閑話・確り者の仕事風景。お調子者は自業自得? 神域の日常。
家族視点の最後の1人は、ラメル姉さんです。
お父さんより後になっちゃった…。
スミマセン。
前2人のお姉ちゃん達とは、ちょっと雰囲気が違うかな?
………ん? あれ?
シアお母さん視点って書いたっけ?
私が寝落ちしていた間に、神域ではフォーレお姉ちゃんと、ラメル姉さんが、大変忙しくしていたそうです。
帰って来たフォーレお姉ちゃんは、泣いてました。
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─海の女神ラメル視点─
「うわぁぁぁんん、終わらないよぅ~」
あたしが神域に戻ってから、いまだにずっとフォーレの泣き言が止まない。
それぞれ独立した神域を持っているため、普通なら聞こえる筈は無いのだが……。
どれだけ仕事を溜めてたんだ?
と言うか、仕事は眷属に振り分けた(押し付けた?)んじゃなかったのか?
「大丈夫なのか? アレ…」
『問題無いかと思われますよ?』
口をついて出た疑問に、眷属である“現象の精霊王”の1人、時空の精霊王ツィオが、全く空気を読まないのんびりとした口調で答えた。
ユナが妹となる前から、あたしの仕事仲間でもあり、侍従の様な立ち位置にいる彼は、主であるあたしだけじゃなく、他人(他女神?)に対しても、思いの外辛辣だ。
一応あたしの状況を説明するなら、仕事の合間の休憩時間で、ツィオが淹れてくれた緑茶を飲みつつ、クラウディアに降りてた間の進捗状況の確認中でもある。
「………まぁ、いいか」
いまだ聞こえる嘆きを放置し、あたしも自分の仕事に戻る。
世界の調整作業は、対象が小さくなる程、細かな微調整が必要で、あたしの仕事は他の2人よりも繊細な技術が求められる。
まぁ、細かい作業は嫌いじゃないから、大変だとか面倒だとは思わないけどな。
………。
…自分の仕事は…な。
面倒なのは、共同作業だ。
リュニベールがクラウディアの環境調整、フォーレが生物の発育調整、あたしが生命の循環調整を担当しているので、バランスを考えながら動かないと、面倒な事この上無いのだ。
「ん~。こいつら増えすぎじゃね? ぁ、こっちは減りすぎ…。
誰だ? 間引いたの…───げ、コレ育ちすぎだろ…。
フォーレ…ちゃんと仕事しろや、あの阿呆娘が」
循環の些細な乱れを見つけ、原因を調べ、対抗策を打ち出す。
1人でやるには細かすぎる確認作業だが、その為にあたしらには眷属がいる。
それ以外にも、気に入った者に加護を与えれば、任意で神域に呼び出せる。
ただし、通常の肉体を持つもの以外ならば、だが。
聖獣や精霊、エンシェントドラゴン等、肉体が高位精神体へと昇華したものならば大丈夫だが、人族や獣人族、妖精族や魔族なんかは、肉体があるが故に、神域には呼べない。
肉体が消滅した後でならば、“精神体のみ”迎える事は可能だけどな。
少し前迄は、今はシリウスと呼ばれてる聖獣“天狼”を、頻繁に呼び出していた。
仕事が丁寧だし、気配り上手だったから、今でも割りと気に入りだ。
当時は、フェリシア様が、ユナの護りに貸して欲しいと仰ったので、渋々了承したのだが、今はあの時の自分の判断を誉めてやりたい気分だ。
可愛い妹の護りとなるなら、加護を強化する事すら、考えているしな!
リュニベールの加護を持つ“天鷹”や、フォーレの加護を持つ“天虎”も、強化しておくべきか?
………。
取り敢えず、これは後で要相談だな!
『主様、余所事に気を取られていると、失敗しますよ?』
ツィオに突っ込まれた瞬間、循環操作を失敗した。
「のわぁぁぁあっ」
『だから申し上げたのに……』
呆れた様なツィオの呟きを無視して、状況修復を図る。
なんとか多大な影響は回避し、循環調整作業を進める。
「危ねぇ……危うく1種族が絶滅するとこだった…」
『気を付けてくださいよ? 主様の失態は、そのまま生き物の生死を分けるんですから…』
「だな。何より、ユナの事を考えてたせいで、失敗したなんて、ユナが知ったら泣きそうだもんなぁ。
気ぃ付けるわ」
『いえ、そうではなく……いや、もうそれで良いです。
妹様の為にも、お仕事中は考え事は、お控えください』
「了~解~♪」
会話をしながらも、順調に仕事を進め、漸く終わりが見えた所で、再び休憩を取る。
時々、クラウディアを“窓”から覗き、ユナの様子を確認すれば、仕事でささくれ立った神経が、穏やかに解されていくのを感じる。
仕事に戻って間も無いのに、早く会いたいと思える存在が出来たのは、あたしら三柱の女神にとっては、嬉しい事だな。
ユナの事は、当初は3人ともに複雑な思いがあったが、接してみれば、愛しい程に可愛らしい存在だと知った。
クラウディアで生涯を終えれば、フェリシア様の眷族である以上、女神へと昇華する事も、輪廻の海へと帰る事も、選択出来る様になる。
出来る事なら、ユナには昇華を選んで欲しいが、例え転生を選んだとしても、あの娘があたしらの妹であることは、変わらない。
昇華を選べば、クラウディアと同じ様に、神域で家族として暮らせる様になる代わりに、数千・数万・数億という永い年月を、あたしらと同じ様に、1番活性化していた頃(10代後半から20代か?)の精神体のまま、大きな変化も無く淡々と生きる事になる。
逆に、転生を選べば、その精神があたしらの妹であることは変わらずとも、クラウディア以外の世界へと、記憶を消して渡さなくてはならなくなる為、あたしらと再び会える確率は、数億から数兆分の一となるだろう。
あの娘は、どちらを選ぶのか……。
クラウディアで過ごす間は、肉体(転移体)と精神の成長が比例する。
大人になって、老成してから選ぶ未来、不安もあるが、あの娘の成長を見守りながら、あたしらも変わっていくのかもな…。
取り敢えず今は、転移体に精神が馴染むに連れて、人族の歳相応の成長速度へと変化している。
ユナがどんどん舌足らずになっているのは、その為だ。
ほんの数日、されど確実な時間の経過により、あの娘の精神はクラウディアに馴染んでいく。
これからが楽しみな事には変わらないな。
さて、さっさと仕事を終わらせて、可愛い可愛い妹の元へ帰る事にしようかね♪
「うっし! サクッと終わらせるぞ~。ツィオ、仕事は後どれくらい───」
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一応この投稿で、この章は最後です。
ラメル姉さんは、作者的にはサバサバした男前のイメージなんですが、ちゃんと描けたかは…。
(;¬_¬)
次の章は、またほんの少しだけ時間が進みます。
一気に数年進むのは、もう少し先になるかな…。
次は森の中に行ってみよう♪
お友達が沢山出来ると良いよね。
ちっちゃいもふもふも、登場予定ですので、お楽しみに。
(・ω・)ノ
※ フェリシア様視点を書き忘れてる気がします…。
後で確認しておきます。
エディくんや、クリスくん視点も要りますかね?