シリアス展開どこ行った? 初めて聞いたお父さん情報にビックリです。
この章で、家族紹介的な日常は終わります。
終わるはずです…。
が、それにしても、シアお母さんの推奨通り、引き籠りがちなユナちゃんなので、どうなる事でしょう…。
取り敢えず、このまま、ユナちゃん達の日常を覗いてきます。
「「師匠っ!」」
男の子達の声が、再び誰かを呼びます。
ししょう?
…ぁ、師匠か。
何かの先生が来たのかな?
レグルスの向こう側とこちら側とで、状況的に大分温度差がありますね。
ん~、あっち側はどうなったのかな?
「…ユナ、おかわり…は?」
「もらいましゅ。ねぇしゃまの“はなちゃ”、おいしぃねぇ~♪」
姉様が淹れてくれた花茶(味や香り、見た目が華やかなハーブティー)を味わいながら、今の状況を省みます。
本来なら、こんなに落ち着いてて良い状況じゃ無いはずなのに…。
リビングデッドが襲って来る様子も無いし。
辺りに充ちていた臭気は、既に姉様が魔法で散らし済み。
私達がいる場所は、レグルス達が警戒する前の寛ぎ空間へと、戻っています。
───ガンッ。ゴンッ。
ほのぼのと和んでいた私の耳に、鈍く重い衝撃音が…。
「痛っ!?」「痛ぇっ!?」
………。
なんか凄い音がしましたよ!?
しかも「痛い」って…。
え!? もしかして、今の打撃音ですか!?
お兄さん達、殴られた!?
「な~に~を~やっているのかなぁ?」
柔らかな口調なのに、言外に怒りを含んだ、意識的に低められた、男性の声が聞こえました。
随分耳に心地良い、透き通るような音楽的な響きの低音ですね。
お母さんやベル姉様の優しい声の次に好きかも知れません。
「自分達で対応しきれない魔物に遭遇したら、私の方へ誘導しなさいと教えていたはずですが?」
丁寧な物言いの割りに、内容はかなり鬼ち…いえ、厳しい御言葉です。
「すみません」「…ゴメン…なさい」
先生からの叱責? に、男の子達が謝ります。
1人は間髪入れずに。1人は渋々と。
ふぇ~、随分厳しい教え方なんですね。
叱られた生徒さんが、己の非として謝罪するって事は、“普段なら出来ている”事が“出来なかった”と認めた訳ですから。
というか、師匠さんとやらは、戦い方の先生な訳ですね。
ふむ。
ということは、リビングデッドさんは、師匠さんが倒したのかな?
叱ったり叱られたりなんて、魔物さんの前でするわけ無いですしね。
いえ、場合によりけりだとは思いますが、戦闘中なら流石にこんなに落ち着いたやり取りは、出来ないと思います。
繁みから出てくる前の様な、剣戟や荒事特有の音は一切しませんしね。
それにしても…。
師匠さんは叱り方が、レグルスに似てますね♪
訥々と淡々と、相手の悪いところや直すべきところを上げて、正論で真正面から叱る。
言い訳の前に軽く罰を与えて、あとは反省を促し、必要なら言い訳も聞き入れる。
うん。
相手の良心に、チクチクと訴える感じが…。
*~*~*~*~*
「──て…あれ? この気配…ベル?」
遠くを見つつ、レグルスに叱られた過去に戦いていたら、師匠さんが姉様の名前を呟きました。
どうやらお説きょ…いえ、御叱りが終わったみたいですね。
ん? 知り合いですか?
横に座った姉様を見上げれば、8歳児とは思えない優雅な所作で、静かにお茶を堪能しています。
「─あ、やっぱり…。ベル♪ 久し振りだねぇ♪」
サクサクと近付いて来る足音のあと、伏せたレグルスの上から、師匠さんの声が降ってきました。
「…ん。…久し振り…父様…」
目線を上げて、こちらを覗き込んでいる師匠さんを見て、姉様が応えます。
…やっぱり、知り合いなんですね。
トト様? お名前はトトさんというのでしょうか?
姉様の視線を追って、師匠さんを見上げれば、そこには女性と見紛いそうな程に、整った中性的な美貌の青年。
年齢的には、お母さんより幾つか歳上かなといった感じだ。
だけど、何より私を驚かせたのは、人目を惹くその配色だった。
肩に届く辺りで切り揃えられた、リュニベール姉様と同じ青みを帯びた銀色の髪。
その髪の左側(対面で見れば右)に、フォーレお姉ちゃんみたいに水色の一房。
瞳はラメル姉さんと同じ左右色違いで、姉さんの色を反転させた様に、夏の昼時の晴れ渡る空みたいな蒼色と、秋の朝方の陽の光に輝く稲穂の海を思わせる金茶色。
「…ユナ、父様…だよ…」
『ユナ、この方はフェリシア様の御夫君で、【管理者】の御一人でもあります。
この世界が出来た要因でもあるそうです』
『ぶっちゃけると~、ラズヴェルト様と想いが通じた時の喜びから~、この世界が出来たんだって~。
ラブラブだよね~♪』
『フェリシア様を母と慕うなら、ラズヴェルト様が父君と呼ぶに当たる。
まぁ、嫌なら名前で呼べば良い。
フェリシア様は、「父と呼べ」と強制したい訳ではないと仰っていらしたし、クラウディアで異性の家族となるのは、ラズヴェルト様御一人だ。
困惑や羞恥心などもあるだろう? 無理はするな』
姉様の発言を始めに、師匠さんの情報を、3匹が立て続けに暴露してくれます。
え…と…。
トト様じゃ無いのかな?
ラズヴェルト様?
じゃあ、「トト様」って?
………。
……。
…。
!? 父様!?
えっ! えぇっ!?
師匠さんが、私のお父さん!?
唐突に与えられた情報に、一瞬混乱しかけたけど、なんとか持ち直す。
ほえぇ~。
美形。美形一家だ!?
お母さんは、妖艶系美女(中身は清楚で可愛らしい感じ)。
フォーレお姉ちゃんは、天然系美少女(猪突猛進型?)。
ラメル姉さんは、溌剌系美少女(姉御肌だね)。
リュニベール姉様は、神秘系美少女(ボクっ子さん)。
お父さんは、性別不明系の美青年(レグルスに似てるなら、世話好き?)。
私も、外見だけなら、小動物系美少女(外見だけですが…)ですし。
あれ?
外見はお話しするのも緊張しそうな整い方なのに…。
中身はみんな友好的。
うん。
私の家族は、やっぱり素敵です♪
勿論、シリウス、レグルス、アルタイルも。
可愛くて、格好良くて、頼りになる最高の家族です♪
やっと…やっと出た!
勿体付けるな! と、ラズさん(お父さん)を叱りたい。
いや、お姉ちゃん達か?
取り敢えず、この章はもうちょい続きます。
が、その前に。
ごめんなさい! ストックが切れました。
相変わらず7話で切れるストックって…。(泣)
泣いてもいいかなぁ…。(´;ω;`)
チクショウッ! 。・゜゜(ノД`)
また、2週間程ストック作りの為に、お休みします。
「暇潰しになら付き合っても良いかな」という読者様。
「いやいや、割りと好きですよ」と感じてくださる読者様。
「和むなぁ~、私は大好きです」と仰ってくださる貴重な読者様。
少々御待たせしてしまいますが、失礼します。
待っててくださる読者様の為に、峠岬(作者)は脳内探索へと行ってきます!
次回の投稿は、4月30日。
今月最後の日曜日の予定です。
また、お会いしましょう♪