どうしよう? 悪者さんの対処と、初めてのお友達!?
「ねぇね……どうしよう…」
巨大ミノムシさんを前に、途方に暮れて、フォーレお姉ちゃんを見上げます。
「ん~、衛兵に突き出すのは、決定事項だけど…。
流石に、私とユナだけで連れて行くのは無謀よね。
今の外見だと、不審極まりないもの」
『家に転移させちゃえば~?』
考え込むお姉ちゃんに、アルタイルが軽~く提案してますね。
………。
あれ?
転移の魔道具って、魔力を込めた相手の所へ、空間を繋げる道具だよね?
今、お家には誰もいないよ?
「あ~、転移魔法は、私だけなら兎も角、人数増えると、理に引っ掛かるんですよねぇ」
ぁ、魔道具が無くても、魔法がありましたね。
何と無く、魔道具が無いと、転移って出来ないんだと思ってましたよ。
「む~。ぁ、ユナ。ユナの【無限収納】に、【幻夢の扉】って魔道具入って無い?」
ん?
探してみましょう。
ぁ、あった。
「ねぇね、あったよ~♪」
「………御母様…。まさかとは思ってたけど、【幻夢の扉】まで…。
ユナ、それは家族以外に見せちゃ駄目よ?
その魔道具、最高ランクの物だから、高性能な上、稀少な物なの。
一般には流通してないし、高価過ぎて所持者も稀。
持ってる事を知られると、厄介事に捲き込まれるかも知れないからね?」
へ?
え!? コレってそんなに特別な魔道具なんだ!?
─────────
【幻夢の扉】魔道具 耐久値:500
指定した場所へと空間を繋げる魔道具。
1つにつき、1ヶ所だけ、場所の指定が可能。
移動可能距離は、無制限。
所有者以外の同行は、所有者の保有魔力に比例する。
使用方法:所有者の魔力を流せば、所有者を中心に転移陣が拡がる。その転移陣内に入れば、指定場所へと移動する。
指定場所:魔道具・大草原の小さなお家
所有者:ユナ
備考:女神フェリシアの加護により、害意のあるものは、転移陣への入場を拒まれる。防犯効果上昇[×10]
─────────
ぁ、ホントだ…。
自宅指定の転移魔道具……転移の魔道具って2種類あるんだ…。
あ、でも、一方通行だね、コレ。
何処からでも、指定場所になら戻れるみたい。
しかも、お母さんの加護の効果で、強化されてる……。
「ねぇね……ぼうはんこうかが、すごくなってりゅ…」
「……御母様。……まぁ、兎に角、それで一度家に戻りましょう。
悪人を衛兵に突き出すなら、大人に任せた方が無難だもの。
御父様やエディ達に、丸投げしちゃいましょ♪」
「ん~と、じゃあ、わるいヒトたちも、いっちょにいどう?」
『駄目だ』『駄目です』『駄目だよ♪』
レグルス達に揃って止められましたよ。
何故に?
『そんなモノに触らんで良い』
『ユナが汚れます。触ってはいけません』
『ばっちぃから触っちゃ駄目だよ~。動かすなら、魔法を使いなね♪』
………。
せめて、人間扱いはしてあげなきゃ、可哀想では?
3匹とも、悪い人でも、生ゴミ扱いは、ちょっと酷いと思うの…。
いや、あの、お姉ちゃん?
良い笑顔で、力強く頷いちゃ駄目だと思います。
「これ等の扱いは任せてね♪ 大丈夫、大丈夫♪
キチャナイ悪人は、コレで十分♪
悪い事する奴なんて、ポイよ、ポイッ♪」
………。
お姉ちゃん、めちゃくちゃ楽しそうですね……。
……悪者さん達、ごめんなさい。
扱いが酷いかも知れませんが、悪い事をした報いだと思って、諦めてください。
ぁ、一応怪我の治療はしておきましょう。
痛いままは可哀想ですもんね。
え~と、怪我も治ったし、悪い人達はお姉ちゃんに任せましょう。
私は、ドラゴンさんが気になりますしね。
*~*~*~*~*
ドラゴンさんは、私達が話し終わるまで、不思議そうにしながらも、シリウスの背中で、静かに待っていてくれました。
「どらごんしゃん、だいじょうぶ?」
─キュゥイッ。
『大丈夫じゃ♪』
れ?
…今、言葉が……。
「どらごんしゃん、おはなしできるの?」
『うむ。念話は出来るぞ。焦ったりすると、失敗するがな…』
お~。
お話し出来るなら、色んな事が聞けますね♪
分からない事が多いと、助けたくても何も出来なかったりしますから。
それは、それとして………。
ドラゴンさんは、女の子だったんですねぇ。
念話の声が、耳に優しい透明感のある美声です。
「どらごんしゃん、ケガとかしてない? いたいトコとか、いつもとちがうトコとか…」
『大丈夫じゃ。魔法硝子に閉じ込められた時に、ちょぉっと翼を傷めたが、今は大丈夫。
我等竜族の自己治癒力は、世界でも最高峰じゃからな』
ほぇ~。
凄いなぁ…ちょっとの傷とかなら、治療しなくても、直ぐに治っちゃうんだ。
「どらごんさん、おなまえは?」
艶々の鱗が綺麗……。
お友達になれないかな?
お友達になれたら、触らせてもらえないか、聞いてみよ♪
『む? 我等は個体名を持たぬ。
真名と呼ばれる物は存在するが、それは他者に教える事は出来ぬ。
名を縛られ、自我を封じられ、使役されることとなるからのう』
「そっかぁ~。おともだちに、なりたかったんだけどなぁ」
駄目かぁ……。
お名前は知りたいけど、ドラゴンさんの負担になるなら、駄目だよねぇ…。
せめて、愛称とか付けたら駄目かな?
ぁ、駄目だ……守護獣契約になっちゃう……。
え~、他の方法は無いかなぁ。
『なんじゃ? 使役を望まぬのか?』
「うん。じがをふうじられるってコトは、たのしくおはなしができなくなるってコトでしょ?
なりゃ、いらないの!」
『かかか。そなた、面白いのう。良かろう、ならば我の事は、リムとでも呼べ。
我はそなたが気に入った!』
ぁ、そっか!
私が付けたら、契約になっちゃうけど、相手に呼び方を決めてもらえば良いんだ!
「あい♪ リム、わたしは、ユナでしゅ。なかよくちてくだしゃい♪」
『うむ。ユナじゃな! 宜しく頼む』
やりました!
クラウディアでの、初めてのお友達ゲットです♪
ユナちゃん、お友達をゲットしました。
家族や知り合いは、順調に増えてますが、お友達は今回が初めて。
初のお友達がドラゴン……ユナちゃんは、どこに向かっているのでせう。
σ(^_^;)?
取り敢えず、次回はお父さんに報告かな?