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女神様の娘になりました。  作者: 峠岬 嶺
第4章─初めまして! お父さん?
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魔物さんの森でのお勉強♪ ちょっと変わったピクニック?

「ふわぁ~。おっきい……」


 ただ今、私の眼下には、不思議な魔物さん。

 ……何でしょう、これ?


 クラウディアに来る前から、私は生き物全般“恐いもの無し”な状態でしたが…。

 え~と…。



 *~*~*~*~*



 あちこち魔物さんの生息地を廻り、分布図を把握しながら、魔物さんの生態や弱点、攻撃や防御の仕方を教えてもらいました。

 クラウディアで暮らしていれば、万が一・億が一1人になる場合もあるかも知れないからと、最低でも自己防衛が出来る様になんだって。

 レグルス曰く、『闘ったり、倒したりは出来なくとも、俺達が駆け付けるまで、自分を守れれば、それで良い』だそう。


 そんなこんなで、森を見て回ってたら、眼前にウネウネ動く魔物さん。


「…ヘビさん?」


 この大きさなら、私をひと呑みに出来そうですね。

 相変わらず、魔法で存在感を消してるので、蛇さんは気付いて無いみたいだけど。


「…ん。この辺りの(ぬし)…かも…」


 ん? 主? 蛇さんが?

 ぁ、でも、大きさはレグルスと同じくらいだから、そうかも。


 リュニベール姉様の言葉に疑問を持ったのは一瞬。

 姉様が蛇さんを見上げているので、視線を追ってみる。

 ん?

 蛇さんの尻尾の先が、上に向かって伸びてます。

 視線を蛇さんの身体に沿って上げてみれば。


 ……何かいる…。何だこれ?


「…これは…キマイラ…珍しい…」


 姉様が呟きながら、魔法で身体を浮かせます。


「…ユナ、おいで…。全体を見てみて…」


 という訳で、冒頭の一言です。



 *~*~*~*~*



 大きさは、レグルスの倍以上。

 正確には分からないけど、3倍…くらい…かな?

 蛇さんの尻尾の先には、山羊さんのお尻。

 というか、山羊さんの尻尾の代わりに、蛇さん?

 ぁ、山羊さん、角が立派……雄ですね。

 不思議な所はもうひとつ。

 山羊さんの胸から、雄の獅子(ライオン)さんの上半身が…。

 動物としての生態は、どうなっているのでしょう?


「…ユナ…これは、割りと気性が荒い…。

 見掛けたら…即座に…回避で…。

 今回みたいに…魔法で隠れるのも…あり…かな…」


「ぁい。分かりました」


「ん。…良い子…♪」


 ベル姉様が淡々と遭遇時の行動方法を教えてくれるので、キマイラさん? の大きさに圧倒されつつ、素直に頷きます。

 うん。

 これは、逃げるが勝ちだねぇ~。

 私なんかじゃ、お豆を食べるが如く、パクっと一口で食べれそうですから。

 いや、噛まずに呑み込みそうだな…うん。


 まぁ、そんなこんなで、色んな魔物さんを観察し、逃げ方や見付かった時の対処法なんかを、実地でお勉強。

 森の中をちょこっと荒らす形になりつつも、ベル姉様が実際に魔物さんを蹴散らしたり、不可視の状態のまま弱点を突いて討伐(暗殺技術な気が…)したりと、中々(魔物さん達にとって)危険(デンジャー)な探索となりました。



 *~*~*~*~*



 結構歩き回って、3歳児の体力ではキツくなってきた頃、魔物避けの魔道具(【無限収納】に入ってた)で確保した空間で、お昼ご飯となりました。


「──む。…ちょっと…辛い?」


「うん。ピリッとからいから、ピリから~♪」


 お弁当に用意したのは、中華料理。

 海老のチリソース炒めを食べた姉様が、不思議そうなお顔で、再び海老さんに手を伸ばします。

 気に入った…の…かな?


 ところで、姉様達が“3人とも会いに来てくれた日”に発覚したんですが…。

 カトラリーにお箸が存在してます。

 しかも、姉様達が扱い慣れてて、仕草というか所作というか、凄く綺麗。

 優雅なのに、見たこと無い早さで減ってく料理に、愕然としつつも、その光景に見惚れていたのは、楽しい思い出だ。


『ふむ。これは、旨いな。塩味の濃さが絶妙だ』


 レグルスは、八宝菜を食べてますね。

 子猫が勢いよく食べる姿は、見ていて和みます。


『私は、こちらが気に入りました。

 ふかっとした柔らかさと、ほんのりした甘味が美味しいですね』


 シリウスは、桃饅頭が気に入ったみたいですね。

 桃の香りと、優しい甘さが、味の濃い中華料理の箸休めに丁度良いですよね♪

 私も好きです。


『僕は、これ~♪ 甘いのに、酸っぱいよ~♪

 お肉も軟らかいし~、面白い味だよね~♪』


 アルタイルは…。

 油淋鶏…。

 いや、美味しいんですが…。

 ………共食い?


 ………。

 まぁ、気にしない事にしましょう。

 細かく分類すれば、完全に別の種だろうし…。

 うん。

 気にしたら、負けな気がします。


 餃子の匂いの強さに驚いたり、小籠包を頬張ってお口の中を火傷しかけたり、米粉の皮の蒸し春巻の彩りを楽しんだり。

 楽しいお昼ご飯を終えて、食後の一服と落ち着いた所で、突然レグルス達が元の姿に戻り、同じ方向を気にして、警戒態勢をとりました。


『ユナ、リュニベール様の傍を離れるな。嫌な気配が近付いて来る』


 レグルスに鋭く注意され、不安のあまり姉様にすがり付きます。


『これは──アンデッド…』


 安心させる様に姉様が頭を撫でてくれた時、シリウスの呟きが聞こえました。


『だね~。折角楽しかったのに~、台無しだよ~』


 先程まで小鳥姿で仰向けに寝ていたのが嘘の様に、アルタイルが聞いたこと無い程に低い声で唸ります。


「…ねぇしゃま…」


 すがり付いたまま、姉様を見上げれば、姉様が優しく微笑んで、落ち着かせてくれました。


 午前中のお勉強で、聖獣であるレグルス達には、アンデッドと呼ばれる魔物さんにも、対抗手段があるとは聞いてます。

 それでも、アンデッドと呼ばれる魔物さん達は、魔物さんの中でも、討伐の難しい相手で、遭遇すればかなりの危険に晒されるそう。

 普通の人族や獣人族、魔法の苦手な種族は、遭遇しただけで、死を覚悟しなくてはならない相手なのです。


 レグルスも、シリウスも、アルタイルも、怪我しないで…。

 ───いなくならないで…。

ちょこっとシリアス展開?


それは、それとして。

お父さん…。

頑張って、早く出てきて~。


次こそ出てこい!

章タイトルは、詐欺じゃないはず…。


アルタイルが、どんどん残念男子になっている気がします…。

これはこれで、可愛い…のか?

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