始まりに続く祈り…。『精一杯支えたい!』
取り敢えず、結愛さんをお茶に誘って、以前結愛さんが用意してくれたティーセットを、テーブルや椅子ごと準備してみました♪
結愛さんは、ベッドからもそもそと脱け出し、慎重に慎重を重ねる様に、そぉ~っと後ろ向きで降りた。
身体が小さいと、1メートルもない高さでも、それなりに怖かったらしい。
手伝えば良かったですね…。
結愛さんが降りれば、ベッドは跡形も無く消えます。
空気に解けるように消えたベッドを見て、驚いた様子だったのは一瞬。
眠る前の事を思い出したのか、自己完結で納得した様に頷いてました。
結愛さんが振り返った時には、既にお茶会の準備は整っていて、私は結愛さんを手招きます。
「じゃあ、説明しますね」
ちょこちょこと近付いて来てくれた結愛さんを、優しく抱き上げて、椅子に座らせます。
3歳児の背丈じゃ、通常サイズの椅子も、高過ぎますよね。
クッションも追加しておきましょう。
「容姿を変える際に、一応クラウディアの一般的な容姿をと、考えていたのですが、今一納得がいかず、他の管理者にも、容姿について相談してみました。
その中で、『私の容姿をベースにしてみては?』という意見が出て、嫌がられたら“もう一度創り直す”事を前提に、結愛さんの身体を創りました」
「ぁ、成る程。シアの容姿をベースに、幼さや愛らしさなんかの、庇護欲を誘う要素を強化したんだね…」
「はい。その様なところです」
「ふふっ。こんなに似てると、シアが私の【お母さん】みたいだね♪」
「私が結愛さんの母親ですか? それも良いかも知れませんね」
結愛さんの可愛らしい発言に、本当にそうだったら良いのにと、一瞬だけ想像してしまいました。
三柱の女神達の様に、私の力の欠片を使って生んだのなら……。
いいえ!
例え、生まれ方が違っても、これからは私の【眷族】なのです!
私にとっては、娘の様な存在であることには、変わりありません。
本人の了承は得られなくても、結愛さんは私の可愛い娘です!
………。
勝手に思ってても、良いですよね?
思うだけなら、良いですよね?
新しい身体(転移体)について、結愛さんに説明をします。
本来転生の際に、親が造りだすはずの身体を、【管理者】である私が創った為に、結愛さんが私の【眷族】扱いとなり、人族の枠を超えた、ハイスペックを所持する事になる事を伝えました。
結愛さんは、多少不安げに、それでも仕方の無い事として、やはり現状を受け入れてくれました。
カップに注いだ、甘めのミルクティーに口をつけ、ホッと力が抜けた様に、結愛さんの口から、溜め息が1つ。
掌を暖めるように、カップを包み込んだまま、結愛さんが視線で話の続きを促してきました。
私は1つ頷いて、説明を続けます。
「クラウディアの一般常識、特別教養、必要知識は、新しい身体に馴染ませてあります。
前の世界での経験値も、【浄化】が出来なかった為、そのまま持ち越す形になります。
あと、これは相談してからと思いまして…」
一通り説明をして、結愛さんの前に、ステータスウィンドウを開きます。
「このパネルは、【ステータスウィンドウ】。クラウディアでは、【ステータス確認】が可能です。
なので、結愛さんのステータスを、決めましょう。
取り敢えず、身分証明に必要な【名前】【種族】【年齢】【職業】ですね」
「ン? 名前も?」
「はい。ぁ、勿論、今まで通りでも大丈夫です。
ただ、『転生気分を味わってもらうなら、変えてあげた方が良い』という意見があったので、結愛さんに決めてもらおうかと…」
彼等は楽しそうでしたね……。
反省とか、ちゃんとしてるのでしょうか?
私は、結愛さんの様な被害者を出すのは、今回だけにしたいです。
うん。
結愛さんの件が終わったら、感情制御の訓練を増やしましょう!
今回は直接的な原因には、なりませんでしたが、何時か失敗する可能性は、ゼロじゃ無いのですもんね!
「成る程。ん~、シアは私の名前どう思う?」
「私ですか? 私は可愛いと思いますよ♪ 漢字の意味も、『ゆな』という響きも」
ふふ。
『愛を結ぶ』だなんて、素敵ですよね♪
「そっか。じゃあ、音は変えないで、表記だけクラウディアのにしようかな…」
「分かりました。え~と。クラウディアの表記だと、『ユナ』さんですね。
後は、種族はどれにしても、(?)が付いてしまいますね…。
私の眷族扱いなので…。
それと、職業は【成人の儀】で授かるのが、一般的なので未定で大丈夫です」
「ん。種族は人族のままで。年齢は…3歳だっけ? で、職業は未定と」
軽い雑談を挟みつつ、決定事項を随時パネルに記載していきます。
──────────
名前:ユナ
種族:人族(?)
年齢:3歳
職業:─
──────────
「ここまでが、他人がスキル【生物鑑定】で、確認出来る範囲です」
「スキル?」
ん?
ぁ、結愛さんの居た世界には、無かったシステムでしたね。
簡単に説明しておくべきですね。
「はい。え~と。クラウディアに於おける様々な技能の名称です。
“先天的に取得している”ものや、“学習する事で後天的に取得できる”ものが在ります。
…っと、それより、残りを決めてしまいましょう」
話がずれかけましたね…。
元に戻しましょう。