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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第4章─初めまして! お父さん?
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お母さんに報告です♪ 今日もとっても楽し……くぅ。

『お母さぁ~ん、聞こえる?』


 今にも寝落ちしそうなぼやけた頭で、御祈りの姿勢をとって、お母さんに呼び掛けます。


『ふふふ。聞こえるわ♪ お疲れ様、ユナ』


 私の状態が分かるのか、お母さんは苦笑しながらお返事をくれます。


『今日も色んな事があったよ~』


 お母さんの声が優しくて、1日の終わりにお話し出来るだけで、染々と幸せだなぁと感じます。


『ふふ。リュニベールの授業は楽しかった?』


 お母さんがお話しの切っ掛けをくれるけど、頭がぼうっとしてますね……。

 眠い…です。


『ん。色んな…魔物さんがいたよ~。

 不思議な…魔物さんもいた…し、凄く綺麗な…魔物さんもいた…の』


『レグルス達が一緒なら、大抵の魔物は敵じゃないけど、無理だけはしちゃ駄目よ?』


『うん。姉様にも…強い魔物さんを見掛けたら~、倒すより…も…逃げなさい…って…言われたも…。

 危にゃい事は~、出来る…だけ…回避するよ~』


 注意されたので、姉様としたお約束を、お母さんにも伝えました。

 念話なのに、噛んじゃいました…。

 眠すぎて頭が働いてませんねぇ。


『あらあら、眠そうね。いっぱい動いて疲れたでしょう?

 今日はもう、寝ちゃいなさい。

 お話しは、明日の朝に聞かせてちょうだい』


『ん~、もうちょっと…お話しした…い…』


 お母さんにも指摘されましたが、お母さんの声は優しくて暖かいので、出来る事ならもう少し聞いていたいです。

 あぁ、でも、お母さんの声が遠い…─────



『おやすみなさい、ユナ。旦那様(ラズ)、私達の娘をお願いね──』



 ★☆★☆★☆★☆★

 ─ラズヴェルト視点─


「おや、寝ちゃいましたね」


 祈りの姿勢から、とさりと崩れるように倒れた娘に近付けば、健やかな寝息が聞こえ、その一途さに苦笑が溢れた。


 私と彼女──フェリシア──の新しい娘。

 彼女に良く似た外見。

 確りしている様で、どこか放っておけない所が、彼女と重なる幼い娘。


 初対面の見知らぬ大人を、彼女の夫だというだけで、無防備に近付いて、父親として受け入れてくれたのには驚いた。

 ですが、愛しい彼女の娘であり、当たり前の様に私を父と呼んでくれる可愛らしい幼児(おさなご)です。

 これから、私なりに愛情を注ぎましょう。

 クラウディアでは、自由に動けない彼女の代わりに………。


 妻を想いながら、(ユナ)の身体を抱き上げ、ベッドへと運びます。

 まだ幼い身体は、思いの外軽いけれど、確りとした生命の重さが感じられます。


「…ユナ…寝ちゃった…?」


 先にベッドに乗っていたもう1人の娘(リュニベール)が、私の腕の中のユナを覗き込みます。


「…可愛い…」


 普段から余り表情を変えない(変えられない?)娘が、妹となった存在をこれ程愛しげに見詰めるとは…。


「ベル、君もそろそろ寝なさい。私はシアと少し話してからにするから」


「…ん。おやすみなさい…」


「おやすみ」


 おとなしく横になったベルの隣、ベッド中央にユナを寝かせ、私自身はフェリシアの女神像の前へと向かう。

 さて、愛しい妻は、元気にしているかな…。



 *~*~*~*~*



『聞こえるかい? フェリシア』


『ふふ。聞こえているわ。ラズヴェルト』


『やあ、1日ぶりだね、奥さん』


『ふふ。ええ、いつも連絡を有難う、旦那様。ユナに会えたみたいね♪』


 いつものやり取りをしながら、愛しい奥さんの声に耳を澄ませる。

 彼女の声は、どこまでも優しい。


 ふふふ。

 こんなにも穏やかなのに、怒ると無機質な雰囲気になるんだよね。

 それはそれで、可愛らしいけどね?


『ああ。シアに似て、可愛らしい娘だね。シアが大切にしてるのが良く分かるよ』


『他の娘達には、突然だったから、驚かせてしまったけれどね…』


『あはは。だろうね。あの娘達には、久し振りの“新しい経験”だからね。

 驚いただけで、嫌悪しなかったのなら、上等だよ。

 3人とも個性的に育ったもの』


 娘の事になると、心配性な彼女が、彼女が生み出した3人の女神達が、新しい娘の存在を受け入れられるかと、不安そうにしていたのは、記憶に新しい。


『それがね♪ 3人が3人とも、ユナに陥落。

 妹が可愛くて仕方無いらしいわ♪

 リュニベールやフォーレなんて、転移体を使わずに、実体化で会いに行っちゃったもの!』


『おや、それは凄いな。でも、ちゃんと叱ったかい? シアは娘に甘いからなぁ』


 嬉しそうに弾んだ声から、彼女の満面の笑みが脳裏に浮かぶ。

 時々、娘達にまで嫉妬してしまいそうな自分が怖いが、それもシアを愛するが故だと思えば、御する事など雑作もない。


 彼女をからかいながら、娘達の事を考える。

 確かに、ユナは何処と無くシアに似ている。

 外見は当たり前だが、仕草や行動が似ているのは不思議だ。

 考え方や物事の捉え方が違うから、全く同じでは無いけれど、親子と言われて、否定できないくらいには、良く似ている。

 姉となった3人が、ユナを気に入るのも当然かも知れない。


『ラズはどうだった? ユナを頼んでしまって大丈夫だった?』


『大丈夫だよ。シアに似て可愛らしいからね。

 最初は驚かせてしまったけど、嫌がらずに父親として受け入れてくれたし、多少なりとも甘えてくれてるみたいだよ?』


『良かった。以前は甘え下手だったみたいだから、少し甘やかすくらいで大丈夫だと思うわ♪

 ……でも、甘やかし過ぎては駄目よ?』


『ふふ。焼きもちかい?』


『─っ、違います!』


 図星だったのか、慌てて否定する彼女が可愛い。

 時々シアを弄りつつ、暫く娘達の事を相談して、幸せな時間を過ごす。

 明日に響かない様に、終わりを切り出すのは、いつだって彼女の方だ。

 私を気遣い、寂しさを押し込める様に、小さな声で終わりを告げる。

 彼女の優しさに甘え過ぎている自覚はある。

 だからこそ、私は本音を告げるよ。


『やっぱり、シアに会えないのは辛いね…。時々、酷く寂しく感じる時があるよ』


『─っ、私だって…私だって寂しいわ。

 でも、こうしてラズが毎日声を聞かせてくれるから、寂しくても頑張れるわ。

 ラズヴェルト、愛しています。──娘達をお願いね?』


『ああ。私も、フェリシアを愛してる。任せなさい、必ず守るよ。

 おやすみ、シア。また明日』


『おやすみなさい、ラズ。良い夢を…』



 *~*~*~*~*



 話を終えて、ベッドへと戻れば、愛らしい娘達は、既に夢の中。

 シアよりも高い子供の体温を感じつつ、私も眠る。

 明日も良い1日であることを願って。

 ★☆★☆★☆★☆★

ユナちゃんが寝落ちしたので、後半お父さんに乗っ取られました。

ラズさんは、どこまでも、シア様一途です。

1つ間違えば、ヤンデレ化しそうですが…。


まぁ、取り敢えず、お父さんとお母さんは仲良しだということで。

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