危機的状況? 非日常を乗り越えるには、日頃のお勉強が大切です♪
ちょこっとシリアス?
不快な表現があったらスミマセン。
お父さん登場の頃と、そう変わらないとは思いますが、ご注意下さい。
穏やかに過ぎる時間を、不穏な空気が襲います。
急速に迫るその気配は、暗雲と重圧を纏い、不安を煽ります。
長閑な雰囲気を掻き消したのは、覚えのある重苦しくて嫌な濃度の障気でした。
皮膚に纏わりつく、嫌悪を抱かせる濃密な空気と、呼吸を困難にする、濁って澱んだ障気。
お母さんの世界において、異質としか思えない程に、違和感を助長するその感覚は、以前に一度だけ体感した覚えがある。
『…アンデッドか』『アンデッドだねぇ』『アンデッドですね…』
言外に『またか…』といった雰囲気を感じさせながら、レグルス達は早々に迎撃体勢に入ってます。
お父さんに初めて会った日。
お父さんに出会う少し前。
あの時に感じたのと同じか、それ以上に嫌な感じがします。
「ねぇね…」
「ん~。大丈夫だと思うよ?
あの子達なら、怪我一つ無く倒せるでしょ。
それに、私が一緒にいるのに、ユナに怪我なんてさせるもんですか!」
不安に駈られて、フォーレお姉ちゃんにすがれば、頼もしい宣言が、答えとして返ってきました。
お姉ちゃんが、格好いいです!
でも。
「レグルスたちもりゃけど、ねぇねもケガしにゃいで…」
私を守る為に、誰かが傷付くのは見たく無いです。
偽善的な感情だとしても、大好きな人達が怪我をするのは、絶対嫌なんです!
そんな場面を見るくらいなら、私だって戦いますっ!
非日常は恐いけど、それ以上に、何もしないで、大好きな人達の負担になるのだけは、ごめん被ります!
恐怖による震えは、なかなか抑え込めないけれど、気持ちだけなら、強く出来るよ。
お母さんが、「魔法は思い描く力そのもの」だって言ってたもん。
こうしたい、ああなれと強く思えば、私の思いと言葉に、世界の魔素が反応してくれるはず。
先程まで一緒にいたちっちゃい動物さん達は、恐怖に固まり、そこかしこで気絶したり、障気から離れるように逃走したりと、辺り一面パニック状態です。
取り敢えず、気絶しちゃった子達を助けなきゃ。
風の魔法を使って、少し遠くても、皆を回収します。
「貴女達も避けなさい。折角綺麗に咲いたのに、簡単に枯れたりしたら承知しないわよ!」
お姉ちゃんの宣言に、お花畑のお花さん達が、一斉に私達の後ろへと、自力で退避しました。
お花畑に来た時と同じ様に、ワラワラと自立歩行で移動してます。
思いの外速いのは、ご愛嬌ですね。
ちっちゃい動物さん達を回収し、お花さん達が避難を終えれば、綺麗な更地が出来上がり、それを待っていたかの様なタイミングで、障気の大元が姿を現しました。
以前に出会ったリビングデッドは、腐臭を撒き散らしていましたが、今回のアンデッドも、負けず劣らずといった感じに、死臭を纏って現れました。
【食屍鬼】
「うわぁっ。面倒臭いのが出たわねぇ」
現れた魔物さんを見た途端、お姉ちゃんが顔をしかめました。
まぁ、確かに、ちょっと面倒臭い魔物さんであるのは、事実ですけどね?
以前お父さんにアッサリ倒されたリビングデッドは、知恵といったものを持たない、アンデッドの中でも低位の魔物さんでした。
が、今回の食屍鬼は、多少とは言え考える力があり、一歩対応を誤れば、リビングデッドの比では無い脅威となり得ます。
普通ならですが。
………。
うちの家族は……普通じゃ…ナイデスネ。ハイ。
──ギュアァァァ、グルルルルッ。
ぁ、マズイですね……。
あの感じだと、魔獣化してます。
クラウディアには、種族として魔物さんが存在しています。
魔物さんは大きく分けて三種類。
どの種類でも、一方向に特化しているのが特徴かな?
まずは、温厚で友好的な種類。
海洋種や有翼種、妖獣種なんかが有名ですね。
このタイプは、人族や獣人族、妖精族や竜族なんかとも、穏やかな関係を維持していて、互いに交流もあるので、一般的には一番馴染み深い魔物さんです。
他種族で子供と判断される幼体を“宝”としていて、とても大切にするタイプでもあり、情が深く仲間意識が強いんだって。
次は、狂暴で攻撃的な種類。
巨人種や合成種、鬼人種がこの種類に相当します。
このタイプは、知能の低い者が多く、我欲が強い為か、他種族からは敵対される事が多いです。
増えすぎて──他種族を拐って繁殖するためか、繁殖率が異常に高いので──間引かれたり、他種族を襲って討伐されたりと、個体の増減が激しい。
リュニベール姉様曰く、「…悪意は無い。…良く言えば…本能に忠実、率直に言うなら…後先考えない…単純馬鹿…」だそう。
そして、最後の1つが高飛車で享楽的な種類。
吸血種や死霊種、悪魔種などの所謂アンデッド。
個体数が圧倒的に少なく、反比例するかの如く強い魔力を持つ魔物さんです。
知性と個体数が反比例するのも、この種類の特徴ですね。
その上、この種類は、プライドや自己評価の高過ぎる者や、個人的な目的の為に手段を選ばない者が多く、三種類の内、一番扱いに困る種類でもあります。
三種類に当て嵌まらない魔物さんも、勿論います。
稀ですが…。
昆虫種や植物種がそうです。
縄張りを荒らされない限りは温厚ですが、外敵には容赦が無い上に、毒持ちの魔物さんも多いので、先の三種類だと判断が難しいですね。
本来、魔物さん達は、妖精族や獣人族と同じ様に、それぞれ同種で集落を作り、静かに暮らしているはず。
だけど、稀に“闇落ち”して、単独で動く狂暴化した個体が現れます。
魔素に穢れが混じり、それを大量に吸収することで、自我を喪い、手に入れた巨大な魔力を扱いきれず、制御不能で狂暴化する。
そうした個体は、【魔獣】と呼ばれる様になるんです。
説明文が長くなるのは、峠岬(作者)の仕様です。
文章での表現力を向上したい……。