魔道具のお家探検♪ 迷子になりますか?
「どこらへんに、おけばいいかな?」
『この大木の辺りが、ちょうど良いのでは?』
「そうだね♪ ほうこうは…。ん。これでよし♪」
悩みながらも、大木を左手前に置いて、湖を背にした状態にして、ログハウスを建てる。
大木の近くは、森と湖の境界で、ちょっとだけ高くなってる。
ログハウスの裏手から湖まで、緩やかな下り坂が続いてる形だ。
ここにログハウスがあると、“森を抜けた先にある隠れ家”みたいだ。
「じゃあ、入ってみようか?」
3匹を促して、早速お家の探検だ♪
もちろん、出しっぱなしだった荷物は、再び鞄の中へ。
お片付け、大事ですね! 忘れ物はないかな?
荷物を拡げていた辺りを、もう1度確認。
よしっ! それでは、れっつごぉ~♪
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「ひろ~い。すごいねぇ~」
『広いですね』『広いな』『広いや』
玄関を潜って、驚いた。
空間拡張機能は、伊達じゃない。
3匹が元の姿で過ごしても、余裕がありそうだ。
早速あちこち見て回ろう!
入って直ぐは、エントランスホール。
吹き抜けになっていて、広々としている。
左手と正面に扉があり、左手の扉を開けようと、取っ手を掴んだら、ほとんど抵抗無く開いた。
驚きながら、確認すれば、扉自体に魔法がかかってた。
つまり、この扉も、魔道具らしい。
ただし、付属品扱いだった。
扉の中は、小さな倉庫。
「ん~。まきとか、おいとく場所かな?」
奥に扉があるけど、そっちは外に出ちゃうみたいだ。
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ホールに戻って、正面の二枚扉を開ける。
これもやっぱり、抵抗が無い。
扉は全部、所有者と同居人に対して、無抵抗なのかな?
広いレセプションホールに、扉の無い入り口があり、暖炉のある広いリビングが見えた。
右手側は、水回り。左右に扉があり、右がトイレ、左が洗面所みたい。
「わぁ、ここも、ひろ~い」
トイレも洗面所も、ゆとりを持って作られてる。
洗面所には、大きめの洗濯機(魔道具)があって、奥の扉から、裏庭に出られる様になってた。
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レセプションホールに戻ると、右手奥にも二枚扉があって、そちらは脱衣場とお風呂だった。ここも、かなり広い。
岩風呂、桧風呂、シャワー(魔道具)。
他より浅い、タイル張りの浴槽と、充実している。
「わぁ、おふろば! いわぶろと、ひのきぶろがある~♪ みんなの専用ゆぶねも~♪ これなら、みんなでおふろに入れるね♪」
『良いですね』
シリウスが嬉しそうに、同意してくれた。
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再び、レセプションホールに戻り、正面に階段。
その奥に、リビングと同等の広さのダイニングキッチン。
ダイニングキッチンを見に行こうとして、階段下(横?)に扉を見つけた。
開けてみれば、地下室への階段があった。
2階への階段の半分くらいの幅だ。
降りていくと、階段幅の踊り場があって、左右に扉が2つ。
左が調合室。
中には、様々な調合道具が、揃っているみたい。
正面に大型の薬棚があって、左側に調合台と薬草の保存箱(魔道具)。右側にトイレと、外に続く登り階段があった。
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右が大型の書庫。
蔵書の数が凄い!
(ふわぁ~。ぁ、ソファセットもある。)
入口横に、扉が2つ。
右の扉は、トイレ。左の扉は、簡易キッチンで、お茶や軽食の準備が出来る様になってた。
ちょっとした、お籠りが出来そうだ♪
林立する書棚の奥にも、扉を見つけた。
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そこは、工房だった。
鍛冶道具に、錬金術の道具。さらには、各種素材が、揃ってた。
ここで、何でも作れそう♪
ここにも、トイレと、外への登り階段があった。
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地下室から戻って、ダイニングキッチンを見に行く。
左側に、大きな対面型キッチン。
奥に大型の冷蔵庫(魔道具)と、食器棚。
冷蔵庫の中には、食材がいっぱい♪
キッチンの足下には、大収納。
調理道具や調味料も、全部揃ってる。
食器棚の食器や、調理道具は、大人サイズと、私の専用サイズがあった。
キッチン前に、広いカウンターと、スツールが5つ。
その向こうに、大きなダイニングセット。
10人くらい余裕で座れる。
そこまで来て、気づいたけど、リビングに続く、大きな二枚扉があった。
わざわざ、回り込まなくて済む様にだろう。
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リビングに入ると、途中から居なかったレグルスが、玄関からの入口正面にある、暖炉の前の、暖かそうな敷物の上に、“元の姿”で寝そべって居た。
『早々に“気に入り”の寝床を、確保してますね…。』
ちゃっかりしたレグルスの態度に、シリウスは呆れ気味だ。
『おっ! 止まり木がある!』
私達が入って来た正面、玄関入り口からは右手側に、壁一面の本棚。
その手前に、落ち着いた感じのソファセットと、アルタイルが見つけた止まり木があった。
「ふふふ。アルタイルは、ソコを“おきにいり”にするの?」
嬉しそうに、寸前まで居た“私の肩”から、止まり木の方へと飛んだアルタイルに、苦笑が浮かぶ。
『応っ! ちっこいままなら、ユナの肩で丁度良いけど~、元に戻ると、ユナを潰しそうだろ~?』
アルタイルの言い分に、シリウスと顔を見合わせる。
確かに、本来のアルタイルの姿で、私の肩に止まろうとしても、3歳児の肩では、絶対的に無理がある。
もしも、止まり木代わりにするなら、頭くらいしか止まれる場所は、無さそうだ。
ただし、実行すれば、私は確実に潰れる。
シリウスの後ろに、テーブルセットもあった。
私達が入って来た扉の両脇に、玄関側に1つ。逆側に2つ。計3セットがある。
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リビングを出て、またもレセプションホールに。
シリウスとレグルスが、元の姿で擦れ違える程、幅のある階段を上ると、広い踊り場があり、正面に扉が2つ。
扉の奥は、どちらもゲストルーム。
ただ、雰囲気が違う。
片方は、カントリー調の可愛い感じ。
もう一方は、シックで落ち着いた感じだ。
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踊り場に戻ると、階段の左側に、同じくらいの幅の廊下があった。
廊下の途中、もう少しで、渡りきるという地点の左側に、天井近くまで続く、スロープを見つけた。
左側に壁が無く、手摺付きの柵があるだけ。
ちょっと覗けば、リビングが見えた。
どうやら、リビングの天井付近、本棚の上の空間に、壁に沿って、スロープが浮いている感じだ。
廊下の先に、扉が見えていたが、天井に伸びるスロープが気になる。
登ってみよう!
*~*~*~*~*
スロープの終点に、スロープと同じ幅の踊り場。右側に、扉があった。
そこを開けると、空中庭園だった。
今まで見てきた部屋等に比べると、小さいと言える場所だったが、煉瓦のプランターに咲き誇る花達が、“癒し”を与えてくれる。
木製のデッキチェアと、背の低い丸テーブルもあった。
奥に小さい倉庫があって、そこにプランター以外を収納出来そうだ。
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廊下に戻って、先程見えてた扉の方へと向かう。
ほんの数歩で、廊下を渡りきると、また踊り場があり、正面に2つと、右奥に3つ、扉があった。
こっちの踊り場の方が広いかな?
正面の扉は、左がゲストルーム(3部屋で1番広い)で、右が同じくらいの広さのホストルームだった。
ゲストルームは、ナチュラルで優しい雰囲気。
ホストルームは、パステル調の明るい雰囲気で統一されていた。
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ホストルームが、私の私室みたいだ。
正面は、1面全てが硝子張り。その向こうに、ベランダが見える。
左の壁際に、大人が3人で寝ても、余裕がありそうな天蓋付きのベッド。
ベッドの上には、クッション(クリーム色)がいっぱいあった。
ベッドカバーと羽布団は、天蓋と同じ桜色だ。
中の毛布は、薄い薔薇色だった。
ベッドの横には、同じ高さのチェストと、釣り鐘型のお花を模した間接照明(魔道具)。
足下には、小さな昇降台。
チェストの手前に、大きめの籠に、クッションを敷き詰めた物が2つ。
それぞれ、薄い空色と藤色に染められていて、中のクッションは、どちらも若草色だ。
「これって、ちっちゃい時のシリウスと、レグルスのベッドかな?」
『その様ですね』
「じゃあ、これは、アルタイルのだね♪」
チェストの上、間接照明の右側にも、足元の2つの半分くらいの籠があった。
これは、クリーム色のままの物で、中のクッションだけ、ほかのふたつと同じ若草色だ。
ベッドと逆側に、壁の半分くらいの本棚と、手前に揺り椅子と小さめのサイドテーブル、少し離れてアンティークのテーブルセット。
本棚の横には、扉が2つ。
本棚から遠い壁側は、書庫にもあった、簡易キッチン。
本棚に近い左側は、私くらいの“おちびさん”なら、かくれんぼが出来そうなウォークインクローゼット。
クローゼットには、色んなサイズの女物のお洋服がたくさんあった。
ドレッサーや、フィッティングルームも、ここにある。
(クローゼットの中なのに……)
小物類や、アクセサリーも、これでもかって揃ってました………。
*~*~*~*~*
私室を出て、残りの扉を確認する。
右奥にあった扉は、左が洗面所、真ん中がシャワールーム、右がトイレだった。
ン? 私室とここだけで、生活出来るんじゃ………。
……………。
うん。私は何も気付かなかった!
*~*~*~*~*
一通り探検して、満足したから、リビングに向かう。
最後まで探検に付き合ってくれたのは、シリウスだけでした。
もぉ~。普通、男の子って、探検好きなものなんじゃないの~。
『お帰り~♪』
リビングに戻ると、アルタイルが迎えてくれた。レグルスは、爆睡中だ。
止まり木の手前のソファに、よじ登る。
3歳児には、ちょっと高いのです。
背負ったままだった魔導鞄から、茜色の水筒を取り出します。
選んだのは、ホットミルク♪
先に貰いはしましたが、独り占めはいけません。
みんなにも、あげましょう♪
シリウスや、アルタイルと、同じカップ(水筒の蓋)で、まわし飲みです!
ちょっと、お行儀は悪いけど、歩き回って、疲れました!
食器を用意するのが、面倒なのです。
許してくださいね。
カップにホットミルクを継ぎ足そうとすると、シリウスがソファに飛び乗り、アルタイルが背凭れに飛び移ってきました。
3人(1人と2匹)で、満足するまで、ホットミルクを堪能し、もう1杯だけカップに注ぎます。
レグルスは、一応猫舌さんなので、冷まして置きます。当人も、爆睡中なので、起きて来るまで、放置します。
時間は、16刻前。
もうすぐ街では、夕の鐘といわれる【水の鐘】が鳴る時間(午後4時)。
他にも、色々確認して、夜のご飯も作らねば!
ぁ、その前に。
お家での最優先ルールです。
普段は、元の姿で生活しましょう!
みんなで、のびのび暮らすんです♪
ただし、家族以外がいらした時は、縮小化してください。
大きいままだと、お客さんが驚きます!