセットのテーブルに置いてきます。


「え~と。ふつうのぎゅーにゅー(牛乳)と、いちごぎゅーにゅー(苺牛乳)と、こーひーぎゅーにゅー(珈琲牛乳)。フルーツぎゅーにゅー(牛乳)と、バナナミルク。まっちゃ(抹茶)ミルクに、りんご(林檎)ミルク。あとは、りょくちゃ(緑茶)むぎちゃ(麦茶)と、なぜだかビール(麦酒)?」


 お茶や、牛乳各種はいいけど、麦酒(ビール)って……。

 3歳児の飲み物ではないよね~。

 誰が飲むの?


「どれがいい?」


『では、果汁(フルーツ)牛乳をいただけますか?』


『俺は、珈琲(コーヒー)牛乳』


『僕は、林檎(りんご)ミルクがいい~♪』


 リクエストされた3種類を、やっぱり一緒に冷やされてた深皿に用意する。

 ソファセットのテーブルに、それぞれ乗せた。

 ダイニングと違って、テーブルが低いから、大きい身体のままなら、床に置くより飲みやすそうだ。


 皆が飲んでる間に、自分の分を飲み終え、風呂上がりの身体を拭いてあげようと、大判タオルを持って近づく。

 シリウスの身体に触れたら、全然濡れてない。


「あれ? 濡れてない?」


『ユナ? どうしましたか?』


「シリウス、お風呂上がりなのに、何で濡れてないの?」


『あぁ。魔法で乾燥させたのですよ。ユナの髪も乾かしましょう』


『ああ、それなら、俺がやろう』


 シリウスと話してたら、飲み終わったらしいレグルスが、参加してきた。


『風の魔法は、この中では、俺が1番得意だろ』


 レグルスが言った途端、私の周りを暖かな風が取り巻いた。

 優しくて、暖かい風が止むと、さっきまで水分を含んだままだった髪が、サラサラに乾いていた。

 必要な水分はそのままなのか、艶が無くなる様な事はなく、この分なら“天使の輪”も健在だろう。


「すごいねぇ~♪」


『このくらい、慣れてしまえば、ユナなら簡単だ』


 レグルスが、そっぽを向きながら、呟いた言葉に、嬉しさが込み上げる。

 照れながらも、私のことを気にかけてくれる、レグルスの気持ちが本当に嬉しい。


「ありがとう、レグルス。こんど、わたしにも教えてね♪」


 ちらりとこちらを見やり、そっぽを向いたまま、レグルスはちゃんと頷いてくれた。


 さあ、お部屋に行って寝る前のお喋りだ!


 おっと、その前にグラスと深皿を片付けて、洗濯物を運ばなきゃね。

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